場所:紀ノ川河口
条件:長潮 7:20干潮
釣果:ボウズ
今朝の朝焼けは燃えるような赤さだった。今思えば、今日の大事件を予告していたかのようである。
最後にタコを釣ったのは6年前。それ以来、幾度となくタコテンヤを抱えて紀ノ川河口に向かうが川の流れが速すぎてまったく歯が立たなかった。この、「流れが速い」というのは、そもそも船が流されてゆく速度が速いのであってそれさえ克服できれば仕掛け自体はそれほど流されないはずである。そこで一昨年くらいから考え始めたのが、船を固定して仕掛けをキャストして底をズルズル引いてくればタコが釣れるのではないかということだった。
一度は竹竿をアトラトルの代わりにしてタコテンヤを投げられないかと思い試してみたがまったく役に立たなかった。下手な考えは休むに似ているのかとあきらめもしていたのだが、中古の釣具屋を散策していると、タコエギなるものを見つけた。これが生のエサに比べてどれほどの効果があるのかわからないが、竿でキャストするにはやりやすいと考えた。
それが去年で、今年、いよいよそれを試すときが来たのである。
さすがにエギだけでは底を取れないだろうと三又のサルカンにスナップを装着し錘をセットできるように改良したものを作って準備をした。
タックルであるが、これもおあつらえ向きのものがあった。買ってはみたものの、まったく出番がないジギングの竿とスピニングリールだ。勢いあまってジギングの道具を買い集めたがまったく釣れる気がしなくて物置の飾りとなっていた。
ラインはPE3号、竿も相当硬いものだからタコが掛かっても切れたり折れたりすることはないだろう。
この道具といつものルアー釣りの道具を準備して紀ノ川河口に向かった。しかし、いろいろ準備したとはいえ、ほとんど釣れる気がしないので先にクーラーボックスを満タンにしておくべく、「わかやま〇しぇ」に向かった。
時刻は午前3時半、あれれ・・、半分くらいのお店はシャッターが下りている。お目当ての店も同じくだ。
聞いていたのは、午前2時半くらいから営業しているということだったが、今日は臨時休業だったのかしらと買い物を諦めて港に向かった。
予定よりも早く港に到着してしまったことと、夏至から半月以上も過ぎているというので真っ暗の中出港した。
いつもの場所に到着し碇を降ろした頃、少しずつ東の空が明るくなってきたのだけれども、それが赤い。明日は雨の予報となっているので空気中に水蒸気が漂っているのが原因なのはなんとなくわかるけれども、それにしても赤すぎる。それと今日の事件とはまったく関係がないのはわかるが、なにやら不気味だったのである。
今日もトップウォータープラグを投げてみるのだが、まったくアタリはない。そしてボイルもまったくない。少し明るくなってからのほうがボイルは出やすいのかと思ったがそうでもなかった。
しかし一度だけ、テトラの際で大きな水しぶきが上がった。その時は反対方向を向いていたのだが、何か大きな水音がしたので振り返るとまた水しぶきが上がった。相当大きなものが水面を割ったように見えた。例えるなら4,5歳くらいの子供が水の中に飛び込んだという感じだろうか。
急いでルアーを投げ込んだものの何の反応もなかったのだが、あれは一体何なのだったのだろうか・・・。とにかく、魚だったらメーター級に違いない。
結局、というか、当然のことのように獲物はなく、以前、タコが釣れた場所に向かう。この場所だが、衝突事故に遭った時の事情聴取の時に見せられた海図で、コンクリート塊と書かれていた場所と一致する。
この辺には建築廃材のようなものが投棄されていてタコの住処になっているのだろうと思う。
碇を降ろし、さっそくキャストしてみる。最初は35号の錘を使ったが竿が耐えられない。今度は30号に換えてみるとちょうどいい感じだ。3、40メートルは飛んで行く。しかし、根掛かりがひどい。テンヤもいくつか落としたことがあるが、今日はエギはひとつしかない。仕方なくエンジンを始動させ根掛かりした場所の反対側に回り回収。そんなことを2回繰り返し、これは危険だと感じて、少し場所を変え、根掛かりのないところを探ってみたがやはりこんな場所にはタコがいないのか、それとも今日という日が悪いのか、まったくアタリもなく間もなく飽きてしまった。
まだ午前6時を過ぎた頃だ。今から戻ればもう一度「わかやま〇しぇ」を覗けるかなと早々に退散。大きい方の船のビルジ溜まりを掃除して中央市場へ向かう。そしてその頃にはほぼすべてのお店のシャッターが開いていた。小売店としての営業開始は意外と遅いようだ。確かに、午前3時半にこんな場所を訪れるもの好きはいないのは確かだ。仲卸がメインの仕事の人たちばかりで、商売は別のところでやっているのだろうから店舗を開けても開けなくても関係がないので一般客に合わせて営業しているのだろう。
そして、いつものお店で冷凍コロッケを物色するのだが、ここも最近人気が出ているのか品薄気味だ。コロッケは一種類しかなく、お目当ての賞味期限間近の格安ドレッシングは皆無であった。う~ん、ここは僕だけのパラダイスでいてほしいのに・・。
お店の人たちはけっこう顔は覚えてくれているらしく、「今日はどうだった?」と聞いてくれる。「ボウズでした・・。」と答えると、かわいそうに思ったのか、賞味期限切れではあるけれども、ラーメンスープの素というのを恵んでくれた。僕は賞味期限なんて全然気にしないのでありがたい。しかし、同じようにして2年ほど前にもらったラーメンスープを現在消費中なのでこのスープを飲むのは大分先になりそうだ。
そして、新たなネタとして、「カオマンガイの素」というのを買ってみた。なんだかウルトラマンに出てくる怪獣の名前のようだが、タイの炊き込みご飯のようなものらしい。
こういう系統のものを買って帰ると奥さんは必ず、こんなもの使い方が分からないじゃないかとキッチンの片隅でゴミと化すのだが、これは炊いたご飯に混ぜるだけと書いてあったので自分でもできるだろうと思ったのだが、意に反して奥さんの評価は相当高かった。この料理のことを知っていたらしい。僕に内緒でどこかで食したことがあるのだろうか・・。
突然張り切りだして、夕食はこの素を使って本格的な(といってもこれが本格的かどうかというのはまったくわからないのであるが・・)カオマンガイを作ってくれた。
確かにこれは美味しい。鶏肉との相性は抜群だ。次にこのお店を訪れて、この素が残っていたらたくさん買い込んで友人に配ってみようとおもう。このお店では珍しく、賞味期限が来年の1月であるというのもありがたい。アウトレットのようなお店なので売り切れてしまえばそれで終わりなんだろうが・・。
家に帰って、シャワーを浴びてから燃料補給、図書館、歯医者を巡り、戻ってビデオを観ていると、母親が、「アベさん撃たれた。」と言っている。何のことだと思ったら、大事件が起こっていた。安倍元首相が銃撃されたというではないか。
場所は奈良県。僕もよく知っている場所だ。親会社に出向しているとき、ちょうど平城遷都1300年祭というのをやっていたのだが、この駅で土産物屋をやっていた。周辺には仕入れ先があったり、平城宮も近くだったので同業者の視察などでよくウロウロした。事件のあったロータリーもよく知っているが、確かに用心が悪そうなところで、元首相が立っていた場所なんて四方からどこでも狙えそうな場所だ。道を走っている車からでもすぐに狙える。SPさんも警備するには相当苦労しそうな場所というのはよくわかる。
犯人の動画もたくさん撮られていたようだが、どう見ても僕の方が人相は悪そうな気がした。まったく普通の人のように思えた。元首相と一般人というと、相当な距離感があると思うが、そんな普通の人がとんでもない距離間のある人を殺したいと思う程の憎悪を生む原因というのは一体何だったのだろう。それとも全く発作的な思い付きだったのだろうか。まったくわからなかった。
突然のニュースでなんだかピンと来なかったのだが、最初に思ったのが、戦争で人が死ぬということはきっとこういうことなのだろうということだった。直前にそのような本を読んでいたということも影響していたのだろう。
心肺停止状態だという報道がされたとき、なんでこの人が死ななければならないのだろうとまず思った。まあ、恨まれることも多い人だったのだろうが、それでも、誰かの手によって自分の人生を突然終わらせられるということはまったく不自然だし、ご本人も当然ながら思ってもいなかったことだろう。他人のことには極めて無関心であるが、落胆というか、徒労感というか、なんともいえない不快感が残った。
しかし、戦争とはこういったことが日常茶飯事におこなわれている状態でもある。さっきまで笑いながら話していた人が次の瞬間血まみれになって息絶えている。戦場にいる人も、民間人でさえもいつ自分の人生が途切れてしまうかわからないのである。今まで生きてきたことが無に帰すのである。たかが一人の人生だといえばそれまでなのかもしれないが、その人にとってはそれしかないのだからそれは無限大に大きいはずだ。
外国の指導者たちもいろいろな声明と同情を寄せてはいるが、自国民に同じことを強いているのがこの人たちではないのかと思いながら、そうせざるをえないのがこの世界でもあるのだなとも考えるのである。やはり世界は不条理でできているのかもしれないと、魚釣りの記録を書きながらまったく方向違いのことを考えていたのである・・。
今回の選挙はお悔やみ票で自民党が大勝するに違いない。
条件:長潮 7:20干潮
釣果:ボウズ
今朝の朝焼けは燃えるような赤さだった。今思えば、今日の大事件を予告していたかのようである。
最後にタコを釣ったのは6年前。それ以来、幾度となくタコテンヤを抱えて紀ノ川河口に向かうが川の流れが速すぎてまったく歯が立たなかった。この、「流れが速い」というのは、そもそも船が流されてゆく速度が速いのであってそれさえ克服できれば仕掛け自体はそれほど流されないはずである。そこで一昨年くらいから考え始めたのが、船を固定して仕掛けをキャストして底をズルズル引いてくればタコが釣れるのではないかということだった。
一度は竹竿をアトラトルの代わりにしてタコテンヤを投げられないかと思い試してみたがまったく役に立たなかった。下手な考えは休むに似ているのかとあきらめもしていたのだが、中古の釣具屋を散策していると、タコエギなるものを見つけた。これが生のエサに比べてどれほどの効果があるのかわからないが、竿でキャストするにはやりやすいと考えた。
それが去年で、今年、いよいよそれを試すときが来たのである。
さすがにエギだけでは底を取れないだろうと三又のサルカンにスナップを装着し錘をセットできるように改良したものを作って準備をした。
タックルであるが、これもおあつらえ向きのものがあった。買ってはみたものの、まったく出番がないジギングの竿とスピニングリールだ。勢いあまってジギングの道具を買い集めたがまったく釣れる気がしなくて物置の飾りとなっていた。
ラインはPE3号、竿も相当硬いものだからタコが掛かっても切れたり折れたりすることはないだろう。
この道具といつものルアー釣りの道具を準備して紀ノ川河口に向かった。しかし、いろいろ準備したとはいえ、ほとんど釣れる気がしないので先にクーラーボックスを満タンにしておくべく、「わかやま〇しぇ」に向かった。
時刻は午前3時半、あれれ・・、半分くらいのお店はシャッターが下りている。お目当ての店も同じくだ。
聞いていたのは、午前2時半くらいから営業しているということだったが、今日は臨時休業だったのかしらと買い物を諦めて港に向かった。
予定よりも早く港に到着してしまったことと、夏至から半月以上も過ぎているというので真っ暗の中出港した。
いつもの場所に到着し碇を降ろした頃、少しずつ東の空が明るくなってきたのだけれども、それが赤い。明日は雨の予報となっているので空気中に水蒸気が漂っているのが原因なのはなんとなくわかるけれども、それにしても赤すぎる。それと今日の事件とはまったく関係がないのはわかるが、なにやら不気味だったのである。
今日もトップウォータープラグを投げてみるのだが、まったくアタリはない。そしてボイルもまったくない。少し明るくなってからのほうがボイルは出やすいのかと思ったがそうでもなかった。
しかし一度だけ、テトラの際で大きな水しぶきが上がった。その時は反対方向を向いていたのだが、何か大きな水音がしたので振り返るとまた水しぶきが上がった。相当大きなものが水面を割ったように見えた。例えるなら4,5歳くらいの子供が水の中に飛び込んだという感じだろうか。
急いでルアーを投げ込んだものの何の反応もなかったのだが、あれは一体何なのだったのだろうか・・・。とにかく、魚だったらメーター級に違いない。
結局、というか、当然のことのように獲物はなく、以前、タコが釣れた場所に向かう。この場所だが、衝突事故に遭った時の事情聴取の時に見せられた海図で、コンクリート塊と書かれていた場所と一致する。
この辺には建築廃材のようなものが投棄されていてタコの住処になっているのだろうと思う。
碇を降ろし、さっそくキャストしてみる。最初は35号の錘を使ったが竿が耐えられない。今度は30号に換えてみるとちょうどいい感じだ。3、40メートルは飛んで行く。しかし、根掛かりがひどい。テンヤもいくつか落としたことがあるが、今日はエギはひとつしかない。仕方なくエンジンを始動させ根掛かりした場所の反対側に回り回収。そんなことを2回繰り返し、これは危険だと感じて、少し場所を変え、根掛かりのないところを探ってみたがやはりこんな場所にはタコがいないのか、それとも今日という日が悪いのか、まったくアタリもなく間もなく飽きてしまった。
まだ午前6時を過ぎた頃だ。今から戻ればもう一度「わかやま〇しぇ」を覗けるかなと早々に退散。大きい方の船のビルジ溜まりを掃除して中央市場へ向かう。そしてその頃にはほぼすべてのお店のシャッターが開いていた。小売店としての営業開始は意外と遅いようだ。確かに、午前3時半にこんな場所を訪れるもの好きはいないのは確かだ。仲卸がメインの仕事の人たちばかりで、商売は別のところでやっているのだろうから店舗を開けても開けなくても関係がないので一般客に合わせて営業しているのだろう。
そして、いつものお店で冷凍コロッケを物色するのだが、ここも最近人気が出ているのか品薄気味だ。コロッケは一種類しかなく、お目当ての賞味期限間近の格安ドレッシングは皆無であった。う~ん、ここは僕だけのパラダイスでいてほしいのに・・。
お店の人たちはけっこう顔は覚えてくれているらしく、「今日はどうだった?」と聞いてくれる。「ボウズでした・・。」と答えると、かわいそうに思ったのか、賞味期限切れではあるけれども、ラーメンスープの素というのを恵んでくれた。僕は賞味期限なんて全然気にしないのでありがたい。しかし、同じようにして2年ほど前にもらったラーメンスープを現在消費中なのでこのスープを飲むのは大分先になりそうだ。
そして、新たなネタとして、「カオマンガイの素」というのを買ってみた。なんだかウルトラマンに出てくる怪獣の名前のようだが、タイの炊き込みご飯のようなものらしい。
こういう系統のものを買って帰ると奥さんは必ず、こんなもの使い方が分からないじゃないかとキッチンの片隅でゴミと化すのだが、これは炊いたご飯に混ぜるだけと書いてあったので自分でもできるだろうと思ったのだが、意に反して奥さんの評価は相当高かった。この料理のことを知っていたらしい。僕に内緒でどこかで食したことがあるのだろうか・・。
突然張り切りだして、夕食はこの素を使って本格的な(といってもこれが本格的かどうかというのはまったくわからないのであるが・・)カオマンガイを作ってくれた。
確かにこれは美味しい。鶏肉との相性は抜群だ。次にこのお店を訪れて、この素が残っていたらたくさん買い込んで友人に配ってみようとおもう。このお店では珍しく、賞味期限が来年の1月であるというのもありがたい。アウトレットのようなお店なので売り切れてしまえばそれで終わりなんだろうが・・。
家に帰って、シャワーを浴びてから燃料補給、図書館、歯医者を巡り、戻ってビデオを観ていると、母親が、「アベさん撃たれた。」と言っている。何のことだと思ったら、大事件が起こっていた。安倍元首相が銃撃されたというではないか。
場所は奈良県。僕もよく知っている場所だ。親会社に出向しているとき、ちょうど平城遷都1300年祭というのをやっていたのだが、この駅で土産物屋をやっていた。周辺には仕入れ先があったり、平城宮も近くだったので同業者の視察などでよくウロウロした。事件のあったロータリーもよく知っているが、確かに用心が悪そうなところで、元首相が立っていた場所なんて四方からどこでも狙えそうな場所だ。道を走っている車からでもすぐに狙える。SPさんも警備するには相当苦労しそうな場所というのはよくわかる。
犯人の動画もたくさん撮られていたようだが、どう見ても僕の方が人相は悪そうな気がした。まったく普通の人のように思えた。元首相と一般人というと、相当な距離感があると思うが、そんな普通の人がとんでもない距離間のある人を殺したいと思う程の憎悪を生む原因というのは一体何だったのだろう。それとも全く発作的な思い付きだったのだろうか。まったくわからなかった。
突然のニュースでなんだかピンと来なかったのだが、最初に思ったのが、戦争で人が死ぬということはきっとこういうことなのだろうということだった。直前にそのような本を読んでいたということも影響していたのだろう。
心肺停止状態だという報道がされたとき、なんでこの人が死ななければならないのだろうとまず思った。まあ、恨まれることも多い人だったのだろうが、それでも、誰かの手によって自分の人生を突然終わらせられるということはまったく不自然だし、ご本人も当然ながら思ってもいなかったことだろう。他人のことには極めて無関心であるが、落胆というか、徒労感というか、なんともいえない不快感が残った。
しかし、戦争とはこういったことが日常茶飯事におこなわれている状態でもある。さっきまで笑いながら話していた人が次の瞬間血まみれになって息絶えている。戦場にいる人も、民間人でさえもいつ自分の人生が途切れてしまうかわからないのである。今まで生きてきたことが無に帰すのである。たかが一人の人生だといえばそれまでなのかもしれないが、その人にとってはそれしかないのだからそれは無限大に大きいはずだ。
外国の指導者たちもいろいろな声明と同情を寄せてはいるが、自国民に同じことを強いているのがこの人たちではないのかと思いながら、そうせざるをえないのがこの世界でもあるのだなとも考えるのである。やはり世界は不条理でできているのかもしれないと、魚釣りの記録を書きながらまったく方向違いのことを考えていたのである・・。
今回の選挙はお悔やみ票で自民党が大勝するに違いない。