轆轤挽きで皿を作る事は、初心者は勿論、かなりの経験者であっても、以外に難しい所があります。
轆轤挽きの場合には、豆皿、小皿、中皿(約20cm以下)程度で有れば、さほどの困難もあり
ませんが、大きな皿(30cm以上)になると、とたんに難しくなります。特に深さの浅い皿程難しいです
手捻りの皿であっても、脚(足)の付け方によっては、問題が発生します。
以上の様な事を中心に、その原因と対策など付いて述べたいと思います。
前置きが長くなりましたが、今回より皿に付いてお話します。
皿は料理を盛る食器ですが、中、近世ヨーロッパでは、我が国から輸出された皿が、室内の装飾品と
して取り扱われた事もあります。我が国に於いても、大きな皿は実用的と言うよりも、装飾品として
飾られる事も多いです。
皿は大きな平面がありますので、この面を利用して絵などの装飾を施する訳です。
1) 皿の種類
皿には、円形の物と、四角形又は多角形(及び不定形)の物があり、各々轆轤でも手捻りでも
制作できますが、手捻りの方が好みの形にし易いです。
円形の物は主に、轆轤挽きで作る事が多く、四角形や不定形は手捻りで、タタラ(陶板)や紐作り、
塊作りで作る事が多いです。
作品の大きさも10cm以下の小さな物(豆皿)から、数十cm(50cm以上)に及ぶ物もあります。
一般に小さな物は轆轤挽きの物が多く、大きな皿では轆轤挽きや、手捻りで作ります。
尚、尺皿と呼ばれる、完成時に径が30cm程度(轆轤挽きで約35cm)の皿であれば、轆轤挽きも
難しくなり、それ以上になると極端に難しくなります。
① 円形の皿
従来、我が国では円形の皿の大きさの呼び名は、昔からの尺貫法による直径寸法で表示され、
〇尺〇寸〇分皿と呼ばれていましたが、現在では、それをメートル法に換算して表しています。
即ち、一寸は3.03cmと換算し一尺は30.3cmとなります。それ故、尺皿とは約30cm程度の
皿になります。
) 皿は用途に応じて、おおよその大きさが決まります。
皿を作る際には、用途を考えて大きさと形を決めてから取り掛かる事に成ります。
又重量(重さ)も重要な事項です。見た目で使い易い形と、実際に適する重さとは、必ずしも
一致するとは限りません。
) 底の広い皿と底の狭い皿
皿の底の広さは、轆轤挽きでの制作上、重要な要素になります。底が狭く直径の大きな作品
では、制作時と焼成時に変形と言う苦労が付きまといます。詳細は後日お話します。
) 深い皿と浅い皿
鉢に近い形の物から、平盤に近い形まで色々あります。形状によって作り方も変える必要が
ある場合も多いです。
) 西洋風な皿と和風の皿
西洋皿では、皿の内側がなだらかでなく、極端に凹ませたり口縁を水平にする等の変化が
付いた物が多いです。この様な形の変化は、当然制作時や焼成時に何らかの支障を与える
事になります。作品の形に応じて、各種の「コテ」等を使う事もあります。
) 円形に轆轤挽きした作品を石膏型に押し当て、好みの形にする事や、円周の一部を切り
裂いて俎板(まないた)皿にする等の応用も可能です。
② 角皿又は不定形の皿。
轆轤挽きで丸く作った作品を角型に切り取り、角皿にする方法もありますが、一般的では
有りません。むしろタタラ(陶板)を使った方が容易に制作できます。
) 手捻りやタタラ作りの方法は、轆轤挽きに対して、応用範囲が広いです。
単に、形作りのみでなく、色土による練り込みや、布目や葉皿の様に葉脈などの文様を
付ける事も可能です。
) タタラ作りでは、分厚い作品や、かなり大きな作品を作る事が出来ます。
又、口縁のみを部分的に肉厚にし、重量感のある作品にする事も可能です。
以下次回に続きます。
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