☆★今日のショット★☆

綺麗なお花や美味しいたべものなどあれこれあれこれ載せて行きたいと思います。

帯広 劇団演研 マッチ売りの少女(別役実)

2019-07-01 06:01:47 | 映画・演劇・美術館


6/29の夜公演を観て来ました。

この戯曲、私が演研に入ってすぐ位の20代に読みました。
アンデルセンの「マッチ売りの少女」の貧困で悲しい童話を知っていたので、この脚本を読んだ時はショックが大きかった思い出があります。

子供を亡くした老夫婦の元に突然現れた女。
街でマッチを売っている(ダジャレではありません)
この老父婦にマッチを売りに来たと思ったら、実は「貴方達の娘」だと言う。

やり取りの中で、本当の娘なのか、女の思い込みなのか、混沌として行く。

実はマッチが灯った時間だけスカートの中を見せる売春婦だった。

アンデルセンが描いた時代の貧困。
今の時代には想像出来ないけれど、戦後の日本にもそんな商売をしていた人が本当に居たと言う
(これは、お芝居とは別に知った事ですが)

バブルを超えて、今もまた貧困の、と言うか、貧富の差が激しい時代だと思う。
50年も前に書かれた戯曲だけれど、今の時代にも通ずる様な気がする。

初めてナレーションの入る舞台を観ました(演研の)。
目で入る情報と耳で聞こえる情報の違いに、ちょっと戸惑う事も…

そして、BGMのチェロの曲は素敵だったけれど、
実は違和感もありました。

ラフマニノフのヴォカリーズが流れたので、すごく寂しいロシアの風景が浮かび、火の用心カチカチで、ここは日本なんだ、と思った訳です。

ヴォカリーズは有名な曲で、いろんな楽器の練習曲にもなっていて、私もフルートで吹いた事があります。
知っている曲が流れると、意識がそちらに行ってしまって、違う感情が沸き上がり混乱しました。
それは私の勝手な思い込みでもありますが。
(日本の曲の方が良かったかな?)




「売春婦」という過去の屈辱を持ち続け、貧困の中で天に召される女とその弟。
どこにも救いを見出せない、切ない最期でした。


久しぶりに劇的な別役実の世界を堪能しました。
清水邦夫の作品も、観てみたいです(楽屋は見てるけど、それ以外にもね)
勝手な願望ですが。

別役実の戯曲は、同じ台詞を繰り返したり、似た言葉があったり、否定したり肯定したり、前後が分からなくなると言います。
(私は「トイレはこちら」でトイレの場所を聞く人しか、別役作品には出ていないけれど)
役者さんは、台詞覚えが大変だったと思います。


久しぶりに、感情が揺さぶられました。
アンケートは記入したけれど、観た直後って上手く言葉にならないものです。
2日経ってジワーッと沁みる、良い作品でした。

コメント
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