ウォシュレット…。
日本での普及率は世界一かもしれないと思えるほどに、今やありとあらゆる場所に設置されているウォシュレット。
こちらに移住してこの春で23年を迎えるのだが、我が家にも8年前からウォシュレットが登場した。
このウォシュレット、わざわざTOTOの物を注文し、業者さんが「こんなん見たことも付けたこともね〜よ」と、取扱説明書と睨めっこしながら取り付けてくれたのだけど、ものの1年もしないうちにぶっ壊れてしまった。
ビデを使うとノズルが登場してから退場するまでの間、ずっと水を噴射し続けるものだから、用事のないお尻までの間がびしょ濡れてしまう。
さらに、自動洗浄とやらがとち狂ってしまい、便器の外に水をジャアジャア撒き散らすので、そいつが出てくるまでにとっとと電源を切らねばならず、だから冬の温かい便座なんてものは望む術もない。
TOTOのくせにと頭にくるが、買い換える気も起こらず、今日も朝から電源をつけたり消したりしている。
去年の末に母の家にやって来たTOTOのウォシュレットくんは、非常に優秀で気遣いができて大人気である。
母は88歳にして、義父は76歳にして、出会った全自動ウォシュレットくんに惚れ込んでいる。
どのタイミングでふたが開くか、どのタイミングでふたが閉まるかを見極めるために、トイレのドアの外でこっそりと見張ったり、試しに手を出したり足を出したりしたらしい。
さらにはどのタイミングで水が流れるかを知りたいがために、パンツがまだ中途半端なまま立ち上がったり座ったりしていたらしい。
部屋に入ろうとするとパッとふたが開くトイレに慣れるにはしばらく時間がかかるわたしだが、あまりにも両親が興奮してるので、いつもより好意的に思えたのか、すぐに慣れてしまった。
確かに便利である。
特にろくに歩けなくなった母にとって、杖をついてようやく到着し、ドアを開けるや否やスウッとふたを上げてくれるトイレは、まるで「ようこそいらっしゃいました、お待ちしておりましたよ」と言われているような気になるのだろう。
さらには、彼女はちょっとした動作がきっかけになってバタンと倒れてしまう症状が出てきているので、ふたの上げ下げや水を流すノズルに手を伸ばさなくてもよくなったことは、大きな助けになっただろう。
とにかく二人の惚れようは横で見ていてもほっこりする。
名前をつけて呼びそうなほどの惚れっぷりである。
そんな二人と先日LINE電話で話していたのだが、突如こんなことを言い出した。
「あんた、お尻は何秒洗てる?」
一体何の話なのだとしばし唖然としていると、
「あんた、5秒以上洗たらあかんのやで!」ときた。
さっそく「ウォシュレット」「5秒以上」で検索してみたら、出てくる出てくる、いろんな説がいろんな人によって語られていた。
・温水は5、6秒あてれば十分
・長くあてすぎると、肛門周辺の皮脂まで洗い流されてしまう
・皮脂は、皮膚を刺激から守るバリアのような働きをするものなので、洗い流してしまうとかゆみやかぶれなどトラブルのもとになる
と、ここまで読んで、ふむ、どこかで聞いたことがあるなと思った。
ああ、洗顔に同じようなことが書かれてあって、わたしはそれを読んで以来、朝は生ぬるいお湯だけで顔を洗っているわけで、まさかお尻にも共有されることだとは思いもしなかった。
・お尻の穴に直接あてない
別に狙ったわけでもないのに肛門に直接当たるのか、見事に水が入ってしまうことが少なからず、わたしにはある。
わたしは大腸検査の大ベテランで、一度など2本のぶっといチューブを同時に突っ込まれて、長い時間かけて検査されたこともあるので、肛門の締まりがあまりよろしくないからか余計に水が入りやすい。
やばいのではないか?
・水圧は弱めに設定する
これは困った…。しっかり洗えてる感じを得たいが為に、水圧を強くしがちなのだ。
確かに水圧が強い分、飛沫が周りに飛び散る可能性も高まることは知っていたが、皮膚を傷める原因になるということにまで考えが至らなかった。
・腸内、膣を洗浄するための使用は、ウォシュレットの不適切な使い方である
温水が出るノズルはトイレの内部に設置されているので、こまめに清掃していたとしても菌が付着している可能性は否めず、そのノズルから出る水を腸内や膣に流し込むのはとても不衛生、と書かれてあった。
そういや夫は、うちのウォシュレット以外は使う気にならないと言っている。
いや、うちのウォシュレットにだってきっと菌が付着しているはずで、それが夫菌であろうがまうみ菌であろうが、菌には違いないのだが…。
というわけで、赤裸々とまでは言えないが、かなりぶっちゃけた話になったのだけど、あれから5秒が気になって仕方がないトイレタイムなのである。