わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

現代の陶芸259(まとめ4)

2012-12-30 11:43:41 | 現代陶芸と工芸家達

7) 窯を築く

   陶芸は焼き物ですから、粘土や磁土を焼成して初めて完成となります。それ故窯が是非とも

   必要になります。但し、個人で持たなくても、共同で使用したり焼成のみを他の人に依頼するのも

   一つの方法です。

 ① 「一土、二焼、三細工」と言う言葉があります。

    これは、焼き物で重要な要素を順番に数え上げた諺です。

  ) 作る作品に合った土を使うのが一番と言う事です。土の種類は千差万別で、限られた量しか

    存在しない土から、豊富に存在する土なで、多種多様ですし、土の種類によってその作品の

    出来具合も大きく変化します。それ故、作品に応じた土を選ばなければ成りません。

  ) 次に重要なのが、「焼き」です。焼きとは単に高温に焼き上げる事のみではありません。

  a) 土が焼き締まるまで高温で焼く。

     土の種類によって、その収縮する温度に違いがあります。また縮み率も違いがありますが、

     その土が十分焼き締まり、日常使用に耐える強度が出る程度まで、高温にする必要が

     あります。更に、土の種類によっては、焼成時間を長くとる必要なものもあります。

     十数時間~数日必要な場合があり、当然、窯の大きさと作品の数によっても異なります。

   b)  焼き方には酸化と還元焼成及び、中性炎の焼成の仕方があります。

     この違いによって、釉や器肌の色に大きな変化が現れます。

     又、温度上昇の具合に微妙に変化を与えます。強酸化や強還元では、温度上昇は鈍り場合に

      よっては、温度が低下します。弱中性炎で焚くのが一番温度上昇すると言われています。

   c) 燃料(薪、ガス、灯油)の差によって、大きく出き上がりに変化が起こるものです。

     特に薪でしか出ない緋色や、灰被りによる窯変と呼ばれる作品があります。ガスや電気窯を

     使って人為的に緋色や灰被りを作りだす事も可能ですが、やはり薪窯で焼成した作品とは、

     大きな違いが出るものです。

 ② 窯が焚ければ、制作方法を会得していなくても陶芸は出来ると言われています。

   即ち、制作技術はある程度時間を掛ければ、身に着ける事は可能ですが、窯焚きには特殊な

   技術が必要になるからです。

   しかしながら、近年電気窯が広く使える様になると、窯を焚く技術も容易になってきました。

   特にコンピューター制御による窯焚きでは、「寝ている間に焼成が終わっている」と言われる

   程です。電気窯であっても、従来と遜色ない色や焼き上がりになる場合も多いですが、作品に

   よっては、焔の出る窯と比べ、明らかに違いが出るものです。

   a) 一番大事なのは窯です。

      一般に窯は窯を造るメーカーから購入するか、メーカーの窯を造る職人に依頼して、

      自分好みの窯を造って貰う事が多いですが、それに満足せず、自ら耐火煉瓦(現在では

      ほとんどが、軽量耐火煉瓦を使用)と耐火モルタルで積み上げて、窯を築く人も多くいます。

      当然、窯に付いての知識が必要になり、更に多くの窯を見たり、実際に窯を焚いている人

      から助言を貰えれば、大いに役立ちます。

   b) 窯は一つ有れば概ね(おおむね)全ての事に対応可能ですが、陶芸作家と呼ばれる人は、

     作品に応じて、複数個の窯を持つのが普通に成ってきました。

     即ち、薪窯(登窯、 窖窯)、ガス窯、電気窯などを使い分けていましす。

   c) 窯を改造(改良)する事も稀ではありません。

     自分の思うような結果が出ない場合、窯を改造する事もあります。

     各々の窯には、特有の個性(癖)が有りますので、その個性が有効ならばそのまま使いますが

     個性が強過ぎる場合には、それを是正する為に改造します。レンガを剥がし新たに築き直し

     ます。 多くの場合は、空気孔や炎の通り道を変更したり、煙突の引きの強弱を変更する事が

     多いです。但し、窯には必ず調整機能が付いています。その調整機能でも十分対応出来ない

     場合のみ、改造を行います。

   d) 基本的には、窯は移動出来ない物です。(小さな電気窯やガス窯では、移動可能の場合が

      有りますが) それ故、移転する場合や、新たに独立する場合には、窯を新築する必要が

      あります。当然ですが、電気窯以外では、酸素を多量に消費しますので、屋外に設置する

      のが一般的で、屋内の場合には十分な換気が必要に成ります。近年でも、ガス窯での

      酸欠による死亡事故が起きていますから、くれぐれも注意が必要です。

  ③ 「窯焚き一生」と言う諺が有ります様に、満足出来る窯焚きが出来る事は稀で、出来たとしても

     次回、同じ様に満足行く結果が出る可能性は少ないです。

     特に燃料(薪、ガス、灯油など)を使う窯では、どんなに同じ条件で焼成しても必ず、結果が

     異なるのが普通です。(但し、工業製品としての作品では、常に一定でなければ成りません

     それ故、この場合とは異なります。)

   ④ 窯焚きの方法は人によって異なります。その人独自の方法で焼成している事も多く、

      それらが、秘密に成っている事もあります。又それらの人から助言を得たとしても、必ずしも

      役に立つとは限りません。窯が違えば、焼き方も違うからです。

 ・ ここでは、窯焚きの方法については、述べませんが、機会が有ったら、私なりの方法を述べたいと

   思っています。

 ・ 以上にて、約1年間続いた、「現代の陶芸」のシリーズを終わりにします。

   尚、年々、新たな有望な陶芸家達が登場する事と思います。その際には彼らの事を取り上げたい

    と思っています。

 次回より新たのテーマでお話したいと思ています。

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