わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

絵の具の話(和絵の具、洋絵の具)

2010-01-24 23:07:20 | 作品の装飾と陶磁器の絵付け
絵付けの、絵の具について、お話します。

1) 和絵の具と、洋絵の具

  絵の具には、下絵付け用と、上絵付け用と、分ける方法と、和、洋で区別する方法が有ります。

  ここでは、後者について述べたいと、思います。

  和絵の具(硬彩)と、洋絵の具(軟彩)の違いは、描かれる柄にも、それぞれの特徴が出ます。

 ・ 多くの絵の具メーカーが、有りますが、品質に大差は無いと、思われます。

   尚、和絵の具より、洋絵の具の方が、色の種類は多い様です。

   (洋上絵の具 :赤、 黒 、グリーン 、青、 黄、 白 、小豆茶 、透明、紺青 、深緑 、ヒワ 、

   ピンク 、オレンジ、ブラウン、グレー、ライラック、マロンなど)

   (和上絵の具: 紺青、赤、黄、黒、緑、小豆茶、白 など)

 ① 和絵の具について

   和絵の具というのは、色のついたガラスだた、思って下さい。(即ち、透明感が有ります)

   唐の土(鉛。発色を良くする)、珪石(絵具を溶解する)、白玉(ガラス。透明度を出す)を

   ベースに、色によって異なる、着色物質(顔料)を、加えます。

  ) 和絵の具は、赤絵などの例外以外は、一般に焼成後は透明です。

     上絵の赤と黄色は、透明な絵の具が、出来ないので、不透明なものと、なります。

     透明になるのは、ベースに対して、金属が少ない為で、焼成後は透明の、ガラス質になります。

  ) 絵の具を「ふのり」や、「膠(にかわ)」液など、水溶性の液で、練りや、濃淡の調整、希釈を

     行います。 油と違って、臭いもなく、後か片付けも、簡便に済みます。

  ) 透明な絵の具なので、濃い色を、出そうとすると、厚く盛り上げる、必要があります。

     和絵具は別名、「盛り絵具」と呼ばれ、水で溶いた絵具を、筆で置く様にして、盛り上げて

     着彩します。 こうする事で、半透明の、美しい色ガラスが、発色をします。

     (なお、柿右衛門赤の絵具だけは、洋絵具と同じ様に、使用します。)

  ) 「九谷和絵の具」の特徴は、透明感、表面の艶、層の厚さが醸す、深みのある発色と言えます。

     化学的に精製された、洋絵の具と違い、和絵の具は、ガラス質を形成する、調合材料や色素に、

     古九谷時代から、継承されてきた、生の珪石や、金属酸化物を使用します。

  ) 和絵の具は、赤以外、焼く前と、焼いた後で、かなり色が変わります。

     ピンク色は赤茶に、グレーは鮮やかな緑に、薄いグレーは紫、等に成ります。

 ② 洋絵の具について、

  ) 洋絵の具は不透明で、塗料(ペンキ)と同じように、油の様な溶剤に、顔料の粉が、混ざった

    状態のものです。 顔料は、化学薬品の様に、純度の高い物が、使われます。

    金属が多い為に、エナメル質の、不透明なガラスになります。

  ) 透明感がない分、塗りムラが気にならず、使い易いですし、粉末以外に、チューブ入りもあって

    扱いやすいです。
    
  ) 絵具は水で溶いたり、チャイナペインティングと呼ばれる方法では、乾性油で絵具を溶いて、

     濃淡や、グラデーションの表現が、できます。

  ) 洋絵の具は、着色剤に融剤を、混ぜたもので、和絵の具のように、厚く盛らなくても発色します。

     厚く盛り上げると、釉切れを起こしたり、釉が剥離してしまいます、出来るだけ薄く着彩し、

     エナメル質を際立たせます。

  ) 洋絵の具が、多くの場合、バルサム、テレピンなど、油性の材料と、練り合わせて、使いますが、

     水溶性「メジュウム」などを、利用する場合もあります。

     特に、最近は、安全、衛生面から、ヨーロッパでも、水溶性の絵の具を、使う機会が増えており、

      日本でも、鉛対策とともに、様々な方法が、取られています。

  ) 混合割合は、バルサムと絵の具を、ほぼ同量、これを、テレピン油で1、0%程度希釈します、

     混合する比率を、変えることによって、乾燥時間を、調整することも可能です。

     水溶性メジュウムの場合も、メジュウムと絵の具を、ほぼ同量を練って、使います。
 
  和絵の具 洋絵の具
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