その存在を知ったのは、彼が姪と同じ大学に通っていた時だ。
身近な大学で、面白い学生がいるんだな、野口健みたいな学生がいるんだな、と興味を持った。
その後、ネットやメディアを通じてその行動を知ることになるのだけれど、凍傷で指を失った時は何故かホッとした。もうエベレストには行かないよね?
私は登山が趣味だが、エベレストに詳しくも無いし登りたいとも思わない。
ただ美しい景色を間近で見たいという気持ちだけはある。
そんな私でも、無酸素で単独で登頂するなんて、絶対無理だと思った。
何度も挑戦し、登頂できずに帰国した栗城を、メディアやファンは批判したが、私はホッとしていた。だって、生きて帰って来たから。
だから、指を失った時、もう挑戦しないだろうと思ったし、日本にも良い山が沢山あって、ガイド業をしながら山を楽しむことだってできると思ったから。
でも、本を読んで、そんな事をする人じゃなかったんだ、と感じた。
本当は山が好きだった訳じゃないんだな、と。
だからもし生きて帰って来ても、エベレスト以外の山に携わる事は無かったんだな、と思う。
130ページまで一気に読めたけれど、何だか裏切られた様な気分になって、一度読む気を失った。
生前の色んな人との関わりが綴られているが、実際に栗城が何を成し遂げたかったが分からない。ネットを通じてヒーローになりたかったのかな?
ある意味、現代社会の人なのかなとも思う。
SNS等から批判も応援も、本人に届く現代社会。
もう後戻りはできない。挑戦し続けなければ居場所が無かったんだなと思う。
だけど、栗城本人の思いは本人にしか分からない。
だから、憶測で「こうだったんじゃないか?」と書かれても、本当にそうなのかな?とも思う。
もし亡くなる直前の事まで栗城が語る事が出来たら……。いや、本当の事は言わないよね😅
後味が悪い、ある意味尾を引く本だった。
知らなくて良い事がいっぱいあったな、と思う。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます