坪木和久 「激甚気象はなぜ起こる」読了
今年も熊本県を中心にして大雨の被害が出てしまったが、そんなおり、こんな本をみつけた。
もう、当たり前になってしまった、豪雨や台風の大きな被害はどのように起こるようになったかについて書かれた本だ。約400ページ。はっきりいってほぼ内容はわからなかった。
とりあえず、なんとなくそういうことなんだろうなというところを拾いながらまとめてみた。
“激甚気象”という言葉は、この本の出版社の編集者が作った造語だそうだ。
直近の激甚気象による被害としては、2004年、2018年が相当ひどかったらしい。
2004年の10月から僕はブログを書き始めたのでこの年に和歌山県ではどんなことが起こったかということは記憶にもなくたどることができないのだが、2018年のことは船が大被害を被ったのでよく覚えている。(僕がブログを書き始めたのは2004年10月1日からで、この台風については帰宅に4時間かかったということだけが書かれていた。最初の頃はメモ程度のことしか書かなかったようだ。)
しかし、2018年のほうは、あの台風のほかにも年明けから日本の各地で激甚気象が続いて各地で被害が出ていたそうだ。
2月、北海道、関東で大雪。
6月末、北海道で大雨。そして関東、甲信地方梅雨明け。九州、近畿北陸よりも早かった。
7月、西日本豪雨。200人以上が犠牲に。200人の死者を超えるのは1982年以来。
東日本では猛暑が続いた。7月23日、熊谷で41.1℃を記録。
8月21日、日本に最接近した台風19号は和歌山で大雨をもたらした。
9月4日、台風21号は神戸に上陸、関空が水没し、連絡協に貨物船が衝突。この台風で僕の2隻の船も沈没を免れたものの大きな被害を受けた。
そして台風の数自体も多かった。上陸は5個、接近は16個。うち、10個が主要四島へ接近、そして7個は猛烈な勢いの台風であった。
9月30日に日本に上陸した24号も直撃かと身構えたが、田辺市に上陸して和歌山市は台風の西側にはいっていたので大したことがなくてホッとしたことを覚えている。
その後、気象現象ではないけれども、その後9月6日、北海道胆振大地震が発生した。台風が運んできた雨で地盤がゆるんで起こった地滑りの画像は衝撃的だった。
北海道の大雪は、日本海寒帯気団収束帯というものが原因だそうだ。これは、シベリアからの寒気の流れ込みが北朝鮮の白頭山で分断され、その後再び合体して収束、勢いを増すという現象らしい。白頭山というと、北の将軍様の聖地として有名だが、これのおかげでとんでもないことが日本で起こってしまうというのもなんとも因果だ。
その後の大雪は、梅雨前線が北上しすぎたというのが原因らしい。北海道には梅雨がないと小学生だか中学生だかの頃に習ったが、今ではそうも言えないらしい。これも温暖化のせいだろうか。
西日本の豪雨は、もうその言葉がなじみになってしまった線状降水帯が原因だ。
その後の台風は高温の海水が台風に巨大なエネルギーを与えたという結果らしい。
そして、本題の、低気圧や台風がどうやって人間社会に大きな被害をもたらすほど発達してゆくのかということがかなりのページを割いて書かれている。しかし、ここのところがほとんどわからない。
たとえば、低気圧についてはこう書かれている。
『低気圧の力学的動きは、中心向きの気圧傾度力と外向きのコリオリ力および遠心力のバランスとなる。大きくなると気圧傾度力と遠心力がバランスの主要となり、低気圧はいくらでも大きくなれる。高気圧は中心向きはコリオリ力だけなのであまり強くなることはできない。だから甚大な被害はすべて低気圧が原因で発生する。』
コリオリってなんだ?気圧傾度力って一発で変換できないぞ・・。
天気予報でよく聞く、不安定な大気については、
『大気が不安定とは、下層の湿った空気が強制的に持ち上げられる高度(自由滞留高度)が低くなった状態を言い、この高度が低いほど大気の状態が不安定ということになる。別ないい方をすると、相当温位が高さとともに減少している状態であり、もっと簡単にいうと、相当空気が湿っているということになる。』
温位ってなんだ?もうわからない。相当空気が湿っているというのならだったら最初からそう書いてくれよ・・。と思ったりしてしまう。
天気予報の科学というのは、下駄を放り投げて裏か表かで予報していたころからするとものすごい進歩を遂げているらしい。例えばだが、局地的なゲリラ豪雨などは、分単位でどこで突然降り始めるかということを予測できるほど観測精度は上がっているそうだ。これはXバンドレーダーというやつを使うそうだが、僕もたまにサイトでみるやつだ。そんな精巧なものとは知らなかった。
しかし、それでもすべての気象現象を予測することはできないそうだ。そして多分、予測して避難情報を出したとしてもすべての住民がそれに従うとは思えない。みんな自分だけは大丈夫だと思うのが人情だ。ぼくも非常放送が流れたとしてもゆっくり構えてしまうほうだと思う。前に何かの本で読んだ、「正常性バイアス」という言葉もこの本に出てきていたがその通りだ。
そう思うと高精度の天気予報も宝の持ち腐れであるが、ひとはそれでもそのメカニズムを知りたいと思うのだろう。今では物理学と数学を使って気象現象は語られているそうだ。
そして、肝心な、最近頻発している50年に1度とか100年に1度とかいう激甚気象の元になっている原因については、素人がごく大まかに考えると、地球温暖化が原因だということになるのだろうけれども、それが明確にそうだということは語られていない。
低気圧や台風が大きくなるメカニズムについて、エルニーニョ現象やラニーニャ現象、南太平洋から続く数千万トンもの水分を蓄えた大気の河(そういうものが存在するらしい)がその要因であると書かれているが、それがどうして数十年前よりもエネルギーを持つようになったか、そういうことが実は知りたかったのだが・・。
その理由は、地球温暖化というのは気候の問題で、台風や線状降水帯というのは気象の問題で、一見つながっているように思うが、科学的にはまったく別物だそうだ。
IPCC(気候変動に関する政府間パネル)の報告では、2010年にすでに「気候に明確な人為的影響が見られる。」と書かれているのだが、それは気候変動についてであって、それが気象現象にどんな影響を与えているかということはわからないそうだ。
まあ、「これが悪い!」なんて断定したらいろいろな方面から袋叩きにあったりしてしまうからわかってても言えないんだろうな。
気象観測や科学的分析というのはたかだか70年くらいのデータしかないから、それの原因を地球規模である気候変動に求めるということはまったく無理というのが著者の見解だ。
テレビに出てくる言いたい放題のコメンテーターは、災害危険区域というのはわかっているのだから強制的にでも移住させて被災者を減らせばいいと言っている。しかし、ひとはそんなに簡単にそれまで生きてきた土地を離れることはできない。そんなことができるのはイチかバチかの人生を歩んできたお笑い芸人だけだろう。気象をコントロールする技術も研究されているらしいがそれはきっと神に対する冒涜だ。
結局、数十年先はどうかわからないけれども今のところどんなに高速なスーパーコンピューターを使っても、まったく正確な気象予測はできない。(しかし、今でも相当正確だと思うが・・)ひとも動けないとなると悲しいけれども、毎年毎年梅雨から台風シーズンにかけて今年も災害が発生しましたというニュースを見続けなければならないのかもしれない。
願うならば、こういった研究者の方々が活躍して正確な気象予報と避難情報を組み合わせて被害者が少しでも減るようになってほしいものだ。
今年も熊本県を中心にして大雨の被害が出てしまったが、そんなおり、こんな本をみつけた。
もう、当たり前になってしまった、豪雨や台風の大きな被害はどのように起こるようになったかについて書かれた本だ。約400ページ。はっきりいってほぼ内容はわからなかった。
とりあえず、なんとなくそういうことなんだろうなというところを拾いながらまとめてみた。
“激甚気象”という言葉は、この本の出版社の編集者が作った造語だそうだ。
直近の激甚気象による被害としては、2004年、2018年が相当ひどかったらしい。
2004年の10月から僕はブログを書き始めたのでこの年に和歌山県ではどんなことが起こったかということは記憶にもなくたどることができないのだが、2018年のことは船が大被害を被ったのでよく覚えている。(僕がブログを書き始めたのは2004年10月1日からで、この台風については帰宅に4時間かかったということだけが書かれていた。最初の頃はメモ程度のことしか書かなかったようだ。)
しかし、2018年のほうは、あの台風のほかにも年明けから日本の各地で激甚気象が続いて各地で被害が出ていたそうだ。
2月、北海道、関東で大雪。
6月末、北海道で大雨。そして関東、甲信地方梅雨明け。九州、近畿北陸よりも早かった。
7月、西日本豪雨。200人以上が犠牲に。200人の死者を超えるのは1982年以来。
東日本では猛暑が続いた。7月23日、熊谷で41.1℃を記録。
8月21日、日本に最接近した台風19号は和歌山で大雨をもたらした。
9月4日、台風21号は神戸に上陸、関空が水没し、連絡協に貨物船が衝突。この台風で僕の2隻の船も沈没を免れたものの大きな被害を受けた。
そして台風の数自体も多かった。上陸は5個、接近は16個。うち、10個が主要四島へ接近、そして7個は猛烈な勢いの台風であった。
9月30日に日本に上陸した24号も直撃かと身構えたが、田辺市に上陸して和歌山市は台風の西側にはいっていたので大したことがなくてホッとしたことを覚えている。
その後、気象現象ではないけれども、その後9月6日、北海道胆振大地震が発生した。台風が運んできた雨で地盤がゆるんで起こった地滑りの画像は衝撃的だった。
北海道の大雪は、日本海寒帯気団収束帯というものが原因だそうだ。これは、シベリアからの寒気の流れ込みが北朝鮮の白頭山で分断され、その後再び合体して収束、勢いを増すという現象らしい。白頭山というと、北の将軍様の聖地として有名だが、これのおかげでとんでもないことが日本で起こってしまうというのもなんとも因果だ。
その後の大雪は、梅雨前線が北上しすぎたというのが原因らしい。北海道には梅雨がないと小学生だか中学生だかの頃に習ったが、今ではそうも言えないらしい。これも温暖化のせいだろうか。
西日本の豪雨は、もうその言葉がなじみになってしまった線状降水帯が原因だ。
その後の台風は高温の海水が台風に巨大なエネルギーを与えたという結果らしい。
そして、本題の、低気圧や台風がどうやって人間社会に大きな被害をもたらすほど発達してゆくのかということがかなりのページを割いて書かれている。しかし、ここのところがほとんどわからない。
たとえば、低気圧についてはこう書かれている。
『低気圧の力学的動きは、中心向きの気圧傾度力と外向きのコリオリ力および遠心力のバランスとなる。大きくなると気圧傾度力と遠心力がバランスの主要となり、低気圧はいくらでも大きくなれる。高気圧は中心向きはコリオリ力だけなのであまり強くなることはできない。だから甚大な被害はすべて低気圧が原因で発生する。』
コリオリってなんだ?気圧傾度力って一発で変換できないぞ・・。
天気予報でよく聞く、不安定な大気については、
『大気が不安定とは、下層の湿った空気が強制的に持ち上げられる高度(自由滞留高度)が低くなった状態を言い、この高度が低いほど大気の状態が不安定ということになる。別ないい方をすると、相当温位が高さとともに減少している状態であり、もっと簡単にいうと、相当空気が湿っているということになる。』
温位ってなんだ?もうわからない。相当空気が湿っているというのならだったら最初からそう書いてくれよ・・。と思ったりしてしまう。
天気予報の科学というのは、下駄を放り投げて裏か表かで予報していたころからするとものすごい進歩を遂げているらしい。例えばだが、局地的なゲリラ豪雨などは、分単位でどこで突然降り始めるかということを予測できるほど観測精度は上がっているそうだ。これはXバンドレーダーというやつを使うそうだが、僕もたまにサイトでみるやつだ。そんな精巧なものとは知らなかった。
しかし、それでもすべての気象現象を予測することはできないそうだ。そして多分、予測して避難情報を出したとしてもすべての住民がそれに従うとは思えない。みんな自分だけは大丈夫だと思うのが人情だ。ぼくも非常放送が流れたとしてもゆっくり構えてしまうほうだと思う。前に何かの本で読んだ、「正常性バイアス」という言葉もこの本に出てきていたがその通りだ。
そう思うと高精度の天気予報も宝の持ち腐れであるが、ひとはそれでもそのメカニズムを知りたいと思うのだろう。今では物理学と数学を使って気象現象は語られているそうだ。
そして、肝心な、最近頻発している50年に1度とか100年に1度とかいう激甚気象の元になっている原因については、素人がごく大まかに考えると、地球温暖化が原因だということになるのだろうけれども、それが明確にそうだということは語られていない。
低気圧や台風が大きくなるメカニズムについて、エルニーニョ現象やラニーニャ現象、南太平洋から続く数千万トンもの水分を蓄えた大気の河(そういうものが存在するらしい)がその要因であると書かれているが、それがどうして数十年前よりもエネルギーを持つようになったか、そういうことが実は知りたかったのだが・・。
その理由は、地球温暖化というのは気候の問題で、台風や線状降水帯というのは気象の問題で、一見つながっているように思うが、科学的にはまったく別物だそうだ。
IPCC(気候変動に関する政府間パネル)の報告では、2010年にすでに「気候に明確な人為的影響が見られる。」と書かれているのだが、それは気候変動についてであって、それが気象現象にどんな影響を与えているかということはわからないそうだ。
まあ、「これが悪い!」なんて断定したらいろいろな方面から袋叩きにあったりしてしまうからわかってても言えないんだろうな。
気象観測や科学的分析というのはたかだか70年くらいのデータしかないから、それの原因を地球規模である気候変動に求めるということはまったく無理というのが著者の見解だ。
テレビに出てくる言いたい放題のコメンテーターは、災害危険区域というのはわかっているのだから強制的にでも移住させて被災者を減らせばいいと言っている。しかし、ひとはそんなに簡単にそれまで生きてきた土地を離れることはできない。そんなことができるのはイチかバチかの人生を歩んできたお笑い芸人だけだろう。気象をコントロールする技術も研究されているらしいがそれはきっと神に対する冒涜だ。
結局、数十年先はどうかわからないけれども今のところどんなに高速なスーパーコンピューターを使っても、まったく正確な気象予測はできない。(しかし、今でも相当正確だと思うが・・)ひとも動けないとなると悲しいけれども、毎年毎年梅雨から台風シーズンにかけて今年も災害が発生しましたというニュースを見続けなければならないのかもしれない。
願うならば、こういった研究者の方々が活躍して正確な気象予報と避難情報を組み合わせて被害者が少しでも減るようになってほしいものだ。