帯広演研vol78「ご臨終」を観てきました。
久しぶりに芝居を観て大号泣でした。
おばの危篤を知らされ、銀行を辞めて駆けつける男。
でも、おばはなかなか亡くならない。
仕掛けをしたり、毒を盛ったり?ブラックな事を試してみるものの失敗。
そして1年の時が流れようとしている。
或る日、外を見ていた男が、衝撃の事実を知る……
私は、前列の1番左側で舞台を観ていました。
おば役の野口の表情がよく見えます。
台詞無く、ずーっと聞き続ける役って、大変だろうって思ったけれど、野口の表情は素敵でした。
男が来てから、粉を叩き、口紅も塗って男に気持ち悪がれるけれど、コートを着て帽子を被り、お揃い色のバッグを持った時は、「腰は曲がっているけれど、このまま街に出掛けても良い感じのオシャレさん!」と思わず応援したくなりました。
現実では、高齢の親を持つ身。
物忘れや失敗、色んなことでヒヤヒヤしたり困ったりするけれど、愛しくて大切な存在なんだよね。
ブラックユーモア満載であり、(翻訳劇とということもあり)日本人の感性とはちょっと違う思考も感じられて、面白かったです。そして「死にゆく人」との対話なのに、重さや暗さが無い。
暗転が多く、BGMが流れ、ちょっとオシャレな雰囲気の舞台でした。
台詞が極端に少ない女、最初から最後まで喋り続ける男。
アンバランスなやり取りを成立させて、最後には驚きの展開が!
劇団員は同世代で、長く劇団を支えて来ました。
彼、彼女たちも高齢な両親と向き合い、悲しい思いや、大変な思いをしています。
演技しながら大切な人を思う事もあったでしょう。
コミカルで、ちょっと笑って泣きました。
素敵なお芝居をありがとう。
切なくて、愛しくて、心が温かくなる舞台でした。