ITSを疑う

ITS(高度道路交通システム)やカーマルチメディア、スマホ、中国関連を中心に書き綴っています。

キープコンセプト

2007年10月26日 | 雑記
クルマが売れない、若者がクルマに興味を示さないと書いた。

そんな市場環境の元、東京モーターショーを前に日産とホンダが国内で比較的好調な車種のモデルチェンジを行った。
エクストレイルとフィットだ。
どちらも日本車には珍しく、一見して新型と判らないようなキープコンセプトのフルモデルチェンジとなっている。

しかしこの両者のキープコンセプトは、それぞれ微妙に意味が異なる。

エクストレイルは、唯一、車離れした若者が指名買いするモデルだ。
その理由は、いってみれば「素うどん」とか、「ジーンズにTシャツ」みたいな車だからだろう。
今、大多数の若者は車に性能やスポーツカーのようなかっこよさを求めない。
むしろ、最低限の機能を有し、道具に徹したような商品の選択が好まれる。
その辺にエクストレイルはうまくはまっているのだ。

だから、本当はモデルチェンジだってしなくて良い。というか、日産にとっては出来ればしたくない位の気持ちだろう。
価格を上げることは出来ない。しかしフルモデルチェンジは確実にコストアップに繋がる。特に旧エクストレイルのようにすっかり枯れた車は、相当利益率がいいはずだ。

ということで、日産はコストダウンを一番のテーマにエクストレイルをモデルチェンジした。スタイルはキープコンセプトでかまわないのだ。

一方のフィットは、いまやホンダの国内販売をなんとか食いつながせている車種だ。若者のクルマ離れによる影響を一番こうむっているのがホンダなのだ。

失敗できないクルマなのでキープコンセプトになった、と見るのが正解だろう。そこに弱気が見える。
しかし、キープコンセプトが通用するのはその商品のブランドパワーが十分に強い場合だけだ。果たしてフィットがそこまでブランドとして成立しているのだろうか。
大衆車のキープコンセプト型モデルチェンジは失敗の可能性が高いし、ホンダがキープコンセプトで成功したためしがない。

しかし、もしかしたらホンダは国内マーケットのプライオリティを下げているのかもしれない。
JAZZの名前で販売されている海外市場をメインに考えれば、キープコンセプトはありだ。

国内の自動車販売に短期的な回復はありえない。
そんな中で日本の自動車メーカーが足元のマーケットのプライオリティを下げたとしても、まったく不思議ではない。