わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

窯焚き一生10(窯焚きの問題点8)

2011-07-08 21:51:02 | 窯詰め、素焼、本焼の話し
引き続き、窯焚き一生の話を、続けます。

6) 少ない燃料と、短い時間で、窯を焚く

 ⑦ 窯を冷やすのも、窯焚きの内   

   窯焚きは、温度を上げる時以外にも、窯を冷ます際にも、十分気を付ける必要があります。

   「窯を冷やすのも、窯焚きの内」と言う諺が、ある様に、冷まし方次第で、作品の出来具合は、

    大きく変化します。

  ) 特に結晶釉を使う場合には、ある温度を保持しながら、ゆっくり窯を冷やし、結晶を成長させます。

     当然、容量の大きな窯が、冷却速度は遅くなりますし、窯の壁の厚みも、大きく関係して

     きます。自然冷却では、早く温度が下がる、小型の窯では、燃料(電気)を減らしながら、

     点火したまま温度を、徐々に下げます。 徐冷の温度範囲や、時間などは、釉の成分によって、

     差が有ります。

  ) 釉の中には、急冷した方が、良い発色をするものもあります。

     当然、容積の小さな窯や、壁の厚みが薄い窯では、急冷し易いです。

  ) 一度の窯焚きで、両方の釉を使う事も、稀ではありません。(基本的には、分けて窯を焚く

     べきですが)対策として、窯詰めの際に、位置を変えます。

     即ち、窯の上部は、冷却スピードが遅く、下部ではスピードが速い事を、利用します。

     結晶釉は上部に、早く冷却したい作品は、下部に置きます。

     別の方法に、早く冷却する作品は、窯が完全に冷える(一般に100℃以下)前に、

     窯から強制的に、引き出す事です。

     少し危険ですが、早めに窯の扉を少しずつ、開いて行きます。窯の温度が、300℃を切ると、

     扉を完全に開いても、安全と言われていますが、その前より徐々に扉を開けて行きます。

     但し、早めに扉を開けると、作品に貫入(かんにゅう=小さなひび)が入り易いです。

  ) 冷却スピードは、作品の周囲の状況によっても、左右されます。

     即ち、スピードを遅くするには、熱容量の大きな作品(肉が厚くて、大きな作品など)や、

     耐火煉瓦、棚板などを、傍に置く事です。棚板を二枚重ねにして、使用する手もあります。

     作品を蜜に、窯詰めするのも、一つの方法です。

     逆にスピードを速めるには、外気が入り易い所や、窯の壁際に置いたり、周りに多くの作品を

     置かずいに、まばらに、作品を置く事です。

 ⑧ 温度上昇速度や、酸化、還元等の雰囲気は、毎回変化します。 

   窯焚きが難しく、窯焚き一生と言われる、所以は、窯が一定にならず、毎回変化する事です。

   逆に、この変化が予想出来ない事が、窯焚きの魅力かも知れません。

  ) 過去のデータは、必ずしもそのまま再現してくれる、保障はありません。

     同じ手順と、調整を施しても、まるっきし違って、焼き上がる事さえあります。

     いくら、詳細のデータであっても、窯出し時には、不安と期待が入り混じった感情に成ります。

  ) 一度点火してしまうと、基本的には、「後は窯任せ(神任せ)」となります。 

     焼成中には、状況に応じて、前に述べた様な各種の、調整方法がありますが、必ずしも、

     意のままには成らないのが、窯焚きです。

   ) 窯の中は、一様ではない

     窯の各部分(位置)は、その位置特有の焼成をする事が、多いです。

     「この釉は、この位置で最も良く発色する」と言う所があるはずです。他の場所では、

      まったく感じが違ってしまう事もあります。

      又、「この位置は、還元が強く出る」と言うところや、「この位置は、他の場所より、温度が

      高くなり易い」と言う場所もある事でしょう。更に、作品の半分で色が変化してしまう所も

      有ります。 長年一つの窯を焚いていると、この様な事は解かってきます。

      これがその窯特有の癖(くせ)ともいえます。早くその窯特有の癖を、見つける事は、

      焼きで失敗しない為にも、必要な事です。

話が、いまいち要領を得ないと、感じている方も多いと思いますので、次回は今までの要点を、整理して

お話したいと、思います。

  以下次回に続きます。
 

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