陶芸を始める切っ掛けは、人によってバラバラです。
昔ならば、家業を継いで陶芸の道に入るのが、一般的でしたが、現在では興味が有れば誰でも陶芸を
行う事が可能です。但し、プロの「陶芸家」を目指すとすれば、大変な努力が必要なのは、今も昔も
変わりません。趣味程度で陶芸を楽しむのでしたら、街の陶芸教室で手ほどきを受ける事が一般的ですが
本格的に取り組む為には、美術学校などで基礎から学んだり、どこかの窯場で修行する必要があります。
更に、世に認められ作品が売れる様に成る為には、作品を発表する場所が必要に成ります。
その様な場所は、各種の陶芸の美術集団に属するか、それらの集団が行う公募展に出品する事です。
勿論、いかなる団体にも属さず、個展中心に活動している人もいますが、いずれかの集団に
所属しながら、次第に独立していくの普通です。
前置きが長くなりましたが、前回の続きをお話します。
3) 日本伝統工芸展の設立
「日展」と並び称されているのが、日本工芸会の主催する「日本伝統工芸展」です。
日本の伝統を維持しつつ、「用途美」を兼ね備えた作品を目指す陶芸展です。
① 1954年(昭和29年)に「第一回日本伝統工芸展」が、日本橋三越で開催されます。
主催は文化財保護委員会(文化庁の前身)と、財団法人文化財協会です。
1950年、文化財保護法の改正に伴い、重要無形文化財指定・重要無形文化財保持者(人間国宝)
認定制度が発足します。この様な世の中で、文化財保護法で定められた「助成の措置を講ずべき
無形文化財」に選定された工芸技術を、広く一般公開する事と、後継者の育成を目的とした
展覧会が開催されます。
尚、工芸とは、陶芸、漆芸、金工、木竹細工、染織、人形、諸工芸(ガラス、七宝、截金、硯など)を
指します。
② 草創期の日本伝統工芸展は、手仕事を保護し伝統的な工芸技術を後世に伝える為だけでなく、
日本精神に根差した新しい造形分野として「工芸」を存立させようとした為、倣作の存在も
有った様です。更に、「伝統工芸」に付いての、共同認識も不十分で有った様ですが、次第に
模倣を排し、新作の工芸品の出品と成ってゆきます。
③ 個人の作品であり、「伝統工芸」から大きく踏み出した、広いジャンルを含む「工芸美術」を
取り扱う「日展」とは大きな違いがある美術展です。
尚、特に優秀な作品には日本工芸会総裁賞、NHK会長賞、日本工芸会奨励賞、高松宮記念賞、
朝日新聞社賞、日本工芸会新人賞、文部科学大臣賞、日本工芸会会長賞、東京都知事賞、
日本工芸会保持者賞が贈られす。
◎ 当ブログの現代陶芸7(帝国美術院展)、現代陶芸13(日本伝統工芸展、人間国宝)
(2012-01-10 )にて、述べていますので、興味のある方は参考にしてください。
4) 「東陶会」と「五条会」の設立:
当ブログの現代陶芸8(板谷波山)、現代陶芸9(清水六和)を参照下さい。
・ 「東陶会」は、板谷波山が中心に成って、関東一円の陶芸集団で、グループ展を開催していました。
・ 「五条会」は、京都を中心にした関西の陶芸家集団で、清水六和氏が中心に成って結成されます。
5) 「民藝」は、柳宗悦氏が唱え始めた陶芸運動であり、陶芸集団でもあります。
民芸は、用(用途)を有する物には、必然的に美が付いてくるという考え方で、美術品とは一線を画し、
日用雑貨品の中に美を見出します。柳氏や濱田庄司氏などは、日本各地の窯場を巡り、
民藝を発掘紹介します。尚、「民藝」については、以下の様に、当ブログで述べていますので、
参考にして下さい。
・ 民藝 1(民藝運動、各地の民藝館)~ 民藝 14 (最終章)(2011-09-21):陶芸四方山話
次回(陶芸美術団体の系譜3)に続きます。
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