わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

造る102(皿2、葉皿1)

2013-06-28 21:30:40 | 陶芸入門(初級、中級編)

陶芸を始めて最初に作る皿は、葉皿の事が多いので、葉皿は一度は作った事があると思います。

葉皿とは、「葉っぱ」の形をした皿ですが、一般には、タタラで作ります。

実際の葉を利用する場合と、自分で考えてデザインした葉を元に制作する方法があります。

1) 実際の葉を利用する場合。

 ① 葉の選定 : 葉は種類によって形や大きさが異なります。更に、季節によっては手に入らない

   場合もありますので、好みの皿が作れるとは限りません。特に都会では、本物の葉を入手する

   事が難しいかも知れません。

 ② 葉皿に向いている葉を選ぶ。

   ) 形で選ぶ。滑らかな曲線を描く葉もあれば、周辺がぎざぎざした葉もあります。

      更に、丸味のある葉、細長い葉、特徴的な形をした葉などが有りますので、皿の用途や

      デザインによって選ぶ必要もあります。

   ) 葉の大きさも重要です。タタラで葉の形通りに仕上げますので、小さな葉では小さな皿に

      成ってしまいます。更に、制作時と焼成時では寸法が異なり、小さくなってしまいますので、

      大きめの葉を使う事です。(焼成までに縦横高さが一割強縮みます。面積ですと80%以下

      になります)

   ) 葉皿の魅力の一つに、鮮明で綺麗な葉脈がある事が上げられます。

     勿論、葉脈をご自分で書き込む(掘り込む)事も可能ですが、出来ればその葉が持っている

     葉脈を写し取った方が、自然の美が見られえます。

 ③ 葉脈を写し取るには、葉脈がしっかり出ている葉を使う事です。

    例えば、紫陽花(あじさい)、つわぶき(石蕗)、葡萄(ぶどう)、柏の葉、桐の葉などがしっかり

    葉脈が出る葉っぱです。肉厚の葉だからと言って、必ずしも鮮明な葉脈がある訳では

    ありません。

 ④ 組皿を作る場合、一枚の葉を使い回す事も可能ですが、同じ草花や木の葉を複数枚

     用意した方が、バラエチーに富んだ葉皿に成ります。(葉の形、大きさ、葉脈に差がある。)

 ⑤ 葉皿の制作

   ) タタラを作る。

     タタラ板を使う方法と、木の枠を使う方法がありますが、葉を押し付ける行為がありますので、

     後者の方が適していると思われます。

     厚みは、作品の大きさに応じて、或いは、好みに応じて決めます。5~10mm程度が良い

     ようです。

   ) タタラの上に葉を上向きに置きその上に布を被せて、ローラー(棒)で押し付け、花の形と

      葉脈を転写します。

     a) 茎の部分が太い葉の場合、茎の部分を切り取るか、太さを半分にする為、カッター等で

       スライスします。タタラの肉厚が薄い場合、この作業を行わないと、茎の部分が薄く

       なり、穴が開く場合があります。

     b) 葉の裏側に、片栗粉を筆で塗る。(型離れを良くする為)

       葉を使い回す時や、土から葉を剥がす際、粉が振ってあると、簡単に剥がれます。

       タタラが十分大きく、数枚の葉が載せる事が出来れば、同時に数枚作る事ができます。

     c) 葉を土に載せたまま、葉の輪郭に沿って、針などで切り出します。但し、茎の部分は太目に

       切り出す必要があります。細いとこの部分から破損します。

       但し、クサビ型に切り取ると、その部分から「割れやひび」が入りますので、鋭角部分は

       残さず、丸い竹串などで、丸みを付けます。

     d) 葉を取り除いてから、土の端面を指などで中央に押して、縁の肉厚を厚くすると同時に、

       土を締めてから、革で拭きます。

       粉が十分付いている場合には、簡単に取り除く事は可能ですが、粉が無い場合には

       葉は千切れますので注意。次に葉脈の確認をし、線が弱ければ、補修します。

       周囲を強く押すと、端面が肉厚になり、豪華に見えます。当然皿の大きさは小さくなり

       ますので、タタラから切り出す際、若干大きめにする様にする場合もあります。

   ) 形作り。

      真平の葉皿であれば、上記 d) の状態で完成ですが、縁を持ち上げて汁物も盛れる様に

      する為には、周辺を持ち上げる必要があります。

     a) 両手の親指と他の指を向かい合わせ、手前に折る様にして縁を持ち上げます。

      その際土を両手を近付ける様にして寄せてます。立ち上げる量で、皿の深さが決ります。

     b) 枕を置いて持ち上げた部分を支える。

      土は軟らかいですので、持ち上げた部分が自然と落ちてきます。これを防ぐには、紙や

      粘土で作った枕を、持ち上げた部分の下に入れ保持します。枕はチラシ広告を何重にも

      折り重ねて適当な長さと厚さにします。丸い形では、持ち運びの際転がり易いです。

      粘土の場合には、棒状にし片栗粉を塗り、皿にくっつくのを防ぎます。

   ) 若干乾燥後に反りを補正する。

      平らな板物を乾燥させると、必ず、板の中央部分が持ち上がります。この持ち上がった

      状態は素焼き、本焼きでも元に戻る事はありませんので、若干乾燥した状態で上から力を

      加えるか、両端を支えながら、中央を手のひらや、親指で押して水平にします。

      乾燥し過ぎると、この作業で「ひび」が入る事もありますので、注意が必要です。

   ) 葉皿に脚(足)を付ける。

      一般には、脚の無い「ベタ」底の場合が多いです。

      板皿で脚を付ける方法と注意点は後日お話します。

以下次回に続きます。    

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