わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

教程13-3 (二重の器)

2008-11-25 23:09:57 | 教程 (陶芸全般を学ぶ)
ロクロでの、特殊な作り方の最終回になります。

 花器や、壷などで、外側が透かし彫りになり、内側にもう一つの壁が有る器を見たことが

 有ると思います。

 その作り方を述べたいと思います。

 イ) 先ずデザインを決めます。

  ① 形、及びどの範囲を二重にするかも決める。

  ② 寸法、高さ,直径 (内側と外側の器の寸法)を決める。

  ③ 透かし彫りの模様を決める。

 ロ) 内側の器を作る。

   これは何時もの様に、作品を作り、ロクロより切り離します。

   持って、変形しない程度に、乾燥させます。

  但し、底の周辺は、土が厚くなっていますので、なるべく竹へらなどで、削り取ります。

   (土が軟らかい内に、削りますから、やや、やり難いです)

 ハ) 外側の器を作る。

   ① 底を抜いた形にします。

     底の大きさは、内側の器の底の径より、やや小さめにします。

   ② 土を上に延ばし、形を作る。

     内側の器が十分入る、口の広さにします。

     二重にする部分より高くし、延ばします。

     外側と内側の壁の隙間も顧慮して形作ります。

  ニ) 外側の器の中に、内側の器を入れる。

   ① 内側の器が、外側の器の中心に載る様にセットします。

     即ち、隙間が一定になる様にします。

     ロクロをゆっくり回転させながら、隙間に指を入れて、調整します。

   ② 外側と内側は、底と外側の口の二箇所で繋がる事になります。

     底は、内側の器を中に置いた状態で、自重によって、接着します。

 ホ) 口(上部)を繋げる。

   ロクロを回転させながら、徐々に隙間を無くし、繋げます。

   内外の器の繋げる部分の乾燥度は、なるべく同程度にします。

   繋げる方法は三通り有ります。

   ① 外側の器の口の土を、内側に細めて(絞る)、繋げる。

     内側の器の形を変えたく無い場合や、内側の器の方が、背が高い場合などです。

     壷などもこの方法を取ります。

   ② 内側の器の口の土を、外側に開いて繋げる。

     花瓶の様に、口縁が開いた形の場合に使えます。

   ③ 内外両方の土を、均等に近付けて、繋げます。

 ヘ) 底、高台脇を削る。

    形が出来たら、乾燥後、底などを削ります。

 ト) 透かし彫りを施す。

   ① 予め決めておいた模様を、針などで器に輪郭を描きます。

   ② 模様を透かし彫りにします。 注意点は、

    a) 内側の器に傷を付けない事。針などの工具で掘る場合、奥まで深く差し込まない事。

    b ) 抜いた「かす」を内側に落さない事。

      若干外開きに切り取り、内側に落ちない様にし、大まかに抜き終わったら、仕上げをします。

      この程度の「かす」なら、内側に落ちても、外に出す事が出来ます。

    c) 穴と穴の間隔を、狭めない事。

      最低5mm以上あけて、穴が繋がら無いで下さい。

    e ) 複雑で繊細な模様にすると、作業する時、持つ場所に苦労する場合があります。


以上で素焼前の作業は、終わりになりますが、施釉の際、内外の器の色を変えたい時、

何らかの工夫が必要になります。
     
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