鼎子堂(Teishi-Do)

三毛猫堂 改め 『鼎子堂(ていしどう)』に屋号を変更しました。

疾病利得に憧れる②

2012-06-24 22:50:02 | Weblog
うすぐもり。風の立つ日。


私は、会社なんて行きたくもないのだけれど、学校にも行きたくない子供だった。
集団生活は、大っ嫌いだし、自意識過剰だから、人の目ばかり気にしてしまうので、大変疲れる。

昭和の後半(1970年代)くらいは、まだ、結核は、国民病で、感染率も高くて、病状に合わせた療養生活みたいな医学本があって、一番重症なのが、1日中寝たきり。
病気のレベルで、療養の生活基準が5段階の表になっていて、私は、ときどき、この本のこの表をみるのが、楽しみだ・・・という超ヘンテコな子供だったのだ。

一番軽いのが、午前と午後に2時間くらい絶対安静で、身体を横にして、療養する。
食事や洗顔は、自分で行い、週に2,3回程度なら、入浴も可能なレベル・・・というのに憧れた。
コレ以上は、悪くならないのなら、コレが一番いいよな・・・(イヤ、よくない・・・結核になんかならない方がいいに決まっている)。

結核文学(・・・そういうジャンル分けが実際あったのかどうか)が、好きで、喀血しながら死んでいくのに、憧れた。
恋人が、結核で、かぎりある命を愛に生きたりしちゃうのだ・・・若い頃は、美しい。
美しいまま死んでいくのに憧れた・・・。自分以外に起こる悲劇なので、しかも、物語だし。

少女漫画にも多いパターンで、結核が下火になったのも1970年代で、それにとってかわったのが、白血病である。
これは、更に悲劇性が高い。当時は、治癒率が低かったから、死病に値した。
・・・しかし・・白血病の実態をしるにつけ、やはり、罹患しないに越したことはないなと思うようになった。
免疫抑制剤による顔の膨張(ムーンフェイス)など、病人は、やはり、美しくはないってことを知った。
病気で美しいのは、映画や小説、漫画・・・おもに、フィクションに限るってことだ・・・。

それでも・・・。
命に別状はなくて、手術も必要なくて、ただ、仕事は、ダメ・・・なんて、病気を探してみると、コレは、やはり、流行り?のうつ病くらい思いつかない・・・。

私は、身体的には、虚弱だが、心は、鋼・・・みたいなところもある。
だから、多分、うつ病には、縁がないのだろうと思う。

この鋼の心・・・弱いんだか、強いんだか・・・両方に属するので、自分でも持て余している。
一度でいい・・・疾病利得を体験してみたいとおもう・・・鋼のこころ・・・。