陶芸を始めて最初に作る皿は、葉皿の事が多いので、葉皿は一度は作った事があると思います。
葉皿とは、「葉っぱ」の形をした皿ですが、一般には、タタラで作ります。
実際の葉を利用する場合と、自分で考えてデザインした葉を元に制作する方法があります。
1) 実際の葉を利用する場合。
① 葉の選定 : 葉は種類によって形や大きさが異なります。更に、季節によっては手に入らない
場合もありますので、好みの皿が作れるとは限りません。特に都会では、本物の葉を入手する
事が難しいかも知れません。
② 葉皿に向いている葉を選ぶ。
) 形で選ぶ。滑らかな曲線を描く葉もあれば、周辺がぎざぎざした葉もあります。
更に、丸味のある葉、細長い葉、特徴的な形をした葉などが有りますので、皿の用途や
デザインによって選ぶ必要もあります。
) 葉の大きさも重要です。タタラで葉の形通りに仕上げますので、小さな葉では小さな皿に
成ってしまいます。更に、制作時と焼成時では寸法が異なり、小さくなってしまいますので、
大きめの葉を使う事です。(焼成までに縦横高さが一割強縮みます。面積ですと80%以下
になります)
) 葉皿の魅力の一つに、鮮明で綺麗な葉脈がある事が上げられます。
勿論、葉脈をご自分で書き込む(掘り込む)事も可能ですが、出来ればその葉が持っている
葉脈を写し取った方が、自然の美が見られえます。
③ 葉脈を写し取るには、葉脈がしっかり出ている葉を使う事です。
例えば、紫陽花(あじさい)、つわぶき(石蕗)、葡萄(ぶどう)、柏の葉、桐の葉などがしっかり
葉脈が出る葉っぱです。肉厚の葉だからと言って、必ずしも鮮明な葉脈がある訳では
ありません。
④ 組皿を作る場合、一枚の葉を使い回す事も可能ですが、同じ草花や木の葉を複数枚
用意した方が、バラエチーに富んだ葉皿に成ります。(葉の形、大きさ、葉脈に差がある。)
⑤ 葉皿の制作
) タタラを作る。
タタラ板を使う方法と、木の枠を使う方法がありますが、葉を押し付ける行為がありますので、
後者の方が適していると思われます。
厚みは、作品の大きさに応じて、或いは、好みに応じて決めます。5~10mm程度が良い
ようです。
) タタラの上に葉を上向きに置きその上に布を被せて、ローラー(棒)で押し付け、花の形と
葉脈を転写します。
a) 茎の部分が太い葉の場合、茎の部分を切り取るか、太さを半分にする為、カッター等で
スライスします。タタラの肉厚が薄い場合、この作業を行わないと、茎の部分が薄く
なり、穴が開く場合があります。
b) 葉の裏側に、片栗粉を筆で塗る。(型離れを良くする為)
葉を使い回す時や、土から葉を剥がす際、粉が振ってあると、簡単に剥がれます。
タタラが十分大きく、数枚の葉が載せる事が出来れば、同時に数枚作る事ができます。
c) 葉を土に載せたまま、葉の輪郭に沿って、針などで切り出します。但し、茎の部分は太目に
切り出す必要があります。細いとこの部分から破損します。
但し、クサビ型に切り取ると、その部分から「割れやひび」が入りますので、鋭角部分は
残さず、丸い竹串などで、丸みを付けます。
d) 葉を取り除いてから、土の端面を指などで中央に押して、縁の肉厚を厚くすると同時に、
土を締めてから、革で拭きます。
粉が十分付いている場合には、簡単に取り除く事は可能ですが、粉が無い場合には
葉は千切れますので注意。次に葉脈の確認をし、線が弱ければ、補修します。
周囲を強く押すと、端面が肉厚になり、豪華に見えます。当然皿の大きさは小さくなり
ますので、タタラから切り出す際、若干大きめにする様にする場合もあります。
) 形作り。
真平の葉皿であれば、上記 d) の状態で完成ですが、縁を持ち上げて汁物も盛れる様に
する為には、周辺を持ち上げる必要があります。
a) 両手の親指と他の指を向かい合わせ、手前に折る様にして縁を持ち上げます。
その際土を両手を近付ける様にして寄せてます。立ち上げる量で、皿の深さが決ります。
b) 枕を置いて持ち上げた部分を支える。
土は軟らかいですので、持ち上げた部分が自然と落ちてきます。これを防ぐには、紙や
粘土で作った枕を、持ち上げた部分の下に入れ保持します。枕はチラシ広告を何重にも
折り重ねて適当な長さと厚さにします。丸い形では、持ち運びの際転がり易いです。
粘土の場合には、棒状にし片栗粉を塗り、皿にくっつくのを防ぎます。
) 若干乾燥後に反りを補正する。
平らな板物を乾燥させると、必ず、板の中央部分が持ち上がります。この持ち上がった
状態は素焼き、本焼きでも元に戻る事はありませんので、若干乾燥した状態で上から力を
加えるか、両端を支えながら、中央を手のひらや、親指で押して水平にします。
乾燥し過ぎると、この作業で「ひび」が入る事もありますので、注意が必要です。
) 葉皿に脚(足)を付ける。
一般には、脚の無い「ベタ」底の場合が多いです。
板皿で脚を付ける方法と注意点は後日お話します。
以下次回に続きます。
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