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休日のバッハ(1.8.11)

2011-01-08 13:34:46 | 休日のバッハ
今日の休日のバッハは、カンタータ第99番より冒頭の合唱です。

歌詞の日本語訳は以下の通りです。
 
「神の みわざこそ ことごと 善けれ 始めたもう 道に

 ただ 従いゆかん わが神 悩みを 知りて

 支えたもう 主に よりたのまん」(大村恵美子訳)

歌詞の意味はともあれ、この合唱の軽快なテンポは筆者のお気に入りです。
このカンタータはコラールカンタータと呼ばれ、「神の御業はすべて善きことなり」というタイトルを持つ98番から100番までのカンタータを指します。

この世に神というものが存在するなら、そしてその神が全能なら、将来起こるべき全ての厄災を予見できるため、そうした厄災がこの世に起こらないよう、神は事前に厄災を取り除くことが出来るはずです。しかし、この地球上には太古の昔から今日まで厄災が後を絶ちません。これは神の存在証明を困難にする1つの論拠となっており、ドストエフスキーのカラマーゾフの兄弟などの主題の1つです。

しかし、神は全能であるからこそ、人間にヨブ記にあるような厄災をあえて与えて、それを通じて神への信仰の深さを試しているという側面もありそうです。

ここで話は一気に飛びますが、資本主義の精神を生み出すにあたって決定的役割を演ずるものは何か?との問いに対して、カルヴァンは有名な予定説を唱えます。予定説とは、誰が救済されないかは神が一方的に意志決定するという考えであり、因果律とは正反対のものです。人が救済されるかどうかは天地創造のときに既に決まっているとすれば、カルヴァンは、神に救われる予定の人は「そのことを証明するように振る舞うであろう」、と言いました。

このことが資本主義の精神を支えるエトスの根本的変化を起こした訳ですが、誰もが寝ても覚めても自分の良心に照らして正しいことをしなければならないとしたら、伝統主義(しきたり、掟など)には構っていられなくなります。そこで伝統主義をかなぐり捨て、目的合理的な考え方にエトスが大転換を起こすということになった訳です。

この中から、労働を尊ぶ精神(労働それ自身が救済である)が生まれてきました。
カトリック修道院の中では、「祈りかつ働け」というスローガンがありましたが、パウロはこれを「働かざる者食うべからず」と言い、この修道院の中だけの考えを、宗教改革は一般に開放したことで、資本主義の精神そのものを発生せしめたことになります。

「自分の良心に照らして正しいことをする」ことを正義を考えるときの主題に据えることで、コミュニタリズム(共同体主義)のもつ限界を打破しようというのは、例のハーバード白熱教室のサンデル教授の立場ですが、これが出来ていさえすれば、人類が大規模な戦争や大不況やバブルを起こして、大いなる厄災を招くことはなかったのにと思います。自分の良心に照らそうにも、その自分の良心を持てない何らかの欠陥が、現代の資本主義には内包されていたのかも知れませんが、そのことが今になって少しは人類を反省に導いているとすれば、そうした過去の厄災も、結局は人類が生き延びるための神の采配であったのかも知れません。

さて、前置きが長くなりましたが、いつものようにここをクリックして、ウィンドウズ・メディア・プレイヤーでお聴き下さい。期間限定の公開です。
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このままでは債務不履行に??

2011-01-08 10:50:30 | 金融全般
昨日1月7日の日経夕刊に、連邦債務残高の上限(14兆2900億ドル)まで残り3350ドルしかなく、3月末にも上限に達するため、ガイトナー財務長官が議会に上限引き上げを要請した、という記事が掲載されておりました。このままでは国債発行が出来ずに、米国が債務不履行(デフォルト)になってしまうと重大な発言をしております。

しかし、実際に米国がデフォルトを起こす前に、バタバタと倒れる国がギリシャを始めとして沢山あります。その破綻リスクを示すのが、CMEが算出しているCDS市場に基づき算出された累積債務不履行確率です。これはCPD(Cumulative probability of default)としてCMEグループのCMA DataVisionが計算しております。

この2010年3QのCPDレポートによると、5年以内に破綻する確率がもっとも高いのはベネズエラの54.2%です。2番目がギリシャ(48.7%)ですが、6位にアイルランド(33%)、9位にポルトガル(30.2%)が入っており、その後はルーマニア、ラトビア、ハンガリー、アイスランド、と続きます。スペインは21位(18.4%)。イタリアは23位(16.1%)です。

最下位はノルウェーの71位(2.1%)で、以下、フィンランド、スエーデン、デンマーク、ドイツ(3.4%)、スイス、オランダ、オーストラリアと続き、アメリカは63位(4.2%)。日本も何と60位と健闘。(5.4%)

こうしてランキングを見ると、ユーロ圏が見事に2分されておりますね。これは互恵的な関係をユーロ圏が放棄したら、ユーロが持たないことを示しております。

ところで、過去3ヶ月で最もパフォーマンス(改善度)の良かった国が、何と日本となっております。これは不可解ですが、円高の遠因(逃避通貨扱い)は、このあたりにもあるのかも知れません。

アメリカのスペシャル・レポートを見ると、昨年の年初からは下げてきているものの、州の中ではイリノイ州がカリフォルニアを僅差で抜いてワースト1となっております。このイリノイ州は余程お金がないらしく、50億ドル分の請求を6ヶ月間未払いで放置しているという話です。イリノイ州のCPDは21%で11位のラトビアあたりに並んでおります。

このCDS市場での評価は、あくまでもCDS市場に参加しているごく少ない参加者の見立てによるものです。しかし、時には少し前のソフトバンクのように株式市場にまで波及してきます。

このCPDがどのように今後変化していくのかを見ることにより、日本の財政破綻時期についての1つの示唆を与えるものと思われます。

今はまだ日本以上にやばい国が59か国もあるぜ!という訳ですね。しかし、スペイン、イタリアが先に逝けば、これは世界経済と金融が持たないでしょう。そうなる前に、国際社会では、かつてのニクソン・ショックでアメリカがドルの金との兌換を停止したような、大きな出来事がある日突然起こるはずです。そうでないと世界が持たない。ある日突然というのは、事前に発表すれば金融システムに大混乱が生じてしまい、それこそ収拾がつかない事態を招くからです。
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