わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

素朴な疑問 69 陶磁器の表面装飾方法 11

2015-01-28 21:40:14 | 素朴な疑問
7) 絵付けによる装飾。

  絵付けには、生の状態、素焼き後、本焼き後に行う方法があります。

  生の状態の場合、絵の具を使う事もありますが、多くは泥漿した色土や鉄を含んだ鬼板などで、

  筆やイッチン技法などで、描く事が多いです。

  素焼き後に行う絵付けの事を、下絵付けと呼びます。即ち釉を上に掛けますので、釉の下の絵と

  言う事です。絵付け後高温(1200~1300℃程度)で焼成し、発色させます。

  本焼き後に行う絵付けは、上絵付けと呼ばれています。一般に800℃程度で焼き付ける事が

  多いです。焼成温度が低いのは、低い温度でなければ、綺麗に発色する事がない為です。

  一般に、絵付けとは下又は上絵付けを指します。これらは、絵の具(顔料)を使いますが、

  焼成前と焼成後の色の変化は少なく、安定的に発色しますので、安心して使用できます。


 ① 下絵付け。

  ) 染付け、青花。コバルトを原料にした顔料で、呉須(ごす)と呼ばれる青~紺色に発色

    する物が代表的な物で、古い時代から使われています。染付けに付いては、何度も取り

    上げていますので、詳細は省略します。薄くしても発色する強固な発色剤です。

    それ故、濃淡を付ける事も可能です。

  ) 鉄絵。酸化鉄を顔料にした顔料で、代表的な物が鬼板(おにいた)と呼ばれる、含鉄土

    です。濃度により茶色~褐色~黒色に発色します。ごく薄くすると発色しません。

  ) 高い温度で発色する、古くから存在する顔料は上記の呉須と、鬼板の二種類ですが、

    近年色数も豊富になっています。即ち、赤、桃、黄、緑(ひわ色、濃緑など)、オレンジ、

    青、紫、紺、黒、白色などです。以前ですと、粉末状で市販され、水を加えて乳鉢などで

    磨り、微細にする必要が有りましたが、近年では水彩絵の具の様に、チューブに入っており

    そのまま直ぐに使える様になっています。

  ) 使い方は水彩絵の具と同じです。筆で塗るのが一般的ですが、その他に、釉の様に漬け

    掛けや流し掛け、スプレー掛け、ブラッシング、吹墨など色々な技法があります。

  ) コバルトは強力な顔料ですので、失敗すると消す事が難しいです。それ故、ぶっつけ本番

    では無く、鉛筆などで下絵を施してから、本番に描きます。現在の鉛筆の芯はプラスチック

    製ですので、本焼きで消失しますので、気にする必要はありません。以前は本物の鉛を

    含んでいた為、使えず毛筆用の墨や、赤インクが使われていました。

  ) 絵付けで注意すべき事は、顔料で描いた部分は、施釉(一般に透明釉)が完了するまで、

    触らない事です。顔料は、単に作品の表面に載っているだけですので、容易に指に転写し

    ます。指に付いた顔料は更に作品の別の場所に転写しますので、汚れがどんどん広がる事に

    成ります。

  ) 転写紙の利用。

    現在陶芸材料店には、各種の転写紙が市販されています。紙に多色で印刷され絵柄で、

    容易に作品に転写する事ができます。複雑な模様や細かい模様まで、手で描く事が困難な

    絵柄であっても簡単に転写できます。その方法は、転写紙の使用する部分を鋏(はさみ)で

    切り取り、作品の必要な場所に載せます。その上から水で塗れたスポンジで押さえて、

    作品に皺が出来ない様に貼り付けます。十分水を含まないと、素焼きが水を吸い取ります

    ので、しっかり塗らす事ができません。全体に水が行き渡ったら、ピンセットなどで、

    転写紙の端を摘み、慎重に剥がし取ります。慣れてくると、剥ぎ取るタイミングが解かり

    ますが、不安な場合は端を少しめくり、素地に転写している事を確認してから、全部を

    剥がす方が安全です。 転写不良の場合は、ほとんどが水分不足です。

    尚、転写紙は一度しか使えません。

以下次回に続きます。
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