4) 我が国には、白い土は比較的少なく、殆どの粘土類は鉄分を含む赤土です。
但し、生の状態の赤土は、赤味を帯びた土です。ですが1,000℃前後以下の温度で焼成すれば、
赤味のある色に仕上がりますが、高温に成るに従い褐色から濃い褐色、黒に近い褐色へと変化しま
す。鉄分は母岩に含まれている場合も有りますが、多くは雨風で粉砕し微粒化し、流されていく
過程で、周囲に存在する鉄分(酸化鉄=赤錆)が混ざり合って赤土になります。粘土が産出する
場所ならば、必ずと言っても良い程に赤土も存在します。関東ローム層は富士山噴火の際の火山灰
が堆積した地層と言われ、鉄分を多く含みますので、関東地方には色の白い土は少なくなっています
又、植木鉢でお馴染みの「テラッコタ」は、粘土に黄土を添加した物です。黄土には微量の鉄分が
含まれています。鉄分の少ない土は薄茶や黄色味を帯びますが、含有量が増えるに従い、色は濃く
なります。その為、ご自分で酸化鉄(弁柄、鬼板など)を混入させて、発色程度を調整する事も
可能です。
① 赤土の特徴。
ⅰ) 白い土より幾分低い温度で焼締る粘土が多いです。
その為、単独で焼成する場合は、焼成温度を幾分低くすれば良いのですが、他の白い粘土の
作品と同時に焼成する場合、白い土を適度に混入する必要があります。
若し、単味で白い土と同じ温度で焼成すると、作品が熱で軟らかく成り、歪み易くなる事が
多いです。特に平たい皿には注意が必要です。又、鳴海織部の様に、赤土と白土を貼り合わせ
た様な作品では、同じ白土に鉄分を加えて赤土を作って貼り合わせた方が失敗は少なくなります
ⅱ) 収縮率も若干大きくなります。
白い粘土の作品より、収縮率が若干大きくなります。(即ち焼き縮みが大きくなります。)
ⅲ) 白化粧土を施す際には、赤土が効果的です。白い土に白化粧を施しても、色が映えません
が、赤土ならば化粧効果が引き立ちます。特に「粉引き」向きの赤土を使うと失敗は少なく
なります。
ⅳ) 赤土は鉄分等の不純物のせいか、砂気のある物が多い様に思われます。
鉋(カンナ)等による底削りなどは、表面に「ざらつき」が出易いです。勿論、産地や篩目の
細かさによって、滑らかな手触りの物も存在します。
② 代表的な赤土。
ⅰ) 赤信楽水簸(すいひ)粘土: 一般的に使われる赤土です。
ⅱ) 信楽赤水簸粘土: 細目の粘土で、轆轤挽きでは腰があり使い易い土です。
ⅲ) 特赤信楽(細目、荒目): 手捻りや轆轤成形で使用可能で、還元焼成で趣のある変化が
現れます。
・ 古信楽赤土: 石ハゼ混入の古信楽土に赤土を添加した土です。
ⅳ) 信楽水簸黄土粘土: 酸化でも還元焼成でも黒っぽく焼き上がります。耐火性があります
ⅴ) 濃赤土: 鉄分を大変多く含み、鉄(錆)色に焼き上がります。
ⅵ) 特上赤土水簸土: 水簸粘土に鉄分を多く添加した粘土で黒色に仕上がります。
ⅶ) 萩、唐津、志野、石見(いわみ)、丹波、伊賀、笠間、備前、その他の産地の赤土。
a) 赤萩土: 萩土に見島土を混入させた土です。
・ 特上萩土: 萩土にピンクの原土を混入させた水簸粘土です。
・ 鬼萩土: 荒々しい萩焼作品に使います。
b) 唐津赤土: 唐津周辺の岸岳、大川などに産する鉄分を含む唐津焼用の粘土です。
1230℃程度焼成すると良い様です。
・ 唐津荒赤土: 唐津赤土に荒目の砂が混入した土で、古唐津焼風に仕上がります。
c) 志野赤土: 志野の蛙目粘土に黄土が含まれた土です。
艾(もぐさ)赤土: もぐさ土に少量の鉄分を含んだ粘土です。
d) 石見赤土: 島根県石見地方に産出する赤土で、小物用として使われる事が多いです。
石見特赤土: 肌理が細かく鉄分の多い土です。耐火度もあり粉引き用に適します。
e) 丹波土: 鉄分を多く含む粘土で、黒い斑点が出ます。
g) 備前土: 伊部の田畑の下から産出した土で、黒色に近い褐色に焼き上がります。
焼締陶器の備前焼の代表的な粘土です。焼き縮みが大きいのが特徴です。
f) 笠間土: 作陶し易い鉄分のある粘土で、焼締焼成で窯変が出易いです。
ⅷ) 赤1,3,5,7,9号土:
以下次回に続きます。
但し、生の状態の赤土は、赤味を帯びた土です。ですが1,000℃前後以下の温度で焼成すれば、
赤味のある色に仕上がりますが、高温に成るに従い褐色から濃い褐色、黒に近い褐色へと変化しま
す。鉄分は母岩に含まれている場合も有りますが、多くは雨風で粉砕し微粒化し、流されていく
過程で、周囲に存在する鉄分(酸化鉄=赤錆)が混ざり合って赤土になります。粘土が産出する
場所ならば、必ずと言っても良い程に赤土も存在します。関東ローム層は富士山噴火の際の火山灰
が堆積した地層と言われ、鉄分を多く含みますので、関東地方には色の白い土は少なくなっています
又、植木鉢でお馴染みの「テラッコタ」は、粘土に黄土を添加した物です。黄土には微量の鉄分が
含まれています。鉄分の少ない土は薄茶や黄色味を帯びますが、含有量が増えるに従い、色は濃く
なります。その為、ご自分で酸化鉄(弁柄、鬼板など)を混入させて、発色程度を調整する事も
可能です。
① 赤土の特徴。
ⅰ) 白い土より幾分低い温度で焼締る粘土が多いです。
その為、単独で焼成する場合は、焼成温度を幾分低くすれば良いのですが、他の白い粘土の
作品と同時に焼成する場合、白い土を適度に混入する必要があります。
若し、単味で白い土と同じ温度で焼成すると、作品が熱で軟らかく成り、歪み易くなる事が
多いです。特に平たい皿には注意が必要です。又、鳴海織部の様に、赤土と白土を貼り合わせ
た様な作品では、同じ白土に鉄分を加えて赤土を作って貼り合わせた方が失敗は少なくなります
ⅱ) 収縮率も若干大きくなります。
白い粘土の作品より、収縮率が若干大きくなります。(即ち焼き縮みが大きくなります。)
ⅲ) 白化粧土を施す際には、赤土が効果的です。白い土に白化粧を施しても、色が映えません
が、赤土ならば化粧効果が引き立ちます。特に「粉引き」向きの赤土を使うと失敗は少なく
なります。
ⅳ) 赤土は鉄分等の不純物のせいか、砂気のある物が多い様に思われます。
鉋(カンナ)等による底削りなどは、表面に「ざらつき」が出易いです。勿論、産地や篩目の
細かさによって、滑らかな手触りの物も存在します。
② 代表的な赤土。
ⅰ) 赤信楽水簸(すいひ)粘土: 一般的に使われる赤土です。
ⅱ) 信楽赤水簸粘土: 細目の粘土で、轆轤挽きでは腰があり使い易い土です。
ⅲ) 特赤信楽(細目、荒目): 手捻りや轆轤成形で使用可能で、還元焼成で趣のある変化が
現れます。
・ 古信楽赤土: 石ハゼ混入の古信楽土に赤土を添加した土です。
ⅳ) 信楽水簸黄土粘土: 酸化でも還元焼成でも黒っぽく焼き上がります。耐火性があります
ⅴ) 濃赤土: 鉄分を大変多く含み、鉄(錆)色に焼き上がります。
ⅵ) 特上赤土水簸土: 水簸粘土に鉄分を多く添加した粘土で黒色に仕上がります。
ⅶ) 萩、唐津、志野、石見(いわみ)、丹波、伊賀、笠間、備前、その他の産地の赤土。
a) 赤萩土: 萩土に見島土を混入させた土です。
・ 特上萩土: 萩土にピンクの原土を混入させた水簸粘土です。
・ 鬼萩土: 荒々しい萩焼作品に使います。
b) 唐津赤土: 唐津周辺の岸岳、大川などに産する鉄分を含む唐津焼用の粘土です。
1230℃程度焼成すると良い様です。
・ 唐津荒赤土: 唐津赤土に荒目の砂が混入した土で、古唐津焼風に仕上がります。
c) 志野赤土: 志野の蛙目粘土に黄土が含まれた土です。
艾(もぐさ)赤土: もぐさ土に少量の鉄分を含んだ粘土です。
d) 石見赤土: 島根県石見地方に産出する赤土で、小物用として使われる事が多いです。
石見特赤土: 肌理が細かく鉄分の多い土です。耐火度もあり粉引き用に適します。
e) 丹波土: 鉄分を多く含む粘土で、黒い斑点が出ます。
g) 備前土: 伊部の田畑の下から産出した土で、黒色に近い褐色に焼き上がります。
焼締陶器の備前焼の代表的な粘土です。焼き縮みが大きいのが特徴です。
f) 笠間土: 作陶し易い鉄分のある粘土で、焼締焼成で窯変が出易いです。
ⅷ) 赤1,3,5,7,9号土:
以下次回に続きます。
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