3) 角皿を作る。
② 角皿に脚(足)を付ける。
制作途中や素焼きの際には、なんら問題でなかった足も、1,200℃以上の本焼になると
問題が発生します。即ち、高温で土が軟らかくなり、足で支えきれずに、本体が変形(垂れ)を
起こします。勿論、土の耐火度によっても左右され、特に赤土など鉄分を多く含む土は弱く
足を付ける際には、細心の注意が必要です。
) 「ベタ」底であれば問題の発生が少ないのですが、「ベタ」底ですと、底が広い板皿では、
施釉が出来ない部分が広くなります。又、皿を取り上げる場合など、指の掛かる部分が
少なく、持ち難い点が挙げられます。更に、底面がテーブルにどっしり着いていますので、
安定感はあるのですが、スマート性に欠け、鈍重な感は否めません。
) 足を付ける事により、皿の取り扱いもより容易になり、施釉する範囲も大幅に増えます。
足は皿の大きさと形状により、足の付け方と位置を十分検討する必要があります。
・ 足がある程度見えるのは良いのですが、足を見せ過ぎると「野暮たく」見えます。
a) 本焼きで変形しそうな、取り付け方はしないる事。
角皿の四隅に取り付けると、皿の中央部と、足と足の間が落ち易くなります。
中央に寄過ぎると、四隅が落ち易くなりますので、この兼ね合いが大事です。
・ 勿論、本焼で別物で支えを付ける事も出来ますが、この件は後でお話します。
b) 足の太さと高さに注意する事。
当然足の太い方が、上部の皿を支え易いですが、皿側の面積を多くし、畳み付き側を
やや細くする事で、落ちるのを押さえます。
c) 足の種類と取り付け方法を選ぶ事。
基本的には、足は粘土で作り、接着する事になります。足の高さは、特別デザインを重視
しなければ、手の指が入り込む程度の10cm以下が良い様です。
足は、点状に付けるか、線状に付ける、又な面状に付ける事に成ります。
イ) 点状に付ける場合。比較的、小さな皿の場合が多いです。面積の広い皿には向き
ませんので、他の足を付ける事です。
・ 点状の足と言っても、その断面は円形のもの、長方形の物、或いは土紐を半円形に
した物など、色々な形があります。
・ 点の数が増える程、全ての足がテーブルに着く事が難しくなります。
即ち、どれかの足が浮き上がる事が多いです。3点で支えると、必ず全ての足はテーブル
に着く事に成りますが、四角い皿等では、バランス良く取り付けできません。
・ 四角い皿には4点の足を付けるのが一般的ですが、何処に付けたら良いか迷うと思い
ます。 角皿の4辺がある程度持ち上げられている場合には、四隅が落ちる(垂れる)
事は少ないですから、やや中央寄りに取り付けます。
ロ) 線状の足を付ける。線状とは、細長い長方形の足です。但し、真平らな皿に足を付ける
事は止めて置いた方が無難です。
点状より広い範囲を支えますので、より安定感はありますが、付ける位置によっては、
垂れる原因に成ります。
・ まな板皿の様に長方形の皿の場合、左右に線状の足を付ける事が多いです。
但し、足と足の間隔が広いと、中央が垂れる恐れがあります。
この場合も、4辺(特に長手方向)に立ち上がりがあると、垂れる恐れは少なくなります。
・ 上記の方法で、足と足の間に、もう一本の線状の足を付ける(即ち「H」又はアーチ状)と
中央の垂れに対して強くなります。
・ 「ロ」の字状に足を取り付けると、更に強くなります。
ハ) 面状の足を取り付ける。実用例は余り見かけません。
完全な面を裏に貼り付けると、皿が厚くなってしまいますので、適度に肉抜き(透彫り)
をする必要があります。
d) 何れの方法を取ったとしても、足付きの角皿では、常に変形(垂れ)の恐れがあります。
それ故、垂れそうな部分に、下から支えて本焼した方が無難です。
イ) 貝殻を支えに使う。 昔から行われている方法です。
即ち、貝殻(赤貝、ハマグリ、アサリ等)の半身に粘土を詰め、そのまま皿の下から
支えます。貝殻は本焼きで原形を留めていますが、手で触ると粉々になって皿から
剥がれ落ちます。但し、施釉した皿では、貝殻の触れた処には貝の痕が付きます。
この方法の利点は、足の高さを粘土の量で調整できる事と、焼成と伴に、皿の足と支えの
足が同じように、収縮する事です。
ロ) 「トチ」を使う。
「トチ」とは、釉薬が棚板に流れ落ちるのを防ぐ為に、作品と棚板の間に置くものですが、
長所は、皿に接する部分が細い為、支えの痕が小さい事で、欠点として「トチ」は
収縮しない為、「トチ」の部分が盛り上がる危険があり、皿の周囲では使用可ですが、
皿の中央部の支えには向いていません。
以下次回に続きます。
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