風もなく、緩く穏やかな初冬の週末。
インド人は、『0(ゼロ)』の概念を発見した。
コレは、数学上、物凄い発見だった・・・という記述を、以前、何処かで読んだか、聞いたかしたことがあって、その時は、『0(ゼロ)』は、やっぱり、ゼロで、テストで、点数が取れない最低点であることよなぁ・・・くらいにしか思っていなかった。
大体、初等教育の足し算・引き算の繰り上がり、繰り下がりで、すでに数の世界から、弾きだされてしまった我が身だから、算数・数学には、なみなみならぬ・・・∞(無限大)的なコンプレックスを背負ってしまった。コレは、もう病的なトラウマでもある。
数字は、出来るだけ見ないように、避けていたけれど、生活と数字は、切っても切れない。
消費生活は、金銭という数で成り立っているし、日常の食糧品から衣類、電気・ガス・光熱費、インターネットの接続代金、外に出るとなれば、まず、顔なども洗わなければならないから、水道代もかかる。
・・・ようするに、世界は、『カネ』という数で、回っているから、基本的な計算ができないと日常生活に支障をきたす。
預金の残高が、ゼロになれば、不安は、倍増する。
ゼロは、不安の固まりだ・・・。
カネなど借りようものなら、ゼロの下に更に厄介な『マイナス』というヤツがつく。
文字式、四則演算などの計算問題は、就職試験などでも、如何に早く間違えずに解けるかは、このマイナスの符号の処理の仕方にあるのでは・・・と思うほど、面倒くさい。
『負』の数である。
どうして、『マイナス』と『マイナス』を乗算すると『プラス』になるのか・・・そのあたりからして、イヤだ。
更に、平方根(ルート)の中に数字があったりする・・・i(複素数)なんて、登場した日には、目もあてられない。
そう・・・虚数と言われるヤツだ。
考えてみれば、虚数ときくだけで、ウンザリする。
虚弱体質だとか、なんとなく、マイナスの弱々しいイメージが、つきまとう。
明るさがない。完全に数学の理論上の数字?としか思えない。学問の数字なのだ。
故に私からは、完全に乖離しているのである。
そんなことを思っていると、相方曰く。
『でも、負債がゼロになれば、嬉しいでしょ?それに、近所の奥さま方は、ディスカウントが大好きでしょ?30パーセント引きだとかさ。』
(私は、近所の奥さまでもないし、いまのところ、負債はないし、預金通帳が、ゼロに近づく方が恐ろしい)
そんな割引価格だって、実際に、本当にソレだけの価値あるのかどうかわからない。
少し、しおれかけたのほうれん草が、半額だって、ビタミン類は、それ程残ってはいないだろう。
こうなってくると、もう虚数や複素数なんて、どうでもいい。
そんなことは、学校でやってくれ・・・と思う私であった。