わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

本焼きの注意点3(酸化還元)

2009-07-01 21:43:26 | 窯詰め、素焼、本焼の話し
本焼きで重要な事の、話を進めましす。

3) 所定の色に焼き上げる事

  作品に釉を掛ける際、どんな色にしいかを、考えているはずです。

  又、下絵付けした場合、出来上がりの絵の色を、考えているはずです。
 
  ・ 釉の色が、大きく変化する要因は、酸化焼成か、還元焼成かによります。

   窯を焚く際の、操作の差によるものが、多いです。

   勿論、酸化でも還元でも、同じ様な色に、焼き上がる釉も有りますが、

  ・ 酸化と、還元では、発色が完全に違う色に成る、釉も多く有ります。

   特に、銅を含んだ釉(織部、辰砂、銅青磁、青銅マットなど)は、大きく変化します。

  酸化で緑、還元で紫~赤色に、発色します。

  更に、石灰系透明釉では、還元でグレーに成ります。

  色釉は一般に、酸化焼成すると、良く発色します。還元では、色が出ない釉もあります。

  又、下絵付けの色も、酸化焼成のみで、発色する絵の具と、酸化、還元両方で発色する絵の具が

  有ります。(絵の具は、本焼き用を、使う事。楽焼専門の絵の具も有りますので、注意)

  色が変化する要因に、燃料の差も有ります。

  但し、色々な燃料の窯を、持っている方は、少ないでしょうから、余り気にしなくて、良いでしょう。

 ① 窯を焚く前に、酸化か、還元かを、決める。

 ② 還元、酸化に入る直前までは、酸化または、中性炎で温度を、上げます。

   (勿論、還元焼成ならば、早い段階から、還元焼成でも、かまいません。)

  ・ 強酸化も、強還元も、温度上昇は、鈍ります。場合によっては、温度が下ります。

   温度上昇に、最も適した焼き方は、中性炎(酸化でも還元でも無い状態)と、言われています。

 ② 還元作業の操作を行う。(還元焼成が、可能な窯である事)

   SK-8(1250℃)前後で焼成する場合、950℃位から、還元作業に入れば良いと、

   言われています。SK-7(1230℃)では、900℃程度から、還元作業に入ります。

  ) 釉の熔け方:釉は、作品表面から、熔け始めます。

     即ち、表面が熔け始めると、ガラス質になり、表面より内側の釉は、窯の雰囲気の、

     影響を受けなく成ります。

     それ故、表面が熔けた段階で、酸化か、還元かが、決まります。それ以後の影響は、

     あまり関係無い事になります。

  ) 燃料を使う窯(灯油、ガス、薪)では、窯全体を、完全に酸化に焼成する事は、
   
     中々、難しい事です。(なるべく低い温度から、酸化焼成した方が、良い結果がでます)

     窯の一部の場所では、大なり小なり、還元が掛かり易いです。

  ) 釉が熔け始まる前の、窯の状態が大事です。
   
     即ち、窯に一酸化炭素(不完全燃焼状)が多いと、釉の表面から、酸素が奪われ、

     還元傾向になり、酸素が多いと、酸化傾向になります。

     燃料と、空気の量との兼ね合いで、酸化、還元が決まります。

     空気量は、バーナーの空気調整部分と、煙突の引きの強さを、調整する事により、出来ます。

  ) 酸化還元を、交互に焚く方法

     還元が強くなると、温度上昇は、鈍ります。それ故、一度酸化に戻し、温度を上昇させ、

     その後、還元に戻します。酸化、還元を交互に、繰り返し、温度を上昇させる方法もあります。

  Ⅴ) 釉の表面が、完全に溶けた状態(1200℃程度)に成ったら、酸化焼成にします。

     還元では、炭素が、釉薬の中に残り、釉の色を悪くします。

     それ故、酸化にして、残った炭素を燃やす必要が有ります。

陶芸の本焼き 注意点 

酸化 還元
   
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