わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

造る104(皿4、角皿(足を付ける2))

2013-07-01 20:34:40 | 陶芸入門(初級、中級編)

3) 角皿を作る。

 ② 角皿に脚(足)を付ける。

    制作途中や素焼きの際には、なんら問題でなかった足も、1,200℃以上の本焼になると

    問題が発生します。即ち、高温で土が軟らかくなり、足で支えきれずに、本体が変形(垂れ)を

    起こします。勿論、土の耐火度によっても左右され、特に赤土など鉄分を多く含む土は弱く

    足を付ける際には、細心の注意が必要です。

   ) 「ベタ」底であれば問題の発生が少ないのですが、「ベタ」底ですと、底が広い板皿では、

      施釉が出来ない部分が広くなります。又、皿を取り上げる場合など、指の掛かる部分が

      少なく、持ち難い点が挙げられます。更に、底面がテーブルにどっしり着いていますので、

      安定感はあるのですが、スマート性に欠け、鈍重な感は否めません。

   ) 足を付ける事により、皿の取り扱いもより容易になり、施釉する範囲も大幅に増えます。

      足は皿の大きさと形状により、足の付け方と位置を十分検討する必要があります。

      ・ 足がある程度見えるのは良いのですが、足を見せ過ぎると「野暮たく」見えます。

     a) 本焼きで変形しそうな、取り付け方はしないる事。

       角皿の四隅に取り付けると、皿の中央部と、足と足の間が落ち易くなります。

       中央に寄過ぎると、四隅が落ち易くなりますので、この兼ね合いが大事です。

      ・ 勿論、本焼で別物で支えを付ける事も出来ますが、この件は後でお話します。

     b) 足の太さと高さに注意する事。

       当然足の太い方が、上部の皿を支え易いですが、皿側の面積を多くし、畳み付き側を

       やや細くする事で、落ちるのを押さえます。      

     c) 足の種類と取り付け方法を選ぶ事。

       基本的には、足は粘土で作り、接着する事になります。足の高さは、特別デザインを重視

       しなければ、手の指が入り込む程度の10cm以下が良い様です。

       足は、点状に付けるか、線状に付ける、又な面状に付ける事に成ります。

      イ) 点状に付ける場合。比較的、小さな皿の場合が多いです。面積の広い皿には向き

        ませんので、他の足を付ける事です。

      ・ 点状の足と言っても、その断面は円形のもの、長方形の物、或いは土紐を半円形に

        した物など、色々な形があります。

      ・ 点の数が増える程、全ての足がテーブルに着く事が難しくなります。

        即ち、どれかの足が浮き上がる事が多いです。3点で支えると、必ず全ての足はテーブル

        に着く事に成りますが、四角い皿等では、バランス良く取り付けできません。

      ・ 四角い皿には4点の足を付けるのが一般的ですが、何処に付けたら良いか迷うと思い

        ます。 角皿の4辺がある程度持ち上げられている場合には、四隅が落ちる(垂れる)

        事は少ないですから、やや中央寄りに取り付けます。

     ロ) 線状の足を付ける。線状とは、細長い長方形の足です。但し、真平らな皿に足を付ける

        事は止めて置いた方が無難です。

        点状より広い範囲を支えますので、より安定感はありますが、付ける位置によっては、

        垂れる原因に成ります。

      ・ まな板皿の様に長方形の皿の場合、左右に線状の足を付ける事が多いです。

        但し、足と足の間隔が広いと、中央が垂れる恐れがあります。

        この場合も、4辺(特に長手方向)に立ち上がりがあると、垂れる恐れは少なくなります。

      ・ 上記の方法で、足と足の間に、もう一本の線状の足を付ける(即ち「H」又はアーチ状)と

        中央の垂れに対して強くなります。

      ・ 「ロ」の字状に足を取り付けると、更に強くなります。

     ハ) 面状の足を取り付ける。実用例は余り見かけません。

        完全な面を裏に貼り付けると、皿が厚くなってしまいますので、適度に肉抜き(透彫り) 

        をする必要があります。  

    d) 何れの方法を取ったとしても、足付きの角皿では、常に変形(垂れ)の恐れがあります。

      それ故、垂れそうな部分に、下から支えて本焼した方が無難です。

     イ) 貝殻を支えに使う。 昔から行われている方法です。

        即ち、貝殻(赤貝、ハマグリ、アサリ等)の半身に粘土を詰め、そのまま皿の下から

        支えます。貝殻は本焼きで原形を留めていますが、手で触ると粉々になって皿から

        剥がれ落ちます。但し、施釉した皿では、貝殻の触れた処には貝の痕が付きます。 

        この方法の利点は、足の高さを粘土の量で調整できる事と、焼成と伴に、皿の足と支えの

        足が同じように、収縮する事です。 

     ロ) 「トチ」を使う。

        「トチ」とは、釉薬が棚板に流れ落ちるのを防ぐ為に、作品と棚板の間に置くものですが、

        長所は、皿に接する部分が細い為、支えの痕が小さい事で、欠点として「トチ」は

        収縮しない為、「トチ」の部分が盛り上がる危険があり、皿の周囲では使用可ですが、

        皿の中央部の支えには向いていません。  

 以下次回に続きます。

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