ITSを疑う

ITS(高度道路交通システム)やカーマルチメディア、スマホ、中国関連を中心に書き綴っています。

ITS車載器の問題点 なぜ通信にこだわるのか

2007年10月21日 | ITS
さて、決定的なことを言おう。

どうやら、国交省とそれに絡む特定の人たちは「世界で一番進んでいるITS」を実現し、大々的にぶちあげたいらしい。
そのためにはなんとしても路車間通信・インフラ協調安全運転支援というハイテク活用によるITSを世界で初めて実用化する必要があるのだ。

さらに、実現すると路側機ビジネスの展開が望める大手電機メーカーも、それを望んでいる。

だから、実用性・実効性があろうがなかろうが、ビジネスモデル構築が危うかろうか、安全情報が特定のドライバーにしか届かないというような、どう考えてもおかしい状況であろうが、関係ない。
もはや、路車間通信で安全運転支援をやることそれ自体が目的なのだ。

そのために、実験やモニターによる評価結果を恣意的に解釈したり、バイアスをかけたりしている。
そして、2009年春にはお台場で大々的に宣伝する、というようなプランも出てくる。

私は路車間通信による安全運転支援の可能性を否定しない。
でも、真に交通安全の向上、事故死者削減を考えたら、そのプライオリティは決して高くないはずだ。

安全運転支援情報を効果的に路側機で表示する、危険なカーブの路面表示を工夫する、住宅地の裏道における最高速規制を行う、大型トラックの追突防止装置を法制化する、など、もっと先にやるべきことがたくさんあると思う。
それらの改善のために、ローテク、レガシーデバイス、センサー、通信などをもっとも効果的に組み合わせることが必要だ。
そこまでして初めて「インテリジェント」だろう。

日本のITSは特定の人間の功名心に振り回されているのではないか、といったら言い過ぎだろうか。