鼎子堂(Teishi-Do)

三毛猫堂 改め 『鼎子堂(ていしどう)』に屋号を変更しました。

『苦みのあるドイツの薬草のような女』

2012-05-15 22:59:12 | Weblog
終日、雨・・・。寒い一日。


今日のタイトルは、森茉莉さんのエッセイで、妹さんを形容したセンテンス。
幼い頃、活発だった妹の杏奴(アンヌ)さんを綴った文章の中で、お転婆な杏奴さんが、成長して、『苦みのあるドイツの薬草のような女』になった・・・というもの。

白くて、清潔で、やや翳りのあるような・・・そんな感じがする。

森鴎外の長女として生まれた茉莉さんは、筋金?入りのお嬢様。世間知らずというか、普通の庶民とは、一線を画す風変りな性格で、何度か離婚を経験し、50歳を過ぎて、文筆家となり、妹の杏奴さんは、活発に遊ぶ女の子だったけれど、長じてから、画家の小堀四郎氏と結婚して、『聖家族』とよばれるような家庭を築き上げた・・・という記述を読んだことがある。

一度、私も、言われてみたい形容詞である・・・苦みのあるドイツの薬草のような女・・・。

このセンテンスを読んで、想像したのが、鈴蘭だった。
甘く優しくさわやかな香りで、ちょっと青みのある苦さもあるかなと思うし、あんなに可憐に咲く鈴蘭も、根(花、茎、葉を含む)には、毒を持つという。
みかけから想像もつかない『毒』をもつ。

ドイツの薬草ということであれば、鈴蘭ではないのだけれど・・・。

或いは、エーデルワイスのような形状で、に、高山に咲く花で、薄荷のような香りのする・・・などと、勝手に想像してみる。

病気を癒すドイツの薬草・・・。
それは、ほろ苦く、清潔で、凛とした風情。

いま、おりしも、鈴蘭の季節。
美しく可憐で、儚く・・・そして、苦みのある毒をもつ・・・美しい花・・・。