2) 我が国中世の焼き物の贋作。(前回の続きです。)
③ 越前焼の贋作。
昨今の「古陶ブーム」に乗り、お歯黒(おはぐろ)壷が注目を集め、贋作が作られる様に
なります。
) 既婚の女性が歯を黒く染める風習は、江戸時代以前からありましたが、一般に広がるのは
江戸時代以降と言われています。
越前地方では昭和の初期頃まで存在していた様です。その為、最近まで、お歯黒壷は多く
打ち捨てられて残っていましが、その数も減り、贋作が登場する様に成ります。
注: お歯黒壷: 液体の鉄漿(かね)が、お歯黒の原料です。鉄片を茶の汁や酢
に浸し酸化させた褐色、栗色の液体で、五倍子の粉(ふしのこ)を入れて黒くしたものを
歯に塗りました。この液体を入れる高さ約20cm程度の小壷を「お歯黒壷」と言います。
) 一番人気のあるのが、細長い徳利形で、鉄釉が掛かった物で、この手の壷が多量に
贋作として、制作されています。
) 小型の壷ですので、容易に作る事が可能ですので、大量に出回る事になります。
偽者は本物より軽く出来ています。
) 真贋のポイントは、口造りと底造りにあると言われています。
更に、耳も付いた壷では、耳の付け根にも注意が必要です。贋作は作為が感じられる
との事です。
) お歯黒壷は茶の湯の花生として、愛用される用になります。
④ 珠洲(すず)焼。
珠洲焼の名前が脚光を浴びる様になったのは、ここ数十年の事です。
昭和38年頃から、地元の中野錬次郎氏の研究により、古窯址が発掘、発見され珠洲焼きの
存在が知れ渡る様になります。
珠洲焼の本拠地は、現在の能登半島東北端から、飯田湾を望む珠洲市内海の周囲にあり、
十数基の古窯址が発見、発掘されています。
珠洲焼は室町中期頃には、生産を終了しています。原因は燃料の枯渇や、低い生産性の為、
他の焼き物との競争に敗れたとの説もあります。
) 珠洲焼の特徴。
a) 灰色の作品。還元炎で燻製による焼成の結果です。
b) 須恵器の時代の作品は、他の窯が多種類の作品を作っていたのに対し、珠洲では、主に
大甕(かめ)擂鉢、壷の三種類のみを作っています。作品の底が平らなのが特徴になって
います。
c) 平安末~鎌倉中期ごろは、肌理(きめ)の細かい叩き目のある壷が作られています。
胴部内側には、叩き締めによる、当木(あてぎ)の丸状の叩き痕が残り、紐造りの繋ぎ目
の跡が残ります。 頸部は長く、口造りも大きく成っています。器の表面には、波状文や
飛鳥樹文などの多種類の文様で装飾されています。
d) 鎌倉以降では、陶土も肌理が荒くなり、造り方も粗雑に成っていきます。
口縁も玉縁で、口径も小さくなっています。器形は、撫ぜ肩になります。
) 珠洲焼と他の焼き物との混同。
a) 須恵器との混同。叩き成形による制作方法は須恵器と同じです。更に、無釉の還元焼成
による焼き締め陶器ですので、須恵器と混同され易いです。
b) 他の灰色の焼き締め陶器との混同。
陶器で薪による焼成で失敗(焼き損じ)した場合、作品が灰色に成る場合があります。
この様な陶器が、珠洲焼として、流通している事も多い様です。
以下次回に続きます。
③ 越前焼の贋作。
昨今の「古陶ブーム」に乗り、お歯黒(おはぐろ)壷が注目を集め、贋作が作られる様に
なります。
) 既婚の女性が歯を黒く染める風習は、江戸時代以前からありましたが、一般に広がるのは
江戸時代以降と言われています。
越前地方では昭和の初期頃まで存在していた様です。その為、最近まで、お歯黒壷は多く
打ち捨てられて残っていましが、その数も減り、贋作が登場する様に成ります。
注: お歯黒壷: 液体の鉄漿(かね)が、お歯黒の原料です。鉄片を茶の汁や酢
に浸し酸化させた褐色、栗色の液体で、五倍子の粉(ふしのこ)を入れて黒くしたものを
歯に塗りました。この液体を入れる高さ約20cm程度の小壷を「お歯黒壷」と言います。
) 一番人気のあるのが、細長い徳利形で、鉄釉が掛かった物で、この手の壷が多量に
贋作として、制作されています。
) 小型の壷ですので、容易に作る事が可能ですので、大量に出回る事になります。
偽者は本物より軽く出来ています。
) 真贋のポイントは、口造りと底造りにあると言われています。
更に、耳も付いた壷では、耳の付け根にも注意が必要です。贋作は作為が感じられる
との事です。
) お歯黒壷は茶の湯の花生として、愛用される用になります。
④ 珠洲(すず)焼。
珠洲焼の名前が脚光を浴びる様になったのは、ここ数十年の事です。
昭和38年頃から、地元の中野錬次郎氏の研究により、古窯址が発掘、発見され珠洲焼きの
存在が知れ渡る様になります。
珠洲焼の本拠地は、現在の能登半島東北端から、飯田湾を望む珠洲市内海の周囲にあり、
十数基の古窯址が発見、発掘されています。
珠洲焼は室町中期頃には、生産を終了しています。原因は燃料の枯渇や、低い生産性の為、
他の焼き物との競争に敗れたとの説もあります。
) 珠洲焼の特徴。
a) 灰色の作品。還元炎で燻製による焼成の結果です。
b) 須恵器の時代の作品は、他の窯が多種類の作品を作っていたのに対し、珠洲では、主に
大甕(かめ)擂鉢、壷の三種類のみを作っています。作品の底が平らなのが特徴になって
います。
c) 平安末~鎌倉中期ごろは、肌理(きめ)の細かい叩き目のある壷が作られています。
胴部内側には、叩き締めによる、当木(あてぎ)の丸状の叩き痕が残り、紐造りの繋ぎ目
の跡が残ります。 頸部は長く、口造りも大きく成っています。器の表面には、波状文や
飛鳥樹文などの多種類の文様で装飾されています。
d) 鎌倉以降では、陶土も肌理が荒くなり、造り方も粗雑に成っていきます。
口縁も玉縁で、口径も小さくなっています。器形は、撫ぜ肩になります。
) 珠洲焼と他の焼き物との混同。
a) 須恵器との混同。叩き成形による制作方法は須恵器と同じです。更に、無釉の還元焼成
による焼き締め陶器ですので、須恵器と混同され易いです。
b) 他の灰色の焼き締め陶器との混同。
陶器で薪による焼成で失敗(焼き損じ)した場合、作品が灰色に成る場合があります。
この様な陶器が、珠洲焼として、流通している事も多い様です。
以下次回に続きます。