ダンディ・ハリマオさんの『カレイドスコープ』より、転載させていただきます。
4号機プール-ABCの取材によって新たに分かったこと
ロバート・アルバレス氏 小出裕章氏 村田光平氏 鈴木智彦氏
6月25日夜、ABCの「報道7:30」というニュース番組で、「福島第一原発4号機の危機的状況」に関する報道が流れました。
これはABCオーストラリアで流された特集をアップしたもの。
北アジア特派員のマーク・ウィラシー記者の報告です。
日本とアメリカの核専門家は、別の地震が福島を襲えば、チェルノブイリ以上の大災害が始まるだろうと警告する
Japanese Diplomat urges UN intervention on SFP4
リー・セイルズ(女性司会者):
日本で、もう一つの巨大地震が起これば、その国家はチェルノブイリ事故の10倍もの規模の核災害に直面することになるかもしれません。
これは、専門家たちが、私たちABCの報道7:30に語っていることです。
昨年、巨大地震と津波が日本を襲ったとき、世界は核の大災害を恐れました。
福島の原子炉は被災地の中に位置しています。
ここのところ、福島の原発事故については、しばらく耳にしていませんが、危険は、まったく去っていないのです。
福島第一原発の4号機建屋の内部の状況は不安定である、と専門家たちが言っています。
北アジア特派員のマーク・ウィラシー記者の福島からの報告です。
マーク・ウィラシー記者:
「天は勇者を助く」と言います。
福島の人々は、この地震、津波、一連の核のメルトダウンを耐え忍べば、きっと良いことがあるだろうと考えています。
13ヶ月間、この競馬場は使われていませんでした。
放射能の恐怖から、人も馬も近寄らなかったからです。
とかく、今日の福島は、旗めいています。
これは、福島に運が向いてきた兆しでしょうか? おそらくは。
しかし、ここから数十km東に行ったところには、あのチェルノブイリ事故さえ小さく見えてしまうほど、破滅的な事態を引き起こすのに十分な核燃料を含んでいる、福島原発の使用済み燃料プールがあることを本当に理解している人は、ほとんどいません。
この、ほの暗いプールの中には、1331体もの使用済み燃料集合体があり、その1体1体には多くの燃料棒が入っているのです。
政策研究所・ロバート・アルバレス氏:
私が、いくらか計算したところ、4号機の使用済み燃料プールには、チェルノブイリ事故のときに放出された量の、およそ10倍ものセシウム137があります。
マーク・ウィラシー記者:
さらに、このプールの中は、昨年の災害で出た瓦礫が散乱していることが、この映像から分かります。
核技術者・小出裕章氏:
そのプールの中には、炉心に必要な量の2.5倍の核燃料があります。
そこには、ヒロシマ型原爆5000発以上ものセシウムが含まれていて、プールは、ちょうど高い場所に吊り下げられた状態になっています。
それが、いつ崩壊するのかは分らないのです。
マーク・ウィラシー記者:
これはプールがある場所です。原子炉の隣の地上5階の場所にあります。
この事態を、どのように見るかです。
これは、原子炉建屋が、水素爆発によってバラバラに吹き飛ばされた後の様子です。
爆風は屋根を引き剥がし、燃料プールの補強された壁を3.5センチ、外側に突出させました。
何百トンもの使用済み燃料のほうはどうかといえば、燃料を保護するために、白いプラスティックのシートがかけられているだけです。
何人かの核専門家は、「日本は、まさしく火遊びをしている」と警告します。
小出裕章氏:
もし、プールにひび割れができて、水が漏れ出すことになれば、燃料棒が空気中に露出されてしまいます。
そうなってしまえば、もう燃料を冷却することはできないでしょう。
もし、そのような事故が起これば、福島原発のメルトダウンによって、すでに放出されてしまった量の10倍以上ものセシウムが、大気中に出てしまうでしょう。
風が、どの方向に吹くかによっては、東京は住むことができなくなってしまうでしょう。
マーク・ウィラシー記者:
小出裕章氏は、有名な日本の京都大学の上級原子炉エンジニアで、警告を鳴らしている専門家の一人です。
小出裕章氏:
できるだけ早く、燃料棒を取り出さなければなりません。福島原発の周辺では、毎日のように地震が起こっています。
大きな地震が起こらないよう祈る思いです。
マーク・ウィラシー記者:
この警告は、国際的な核安全性の専門家であり、元・米国エネルギー省長官のアドバイザーであったロバート・アルバレス氏によって、再び繰り返されます。
ロバート・アルバレス氏:
放射能火災を防ぐ手立てが、水のプールでしかないのであれば、それは、とてつもなく高いレベルの放射能になります。
そのプールは、ハイリスクの地震発生地帯に建てられ、構造的なダメージを受けている建屋の中にあり、地上100フィート(約30メートル)の場所にあります。
もう、本当に、これ以上、恐ろしいことがあるでしょうか?
マーク・ウィラシー記者:
しかし、福島第一原発の東電担当者は、核物質が外気に開放されていて、地上30メートルの高さの損壊状態の建屋の中に、それがあるということを議論しているはずなのに、そうした話は脇に押しやり、「プールは安全です」と言うばかりなのです。
東電広報・ひとすぎ よしみ氏:
先日、(4号機)建屋の状態をチェックしました。
一つの壁に外側に出っ張った箇所があるにはありますが、それがプールや建屋の健全性に、なんら影響を与えるものではないと考えています。
プール、建屋とも、大きな地震に耐えうると考えています。
マーク・ウィラシー記者:
そして、燃料棒取り出しの問題についても、東電は、さして急いでいるようには見えないのです。
東電広報・ひとすぎ よしみ氏:
当初の方法は、建屋の天井に取り付けられていたクレーンを使って、燃料棒を取り出すことでした。
しかし、それは損傷を受けていたので、このために新しいクレーンを取り付けることになっています。
来年のいつ頃か、取り出し作業を開始したいと思っています。
ロバート・アルバレス氏:
それには、重量の重いオーバーヘッド・クレーンがなければなりません。
常時、水の下で使用済み燃料を操作し、非常に重いコンテナに中に入れる、という作業をしなければなりません。
コンテナそれ自体の重量だけでも、おそらく100トンはあるでしょう。
この作業を通常の状態で行うにしても、極度の慎重さを要求されるというのに、まして、これだけのダメージを被っているわけですから、燃料棒を安全に取り出すことができるかどうかについては、かなりの賭けであるということです。
マーク・ウィラシー記者:
メルトダウンが起こって以来、東電は、福島第一原発で起こっていることについて、秘密のベールに包んできました。
しかし、ある人物が、それを見抜くにいたりました。
鈴木智彦氏。
彼は日本のジャーナリズムの世界では珍しい存在です。
この記者は、真実を掴むために、自分の身を危険に晒すことにしたのです。
ジャーナリスト・鈴木智彦氏:
私が福島第一原発の作業員として潜入したとき、(放射能の)防護装具を身に付けていましたが、袖の上から、この腕時計を着けていました。この時計の中には秘密カメラが入っています。
マーク・ウィラシー記者:
彼は、秘密カメラが内蔵された腕時計と、他の装置を隠すように身に着けて、福島原発内部に入り込み、人々の生き様を記録しました。
彼が4号機建屋のすぐ隣で作業をしていたとき、彼の上方30メートルのところにある使用済み燃料プールについて聞いたことに衝撃を受けました。
ジャーナリスト・鈴木智彦氏:
私は4号機建屋の補強工事をしている作業員に話しかけたのです。
その作業員が言うには、使用済み燃料プールの中には膨大な量の重水が入っており、さらにプールを支えている鋼鉄製の支柱の枠組みが損傷を受けている、というのです。
そして、彼は私に「プールの補強は、あくまで一時的な修繕工事に過ぎないので、もし台風や嵐が襲ってきたら危険だ」とも言いました。
※この内容は、彼の著書「ヤクザと原発 福島第一潜入記」にも書かれています。
マーク・ウィラシー記者:
これが不自然な言い回しに聞こえますか?
さて、つい先月、福島県の隣接県を、日本の歴史的な暴風雨が襲いました。
元外交官・村田光平氏:
私は、それを「日本の病」と呼びます。
最初に、まず隠蔽し、次に先送りにして、そして、責任を負わないのです。
マーク・ウィラシー記者:
村田光平氏は、元駐スイス大使です。
彼は、国連事務総長の潘基文に、使用済み燃料プールに注意を向けてもらうよう、自分の抱いている恐れを伝えました。
村田光平氏:
東電と日本政府は、能力も目的意識も欠いています。
マーク・ウィラシー記者:
したがって、みなさんの意見では、もし燃料プールに問題があるのであれば、それは日本が終る、ということになるだろう、ということです。
村田光平氏:
はい。
それを否定する人は誰もいません。
私たちは平穏に眠ることができないのです。
マーク・ウィラシー記者:
そうなると、いったい誰が福島の人たちを元に戻してくれるのか。
専門家、ジャーナリスト、訴えを聞いてもらおうと必死になっている活動家たちの集団?
それとも、隠蔽と機能不全の歴史にまみれた東電?
競馬場に来ていた男性:
まあ、信じてはいないですけどね。
まったく安全に感じていません。放射線レベルは高いままですし。
小出裕章氏:
東電は、燃料プールが次の地震に耐えうると言っているのですが、私は、こんなことを信じることはできません。
これが、非常に心配なことなのです。
ロバート・アルバレス氏:
このようなことは、かつて起こったことがありませんし、これは、ある種、未知の水域の海図を作ろうとしているようなものなのです。
また、万一、そのようなことが起こってしまった場合には、国際的な次元の問題になるのです。
リー・セイルズ(女性司会者):
マーク・ウィラシー記者の報告でした。
***********************************
ここから管理人:
いまだに「安全」を繰り返すだけの東電。
壊れた建屋の上に200トン以上もの重量物を載せる異常さ
村田光平元駐スイス大使が言うように、「日本人は病に罹っていて」抜け出せないのです。
日本の大マスコミが無能であることは、もはや世界中の人々の周知となっています。
しかし、同時に情報の受け手である日本人の側にも、大マスコミを萎縮させ、しまいには隠蔽に加担させてしまう、ある性向があるのです。
それは、日本の人々が「極端から極端に走る」ということです。
人々は、まるで圧力鍋の蓋のようなマスコミ報道に疑惑の臭いを嗅ぎつけ、それがいよいよ昂じてくると、根拠の薄弱な情報をどこからか持ってきて、幻想の中に浮かび上がってきた自説を補強することに使うのです。
そして、それは周囲に伝播していくのです。
このレポートでは、二つの新しい情報が出てきました。
ひとつは、使用済み燃料プールには、真水ではなく重水が使われていること。つまり、プールの総重量は、それだけ重くなっているのです。
福島第一原発は、沸騰水型軽水炉(BWR-4)です。
軽水(通常の真水)を使って冷却する発電システムですが、4号機建屋の使用済み燃料プールには、それより比重の大きい重水が満水状態に入れられているのです。
もうひとつは、オーバーヘッド・クレーンの新設です。
今年3月5日、重さ110トンのオーバーヘッドクレーンが撤去されました。
地震で、このクレーンがドスンッと下に落ちる危険があったからです。
さて、このクレーンを使った燃料集合体のプールからの取り出し作業について、ロバート・アルバレス氏が、こう言いました。
「プールから燃料集合体を取り出すには、重量の重いオーバーヘッド・クレーンがなければなりません。
常時、水の下で使用済み燃料を操作し、非常に重いコンテナの中に入れる、という作業をしなければならないのです。
コンテナそれ自体の重量だけでも、おそらく100トンはあるでしょう」。
このコンテナというのは、ドライ・キャスク(下の写真)のことを言っているのです。
この記事に、燃料集合体の取り出し作業の手順と、ドライ・キャスクのことが書かれています。
幸いなことに、福島第一原発の敷地内に置かれていた、たくさんのドライ・キャスクは津波の被害に遭いませんでした。
この、少なくとも重さ100トン近くもあるドライ・キャスクをプールの中に沈め、燃料集合体を1本1本クレーンで吊り上げて、このドライ・キャスクの中に格納する作業は、滑る箸で、米粒を一粒ずつ、別の皿に移し変えるような神経戦です。
しかも、その作業を水の中でやるのです。空気に触れれば、その米粒は爆発するかもしれないのです。
そうした作業が毎日、来る日も来る日も続けられるのです。
マーク・ウィラシー記者は、4号機の使用済み燃料プールの中に収められているのは、1331体の使用済み燃料集合体と言っていますが、この他にも未照射の新品の燃料集合体204体がプールの中にあるのです。
合計で1535体。
未使用の燃料集合体は水の中から出して空気に触れても、すぐに発熱したりしませんが、取り出すときの注意は同じです。
どういうことか、というと新設のクレーン(極度に軽量化を図ったとしても、やはり100トン近くはあるのでしょう)で100トン近いドライ・キャスクをプールに沈め、水の中で燃料集合体を移し替えて、それをいったんプールから出して、下で待ち構えている運搬車にキャスクごと載せるのです。
これを、延々と、おそらく数十回繰り返すのです。
200トン以上の重量物が、あの壊れた建屋の5階フロアーに載せられるのです。
建屋の強度が、果たしてそれに耐えられるのか、ということです。
しかも、この作業を4号機が終ったら、1、2、3号機でも行うのです。
3号機建屋のどこに、新しいクレーンを設置できる骨組みがあるというのでしょう。
4号機プールから、燃料集合体を取り出す作業は、2013年12月から取り掛かることになっています。
しかし、細野豪志が胸を張ってマスコミに披露した方法では、残念ながら不可能でしょう。
まったく馬鹿げています。
まず、4号機建屋の構造的なダメージを細かく調べ上げ、再度、強度計算・構造計算をやり直し、徹底的に補強してから取り出し作業に取り掛かるか、あるいは、最大のリスクを冒しても、可能な限り早く取り出すかが明暗を分けることになります。
その場合、徹底的に補強工事をやっていれば、その分だけ取り出し作業は遠のき、アウターライズ地震の直撃を受ける危険性が高まります。
反対に、地震のリスクを低く抑えようと、何の補強工事も行なわないまま、梁の曲がった4号機建屋の屋上に重さ200トン以上もの重量物を載せ、リハーサルなしの“ぶっつけ本番”の作業も事故が起こる危険性を引き受けることになるのです。
マーク・ウィラシー記者が、感じたままを表現していました。
「これは賭けに違いない」と。
どうであれ、非常に低いオッズに数億人の人々の人生をかけることには変わりがないのです。
4号機建屋の傾き、構造的脆弱性について、東電の広報マンは、4号機外壁の耐震性「問題ない」を繰り返すばかり。
また、4号機建屋に新たな傾きが見つかったというのに、「見た感じはほとんど分らない」(東電:松本純一氏)
「見た感じは、ほとんど分らない」。
松本は精神に異常があります。
問題の東電病院で、すぐに診てもらうことです。
さらに、この報告を経済産業省が受理した(つまり、4号機プールは安全な状態にある、と国が認めたということ)というのですから、「日本の病理」が本当に深いことを思い知らされます。
結局、このABCの報告が本当に言いたいこと-それは、「お前たちのような無責任で幼稚な連中に、私たちの命を預けろと言うのか」です。
では、ここの管理人はどうなのか、ということですが、「やはり、関東は人間の住む場所ではないだろう」ということです。
といっても、簡単に移住などできませんから、少なくとも、「いつでもすぐに遠くに避難できるだけの準備は常にしておくべき」。
絶対に必要なのが、高性能のマスク(普通のサージカルマスクではガス化したセシウムを通してしまう)、ゴーグル、できればタイベックのような防護服も。
会社に行くとき、ドライブするとき、その他外で行動するときには、常に携行することが大切です。
後は、定期的に情報を取ること。
ネットのポータル・サイトでは、やはりyahoo!ニュースがいちばん早いですか。
その他では、原発専門のツイッターなどが早い。
4号機プール-ABCの取材によって新たに分かったこと
ロバート・アルバレス氏 小出裕章氏 村田光平氏 鈴木智彦氏
6月25日夜、ABCの「報道7:30」というニュース番組で、「福島第一原発4号機の危機的状況」に関する報道が流れました。
これはABCオーストラリアで流された特集をアップしたもの。
北アジア特派員のマーク・ウィラシー記者の報告です。
日本とアメリカの核専門家は、別の地震が福島を襲えば、チェルノブイリ以上の大災害が始まるだろうと警告する
Japanese Diplomat urges UN intervention on SFP4
リー・セイルズ(女性司会者):
日本で、もう一つの巨大地震が起これば、その国家はチェルノブイリ事故の10倍もの規模の核災害に直面することになるかもしれません。
これは、専門家たちが、私たちABCの報道7:30に語っていることです。
昨年、巨大地震と津波が日本を襲ったとき、世界は核の大災害を恐れました。
福島の原子炉は被災地の中に位置しています。
ここのところ、福島の原発事故については、しばらく耳にしていませんが、危険は、まったく去っていないのです。
福島第一原発の4号機建屋の内部の状況は不安定である、と専門家たちが言っています。
北アジア特派員のマーク・ウィラシー記者の福島からの報告です。
マーク・ウィラシー記者:
「天は勇者を助く」と言います。
福島の人々は、この地震、津波、一連の核のメルトダウンを耐え忍べば、きっと良いことがあるだろうと考えています。
13ヶ月間、この競馬場は使われていませんでした。
放射能の恐怖から、人も馬も近寄らなかったからです。
とかく、今日の福島は、旗めいています。
これは、福島に運が向いてきた兆しでしょうか? おそらくは。
しかし、ここから数十km東に行ったところには、あのチェルノブイリ事故さえ小さく見えてしまうほど、破滅的な事態を引き起こすのに十分な核燃料を含んでいる、福島原発の使用済み燃料プールがあることを本当に理解している人は、ほとんどいません。
この、ほの暗いプールの中には、1331体もの使用済み燃料集合体があり、その1体1体には多くの燃料棒が入っているのです。
政策研究所・ロバート・アルバレス氏:
私が、いくらか計算したところ、4号機の使用済み燃料プールには、チェルノブイリ事故のときに放出された量の、およそ10倍ものセシウム137があります。
マーク・ウィラシー記者:
さらに、このプールの中は、昨年の災害で出た瓦礫が散乱していることが、この映像から分かります。
核技術者・小出裕章氏:
そのプールの中には、炉心に必要な量の2.5倍の核燃料があります。
そこには、ヒロシマ型原爆5000発以上ものセシウムが含まれていて、プールは、ちょうど高い場所に吊り下げられた状態になっています。
それが、いつ崩壊するのかは分らないのです。
マーク・ウィラシー記者:
これはプールがある場所です。原子炉の隣の地上5階の場所にあります。
この事態を、どのように見るかです。
これは、原子炉建屋が、水素爆発によってバラバラに吹き飛ばされた後の様子です。
爆風は屋根を引き剥がし、燃料プールの補強された壁を3.5センチ、外側に突出させました。
何百トンもの使用済み燃料のほうはどうかといえば、燃料を保護するために、白いプラスティックのシートがかけられているだけです。
何人かの核専門家は、「日本は、まさしく火遊びをしている」と警告します。
小出裕章氏:
もし、プールにひび割れができて、水が漏れ出すことになれば、燃料棒が空気中に露出されてしまいます。
そうなってしまえば、もう燃料を冷却することはできないでしょう。
もし、そのような事故が起これば、福島原発のメルトダウンによって、すでに放出されてしまった量の10倍以上ものセシウムが、大気中に出てしまうでしょう。
風が、どの方向に吹くかによっては、東京は住むことができなくなってしまうでしょう。
マーク・ウィラシー記者:
小出裕章氏は、有名な日本の京都大学の上級原子炉エンジニアで、警告を鳴らしている専門家の一人です。
小出裕章氏:
できるだけ早く、燃料棒を取り出さなければなりません。福島原発の周辺では、毎日のように地震が起こっています。
大きな地震が起こらないよう祈る思いです。
マーク・ウィラシー記者:
この警告は、国際的な核安全性の専門家であり、元・米国エネルギー省長官のアドバイザーであったロバート・アルバレス氏によって、再び繰り返されます。
ロバート・アルバレス氏:
放射能火災を防ぐ手立てが、水のプールでしかないのであれば、それは、とてつもなく高いレベルの放射能になります。
そのプールは、ハイリスクの地震発生地帯に建てられ、構造的なダメージを受けている建屋の中にあり、地上100フィート(約30メートル)の場所にあります。
もう、本当に、これ以上、恐ろしいことがあるでしょうか?
マーク・ウィラシー記者:
しかし、福島第一原発の東電担当者は、核物質が外気に開放されていて、地上30メートルの高さの損壊状態の建屋の中に、それがあるということを議論しているはずなのに、そうした話は脇に押しやり、「プールは安全です」と言うばかりなのです。
東電広報・ひとすぎ よしみ氏:
先日、(4号機)建屋の状態をチェックしました。
一つの壁に外側に出っ張った箇所があるにはありますが、それがプールや建屋の健全性に、なんら影響を与えるものではないと考えています。
プール、建屋とも、大きな地震に耐えうると考えています。
マーク・ウィラシー記者:
そして、燃料棒取り出しの問題についても、東電は、さして急いでいるようには見えないのです。
東電広報・ひとすぎ よしみ氏:
当初の方法は、建屋の天井に取り付けられていたクレーンを使って、燃料棒を取り出すことでした。
しかし、それは損傷を受けていたので、このために新しいクレーンを取り付けることになっています。
来年のいつ頃か、取り出し作業を開始したいと思っています。
ロバート・アルバレス氏:
それには、重量の重いオーバーヘッド・クレーンがなければなりません。
常時、水の下で使用済み燃料を操作し、非常に重いコンテナに中に入れる、という作業をしなければなりません。
コンテナそれ自体の重量だけでも、おそらく100トンはあるでしょう。
この作業を通常の状態で行うにしても、極度の慎重さを要求されるというのに、まして、これだけのダメージを被っているわけですから、燃料棒を安全に取り出すことができるかどうかについては、かなりの賭けであるということです。
マーク・ウィラシー記者:
メルトダウンが起こって以来、東電は、福島第一原発で起こっていることについて、秘密のベールに包んできました。
しかし、ある人物が、それを見抜くにいたりました。
鈴木智彦氏。
彼は日本のジャーナリズムの世界では珍しい存在です。
この記者は、真実を掴むために、自分の身を危険に晒すことにしたのです。
ジャーナリスト・鈴木智彦氏:
私が福島第一原発の作業員として潜入したとき、(放射能の)防護装具を身に付けていましたが、袖の上から、この腕時計を着けていました。この時計の中には秘密カメラが入っています。
マーク・ウィラシー記者:
彼は、秘密カメラが内蔵された腕時計と、他の装置を隠すように身に着けて、福島原発内部に入り込み、人々の生き様を記録しました。
彼が4号機建屋のすぐ隣で作業をしていたとき、彼の上方30メートルのところにある使用済み燃料プールについて聞いたことに衝撃を受けました。
ジャーナリスト・鈴木智彦氏:
私は4号機建屋の補強工事をしている作業員に話しかけたのです。
その作業員が言うには、使用済み燃料プールの中には膨大な量の重水が入っており、さらにプールを支えている鋼鉄製の支柱の枠組みが損傷を受けている、というのです。
そして、彼は私に「プールの補強は、あくまで一時的な修繕工事に過ぎないので、もし台風や嵐が襲ってきたら危険だ」とも言いました。
※この内容は、彼の著書「ヤクザと原発 福島第一潜入記」にも書かれています。
マーク・ウィラシー記者:
これが不自然な言い回しに聞こえますか?
さて、つい先月、福島県の隣接県を、日本の歴史的な暴風雨が襲いました。
元外交官・村田光平氏:
私は、それを「日本の病」と呼びます。
最初に、まず隠蔽し、次に先送りにして、そして、責任を負わないのです。
マーク・ウィラシー記者:
村田光平氏は、元駐スイス大使です。
彼は、国連事務総長の潘基文に、使用済み燃料プールに注意を向けてもらうよう、自分の抱いている恐れを伝えました。
村田光平氏:
東電と日本政府は、能力も目的意識も欠いています。
マーク・ウィラシー記者:
したがって、みなさんの意見では、もし燃料プールに問題があるのであれば、それは日本が終る、ということになるだろう、ということです。
村田光平氏:
はい。
それを否定する人は誰もいません。
私たちは平穏に眠ることができないのです。
マーク・ウィラシー記者:
そうなると、いったい誰が福島の人たちを元に戻してくれるのか。
専門家、ジャーナリスト、訴えを聞いてもらおうと必死になっている活動家たちの集団?
それとも、隠蔽と機能不全の歴史にまみれた東電?
競馬場に来ていた男性:
まあ、信じてはいないですけどね。
まったく安全に感じていません。放射線レベルは高いままですし。
小出裕章氏:
東電は、燃料プールが次の地震に耐えうると言っているのですが、私は、こんなことを信じることはできません。
これが、非常に心配なことなのです。
ロバート・アルバレス氏:
このようなことは、かつて起こったことがありませんし、これは、ある種、未知の水域の海図を作ろうとしているようなものなのです。
また、万一、そのようなことが起こってしまった場合には、国際的な次元の問題になるのです。
リー・セイルズ(女性司会者):
マーク・ウィラシー記者の報告でした。
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ここから管理人:
いまだに「安全」を繰り返すだけの東電。
壊れた建屋の上に200トン以上もの重量物を載せる異常さ
村田光平元駐スイス大使が言うように、「日本人は病に罹っていて」抜け出せないのです。
日本の大マスコミが無能であることは、もはや世界中の人々の周知となっています。
しかし、同時に情報の受け手である日本人の側にも、大マスコミを萎縮させ、しまいには隠蔽に加担させてしまう、ある性向があるのです。
それは、日本の人々が「極端から極端に走る」ということです。
人々は、まるで圧力鍋の蓋のようなマスコミ報道に疑惑の臭いを嗅ぎつけ、それがいよいよ昂じてくると、根拠の薄弱な情報をどこからか持ってきて、幻想の中に浮かび上がってきた自説を補強することに使うのです。
そして、それは周囲に伝播していくのです。
このレポートでは、二つの新しい情報が出てきました。
ひとつは、使用済み燃料プールには、真水ではなく重水が使われていること。つまり、プールの総重量は、それだけ重くなっているのです。
福島第一原発は、沸騰水型軽水炉(BWR-4)です。
軽水(通常の真水)を使って冷却する発電システムですが、4号機建屋の使用済み燃料プールには、それより比重の大きい重水が満水状態に入れられているのです。
もうひとつは、オーバーヘッド・クレーンの新設です。
今年3月5日、重さ110トンのオーバーヘッドクレーンが撤去されました。
地震で、このクレーンがドスンッと下に落ちる危険があったからです。
さて、このクレーンを使った燃料集合体のプールからの取り出し作業について、ロバート・アルバレス氏が、こう言いました。
「プールから燃料集合体を取り出すには、重量の重いオーバーヘッド・クレーンがなければなりません。
常時、水の下で使用済み燃料を操作し、非常に重いコンテナの中に入れる、という作業をしなければならないのです。
コンテナそれ自体の重量だけでも、おそらく100トンはあるでしょう」。
このコンテナというのは、ドライ・キャスク(下の写真)のことを言っているのです。
この記事に、燃料集合体の取り出し作業の手順と、ドライ・キャスクのことが書かれています。
幸いなことに、福島第一原発の敷地内に置かれていた、たくさんのドライ・キャスクは津波の被害に遭いませんでした。
この、少なくとも重さ100トン近くもあるドライ・キャスクをプールの中に沈め、燃料集合体を1本1本クレーンで吊り上げて、このドライ・キャスクの中に格納する作業は、滑る箸で、米粒を一粒ずつ、別の皿に移し変えるような神経戦です。
しかも、その作業を水の中でやるのです。空気に触れれば、その米粒は爆発するかもしれないのです。
そうした作業が毎日、来る日も来る日も続けられるのです。
マーク・ウィラシー記者は、4号機の使用済み燃料プールの中に収められているのは、1331体の使用済み燃料集合体と言っていますが、この他にも未照射の新品の燃料集合体204体がプールの中にあるのです。
合計で1535体。
未使用の燃料集合体は水の中から出して空気に触れても、すぐに発熱したりしませんが、取り出すときの注意は同じです。
どういうことか、というと新設のクレーン(極度に軽量化を図ったとしても、やはり100トン近くはあるのでしょう)で100トン近いドライ・キャスクをプールに沈め、水の中で燃料集合体を移し替えて、それをいったんプールから出して、下で待ち構えている運搬車にキャスクごと載せるのです。
これを、延々と、おそらく数十回繰り返すのです。
200トン以上の重量物が、あの壊れた建屋の5階フロアーに載せられるのです。
建屋の強度が、果たしてそれに耐えられるのか、ということです。
しかも、この作業を4号機が終ったら、1、2、3号機でも行うのです。
3号機建屋のどこに、新しいクレーンを設置できる骨組みがあるというのでしょう。
4号機プールから、燃料集合体を取り出す作業は、2013年12月から取り掛かることになっています。
しかし、細野豪志が胸を張ってマスコミに披露した方法では、残念ながら不可能でしょう。
まったく馬鹿げています。
まず、4号機建屋の構造的なダメージを細かく調べ上げ、再度、強度計算・構造計算をやり直し、徹底的に補強してから取り出し作業に取り掛かるか、あるいは、最大のリスクを冒しても、可能な限り早く取り出すかが明暗を分けることになります。
その場合、徹底的に補強工事をやっていれば、その分だけ取り出し作業は遠のき、アウターライズ地震の直撃を受ける危険性が高まります。
反対に、地震のリスクを低く抑えようと、何の補強工事も行なわないまま、梁の曲がった4号機建屋の屋上に重さ200トン以上もの重量物を載せ、リハーサルなしの“ぶっつけ本番”の作業も事故が起こる危険性を引き受けることになるのです。
マーク・ウィラシー記者が、感じたままを表現していました。
「これは賭けに違いない」と。
どうであれ、非常に低いオッズに数億人の人々の人生をかけることには変わりがないのです。
4号機建屋の傾き、構造的脆弱性について、東電の広報マンは、4号機外壁の耐震性「問題ない」を繰り返すばかり。
また、4号機建屋に新たな傾きが見つかったというのに、「見た感じはほとんど分らない」(東電:松本純一氏)
「見た感じは、ほとんど分らない」。
松本は精神に異常があります。
問題の東電病院で、すぐに診てもらうことです。
さらに、この報告を経済産業省が受理した(つまり、4号機プールは安全な状態にある、と国が認めたということ)というのですから、「日本の病理」が本当に深いことを思い知らされます。
結局、このABCの報告が本当に言いたいこと-それは、「お前たちのような無責任で幼稚な連中に、私たちの命を預けろと言うのか」です。
では、ここの管理人はどうなのか、ということですが、「やはり、関東は人間の住む場所ではないだろう」ということです。
といっても、簡単に移住などできませんから、少なくとも、「いつでもすぐに遠くに避難できるだけの準備は常にしておくべき」。
絶対に必要なのが、高性能のマスク(普通のサージカルマスクではガス化したセシウムを通してしまう)、ゴーグル、できればタイベックのような防護服も。
会社に行くとき、ドライブするとき、その他外で行動するときには、常に携行することが大切です。
後は、定期的に情報を取ること。
ネットのポータル・サイトでは、やはりyahoo!ニュースがいちばん早いですか。
その他では、原発専門のツイッターなどが早い。