ITSを疑う

ITS(高度道路交通システム)やカーマルチメディア、スマホ、中国関連を中心に書き綴っています。

スマートウェイ2007 その3

2007年10月18日 | ITS
引き続きスマートウェイ2007シンポジウムの報告。
3番目のスピーカーはEUが共同出資しているCOMeSefetyでアーキテクチャWGのチェアをしているBMWのDr.T.Kosch.
ドイツ流のブツ切れ発音でちょっと聞き取りにくかったので、以下の内容は多少間違っているかもしれない。

ドイツではこの50年間、車の総走行距離は13倍に伸びた。
一方で事故件数は4倍、事故死者数は横ばい~やや減少となっている。この主たる要因はエアバッグ等、車両のパッシブセーフティ装備による。
現在、ドイツでの交通事故は86%が運転者に起因し、その多くがスピードの出しすぎや車間距離不足など、運転者のWrong behaviorに因るものだそうだ。

今回紹介されたのは交差点での事故防止システム。
信号機等の路側インフラから信号や周囲交通情報を車両におくり、車両のヘッドアップディスプレイに表示することで信号無視や左直(日本で言う右直)事故防止をねらう。
さらに車対車のアドホックネットワークも検討されているようだが、これの仕組みは今ひとつ理解できなかった。

今回はスマートウェイ2007の趣旨がインフラ協調なので、COMeSafetyとしてもそれに沿ったプレゼントなったのだろうが、本来欧州におけるITSはレーダ・センサーによる追突、車線逸脱、側方衝突などの自律系ASV検討が主体であり、路車間、車車間などの通信利用に対する検討はまだこれから、という感じである。

これをして「日本の方が進んでいる」というわが国のITS関係者は多いが、私には欧州のほうがよほど「地に足が着いている」ように感じる。

また高速走行比率の高い欧州はドライビングディストラクションに敏感なのでHMIへの関心も高い。
少なくともわが国のITS車載器のようなナビ画面への警告表示は視線移動が大きく、欧州では批判されるだろう。