わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

釉の話 16 (下絵付け1)

2010-03-18 22:25:06 | 釉薬の調合と釉を掛ける
下絵付けの方法について、話を進めます。

1) 呉須の使い方

 市販されている、呉須は、チューブ入りの物と、粉末状の物が有ります。

 ① チューブ入りの物は、ペースト状になっていて、絵皿などに、押し出し、水で濃さを調節して

   使います。特別何かを、添加する必要も無く、直ぐに使えます。但し、粉に比べて、やや高価です。

 ② 粉末状の物は、乳鉢で良く摺り、粒子を細かくします。

   粒子は細かい程、発色が良いと、言われています。

  ) 呉須その物は、高い温度で、熔けるわけでは、ありません、それ故、乳鉢で摺る際、

    透明釉を同程度、添加して摺ります。これは、呉須を濃く塗った場合に、釉が逃げるのを、

    防ぐ働きも有ります。又、素地との接着を良くする為、化学糊(CMC)を入れる事も、有ります。

  ) 呉須の濃度は、水分の量で、調節します。

     呉須は、他の下絵用の顔料と違い、どんなに薄くしても、色が出ます。

     それ故、色の濃淡を付ける事が、出来ます。

     但し、間違った場合に、消す去る事は、中々困難です。拭い去る程度では、残りますので、

     紙ヤスリ等で、削り取るのが、確実です。

  ③ 呉須で描いた部分は、絶対に触らないで、下さい。触ると、指に呉須が、転写され、

    その指で、他の部分を触ると、触った部分に、呉須が更に、転写されます。

    それ故、呉須で描く場合には、作品を持つ部分を、常に確保して置く、必要が有ります。

    但し、釉(一般には透明釉)を掛けた後では、何処を持っても安全です。

  ④ 呉須の使い方として、

   )筆で塗る、)吹く墨(ブラッシング)、)転写紙を使う方法が、有ります。

   )の吹く墨は、紙に模様を切り取り、作品の上に載せ、動かない様にしてから、呉須を含ませた、

     液を霧吹きに入れ、型紙を中心に、霧を吹く方法です。霧吹き後、紙を慎重に取り除くと、

     型紙通りの模様が、浮き出てきます。

     霧吹きが無い場合には、細かい金網を用意し、呉須を付けた、歯ブラシで、金網を擦り、飛沫を

     飛ばすと、霧吹きと、同じ効果が出ます。

2) 鉄を使った絵付け

  酸化鉄は、下絵の顔料に成ります。特に、鬼板や弁柄などが、代表的な顔料ですが、他の酸化鉄も

  使用可能です。

  鉄絵の発色は、酸化、還元、中性焔で、違いは有りますが、各々、発色の良い物も、多いです。

   尚、鉄を釉に使う、鉄釉については、後日述べます。

 ① 鬼板について

  ) 鬼板は、鉄化合物の入った、岩石が、風化し、雨水に溶け、それが再び、褐鉄鉱になり、岩石の

     割れ目などに、沈着した物で、一般的に、板状に成っています。

  ) 化学薬品と違い、酸化鉄以外に、かなりの不純物を、含みます。

    参考までに、ある化学分析値を示すと、

    酸化第二鉄:41%、Al2O3:24%、SiO2:11%、MnO:7%、MgO:3%、CaO:2%

    と成っています。勿論、天然ですので、産地等によって、バラツキがあります。

    合成された、鬼板も有ります。

  ) 鬼板は、細かく砕き、乳鉢で、そのまま(生)で、磨り潰して、使うか、一度焼いてから、

     使用します。

 ② 黒浜(砂鉄)について

 以下次回に続きます。

下絵付け    

   
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