2) 産地を誤魔化す。(前回の続きです。)
① 胎土の違い。
② 現在の市販された土(粘土、磁土)は、幾つかの土でブレンドされています。
陶芸作家の人も、自分で使う粘土は、作品に応じて、数種類の土を調合しています。
従来単身で使われていた土も、現在では枯渇している場合が多く、産出されていたとしても、
ほんの僅かな量で、地元で消費する量も賄いきれない処が大部分です。
) 現在市販されている土は、合成された土がほとんどです。
見てくれや焼き上がり状態では、(古い)本物と見分けが付かない程度に調合されています
それ故、現代の土で作り、古色付けした場合、土のみで産地を見分けると、本物と誤魔化
される事に成ります。
) ブレンド品が多い理由。
a) 上記の様に産出量が減少している為や需要に応じる為に、ブレンド品が作られています。
備前の土は、合成備前の土として市販されています。又、志野の「もぐさ土」などは、
ほとんど産出する事がなく、代替品も中々見つかりません。
b) 安定した品質を保持する為。
同じ土地の土でも、ほんの数百m離れ場所から採取した土で、品質にバラツキがあります
c) 土の個性を殺す為。
・ 土はその土特有の個性を持っています。その個性が魅力であっても、一般人には邪魔に
なり、制作し難い場合が多いです。
・ 例えば、轆轤挽きでは旨くいかない土もあります。
即ち、土の伸びが悪い土、腰の無い土(薄作りが困難)などです。更に、焼き締まりの
弱い土(焼成後はもろい)、逆に強過ぎる土(収縮率が大きいく、釉との相性が悪い)。
・ その他、焼き締まる温度が、他の土と異なる場合(一緒の窯で焼けない)などがあり、
どうしても、土の個性が邪魔になります。
③ 現在でも昔と同じ土が使われています。
信楽の土は、今でも沢山有ると言われています。(それ故、他の土地の土より、安く購入
出来る訳です。)即ち、現在では、同じ土を使う事で、その作品の産地が判明する訳では
ありません。他所で作られた場合、○○焼きでは無く、○○風の焼き物という事になります
尚、信楽では土で時代区分が出来ませんので、その形や様式から判断します。
④ 産地を特定するには、土以外に成形方法や、模様などの様式の違い、釉の違い、焼成する
窯の違いが上げられます。
) 成形方法の違い。
成形方法には、大きく分けて、轆轤成形と手捻り成形があります。時代や産地によって
その産地特有の成形方法も存在しますので、産地特定の一つになります。
a) 轆轤成形でも紐を積み上げてから成形する方法や、土の塊から直接轆轤挽きする方法が
あります。
例えば、信楽焼を例にとれば、土紐を積み上げる方法が、須恵器の登場と共に、轆轤挽き
で制作される様になります。(渡来人の影響と言われています。)しかし、鎌倉時代に
成ると、轆轤挽きの技術は、全く姿を消し、昔の方法に逆戻りしています。
それ故、左右対称の作品は少ないです。
b) 信楽焼は鎌倉から室町時代初期に掛け、最も信楽らしい作品が多く作られています。
この時代の作品は、轆轤を使っていない為、土が薄く伸ばす技術は無く、単に土を
積み重ねた肉厚のものが特徴です。但し口縁部は若干肉が薄くなっています。
以下次回に続きます。
① 胎土の違い。
② 現在の市販された土(粘土、磁土)は、幾つかの土でブレンドされています。
陶芸作家の人も、自分で使う粘土は、作品に応じて、数種類の土を調合しています。
従来単身で使われていた土も、現在では枯渇している場合が多く、産出されていたとしても、
ほんの僅かな量で、地元で消費する量も賄いきれない処が大部分です。
) 現在市販されている土は、合成された土がほとんどです。
見てくれや焼き上がり状態では、(古い)本物と見分けが付かない程度に調合されています
それ故、現代の土で作り、古色付けした場合、土のみで産地を見分けると、本物と誤魔化
される事に成ります。
) ブレンド品が多い理由。
a) 上記の様に産出量が減少している為や需要に応じる為に、ブレンド品が作られています。
備前の土は、合成備前の土として市販されています。又、志野の「もぐさ土」などは、
ほとんど産出する事がなく、代替品も中々見つかりません。
b) 安定した品質を保持する為。
同じ土地の土でも、ほんの数百m離れ場所から採取した土で、品質にバラツキがあります
c) 土の個性を殺す為。
・ 土はその土特有の個性を持っています。その個性が魅力であっても、一般人には邪魔に
なり、制作し難い場合が多いです。
・ 例えば、轆轤挽きでは旨くいかない土もあります。
即ち、土の伸びが悪い土、腰の無い土(薄作りが困難)などです。更に、焼き締まりの
弱い土(焼成後はもろい)、逆に強過ぎる土(収縮率が大きいく、釉との相性が悪い)。
・ その他、焼き締まる温度が、他の土と異なる場合(一緒の窯で焼けない)などがあり、
どうしても、土の個性が邪魔になります。
③ 現在でも昔と同じ土が使われています。
信楽の土は、今でも沢山有ると言われています。(それ故、他の土地の土より、安く購入
出来る訳です。)即ち、現在では、同じ土を使う事で、その作品の産地が判明する訳では
ありません。他所で作られた場合、○○焼きでは無く、○○風の焼き物という事になります
尚、信楽では土で時代区分が出来ませんので、その形や様式から判断します。
④ 産地を特定するには、土以外に成形方法や、模様などの様式の違い、釉の違い、焼成する
窯の違いが上げられます。
) 成形方法の違い。
成形方法には、大きく分けて、轆轤成形と手捻り成形があります。時代や産地によって
その産地特有の成形方法も存在しますので、産地特定の一つになります。
a) 轆轤成形でも紐を積み上げてから成形する方法や、土の塊から直接轆轤挽きする方法が
あります。
例えば、信楽焼を例にとれば、土紐を積み上げる方法が、須恵器の登場と共に、轆轤挽き
で制作される様になります。(渡来人の影響と言われています。)しかし、鎌倉時代に
成ると、轆轤挽きの技術は、全く姿を消し、昔の方法に逆戻りしています。
それ故、左右対称の作品は少ないです。
b) 信楽焼は鎌倉から室町時代初期に掛け、最も信楽らしい作品が多く作られています。
この時代の作品は、轆轤を使っていない為、土が薄く伸ばす技術は無く、単に土を
積み重ねた肉厚のものが特徴です。但し口縁部は若干肉が薄くなっています。
以下次回に続きます。