ウィンザー通信

アメリカ東海岸の小さな町で、米国人鍼灸師の夫&空ちゃん海ちゃんと暮らすピアノ弾き&教師の、日々の思いをつづります。

あと3日で発表会

2023年11月08日 | ひとりごと
どこの花屋さんに行っても見つけられなかった葉牡丹を、近所のホームセンターで見つけた。
月一でうちに来て、あちらこちらの不具合を修理してくれている何でも屋さんと一緒に、夫の漢方薬の収納棚を作るための材木を買いに行った時のことだ。
でも、プラスチックの鉢にはケールと記されていて、わたしがいそいそとカートに入れていると、それって食べられるの?と聞いてきた人が3人もいた。
確かにケールではある。もしかしたら食べられるのかもしれない。
けれどもわたしにとっては懐かしの葉牡丹であり、ちょっと派手目の姿のものも葉牡丹もどきであると強引に決めつけて購入した。
春からずっと楽しませてくれていた鉢植えの、弱った草花を引っこ抜き、空いたところに葉牡丹を差し植えした。
なかなかいい感じである(自画自賛丸出し😅)。

今年のハロウィンのトリートはこんな感じ。ハーシーズチョコレートのミニ版詰め合わせを買っておいた。
やって来たちびっ子たちから、こういう大きめでちゃんとした(どういう意味だろう?)のをくれてありがとう!とお礼を言われた。
小さくてちゃんとしていない甘い物をイヤイヤながら受け取る…ちびっ子たちも大変だな。


これは、便利屋さんが作ってくれた漢方薬棚第二号。

ここは夫が仕事場にすると言ってから、すでに◯◯年も経った2階の一室である。
台所の棚を作ってもらった時もそうだったけど、木の良い香りがふわふわと漂っていて、2階に上がるたびになんともいい気分になるのだが、さすが110歳の家らしく壁が波打っているわ、床が傾いているわで、作業のいちいちがかなり大変そうだった。

さて、これは一体なんでありましょう。

発表会の終わりに、よく頑張りましたで賞のトロフィーを渡すのだが、今回のトロフィーの底に『Made in China』というシールが貼られていて、こちらにもいる『Made in China』アレルギーの親御さんのことを考慮して、シールを剥がすことにしたのだけど、このシールがまた厄介で、爪でゴシゴシ擦っても糊がベッタリついたまま、というタイプだった。
なので粗方を剥がし、糊の跡を消しゴムで擦り取り、テープで細かい屑を拾い、仕上げに布でゴシゴシ拭くという作業を延々とし続けた。
発表会の準備には、そりゃ色々な類の作業があるけれど、時間の余裕さえあればこういう単純作業は嫌いではない。時間の余裕さえあれば、ね。

2時間近く離れたところからはるばるやって来てくれる生徒さんが、花がよく咲くようにと、帰り際にチャチャっと選定してくれた菊が、彼女が言った通り庭中で笑い咲いている。

こちらはいつ植えたかも覚えていない菊さん。

夏の間はミントの森に埋もれていた孔雀さんが姿を現した。

落ち葉を放ったらかしにしている我が家では、森の中のハイキング気分を満喫できるので、期間限定ではありますが、お好きな方はどうぞいらしてください。


夏過ぎからほとんど無視していたソメイヨシノ姉妹の様子がなんだかおかしい…近づいてみると、


あまりの惨状に呆然と立ち尽くすしかなかった。
なんでこんなになるまで気がつかなかったのだろう。
痛かっただろうに、ずっと助けを求めていただろうに、わたしは部屋の中からぼうっと眺めていただけで、めくれた樹皮の色の変化にさえ気がつかなかった。
姉妹は空と海の爪研ぎ場にされてしまっていたのだろう。
今年の春に、それまで鹿避けに張っていた金網を外したからで、鹿の害ばかりを考えていた自分を責めたのだけど後の祭りだ。

もう元には戻れないだろうけど、これ以上痛い思いをさせないように、遅まきながら、そして不十分ながら、とりあえず応急処置をした。


その痛々しい姉妹の近くで年々大きくなってきた雑木だが、可愛い花と実をつけるので、毎年どうしたものかと思案している。


菜園を覗くと、なんとまあ、小松菜やアルゴラ、そしてシシトウや茗荷が頑張ってくれているではないか!

さすがに張りには勢いが欠けるものの、前日の夜は0℃にまで気温が落ちたのにこの姿。ありがたやありがたや。

金網の夏の名残。

ただただだだっ広い近所の公園。




ちっちゃなコンダラを見つけた。

ずっとずっと何回レッスンをしても一向に進歩がなかった高校生の生徒が、とうとうのとうとう弾けるようになってきた。
ここに来るたびに次はきっとちゃんと弾けるようにしてくると言って、けれども次に来た時に全く同じところで弾けなくなって止まってしまう子だった。
それも最初の3小節目で…。
2週間前に、もうこれでは無理だ、連弾の曲は諦めてソロの曲だけに集中しようと、ほとんど懇願に近い気持ちで話しても、いや、絶対に両方とも弾きたいと言って聞かない。
弾けるはずの子がいつまで経っても弾けないという謎のもやが頭の中でじわじわ増え続け、それは心にまで入り込んできた。
このままでは発表会までにこちらが参ってしまうと思い、両親にこれまでの一部始終を伝えるメールを書いて送った。
父親は特に音楽に関心があり、娘の教育にも熱心な人なので、彼自身もずっと心配して彼女を説得していたようだった。
そして彼は、わたしが全く知らなかったことを話してくれた。
彼女はマーチングバンドと学校主催の特別プロジェクトに参加して、その練習や準備、そしてフットボールの試合応援にずっと時間を取られていたらしい。
単純にピアノを練習する時間などほとんど無かったわけだ。
でもその練習や準備も、先週の土曜日で全部終わるので、彼女は100%発表会の準備に携われるはずだ、と父親は言う。
ふむ…。
どうして彼女はそのことをわたしに一言も話さなかったのだろう。
話したら最後、そんな状態だったら2曲は無理だから、どちらかを選ぶか発表会自体をキャンセルしなさいと言われると思ったからだろうか。
深々とため息をついて、父親と本人にメールを返した。
明日の日曜日から発表会の土曜日までの6日間、ここに毎日来ることはできますか?

日曜日の朝に1時間半、父親と一緒に来てもらい、ダメもとでレッスンをした。
父親はわたしが言う言葉をパタパタとノートパソコンに打ち込み、わたしの演奏を聴くとどんなに違うかを娘に力説した。
「まうみの音からは歌声や感情がじんじん伝わってくるけど、あなたのはただ鍵盤を叩いているだけに過ぎない」などと、きついことを言うのでちょっとドキドキした。
とにかく真似っこでもいいから、明日の月曜日の夜までに良い結果を出して見せてと言って帰した。
翌日の月曜日、なんと彼女はほぼ、どちらの曲も弾けるようになっていた。
聞くと、月曜日は学校を休み、父親と一緒にスタジオにこもり、朝から晩までひたすら練習したそうな。
そこまでしなくても、と思ったけれど、父娘で話し合って決めたらしい。
そして昨日、やっと曲想のこと、フレーズのこと、鍵盤タッチのことなどを伝えることができた。
今日も彼女はやって来る。
「もうこんな無茶は二度と嫌だからね」と苦笑いで言うと、彼女も苦笑いしながら「うん」と言った。
舞台でいい演奏ができますように。
コメント
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