昨日(29日)は、夕刻より、相方と池袋・東京芸術劇場へ、イキウメの『新しい祝日』を観劇に。
小劇場ならではのシンプルな舞台構成とシュールな空間、そして何より、哲学的な脚本で、観客に問う。
『今見えている現実は、本物なのか?』
大劇場の凝ったセットのグランド・ロマンも、現実を忘れさせてくれる。
演じられる舞台は、日常生活とは、かなりかけ離れた・・・乖離された世界に観客を誘い、そして、ひとときの夢を見させてくれる。
2時間後か3時間後には覚める夢ではあるけれど。
イキウメの舞台は、舞台が跳ねたあと、その夢が、フラッシュ・バックされる。
セリフのひとつひとつが、リアルに感じられて、身につまされる。
・・・今、ここで、生きてる自分は、本物なのか・・・?
呼吸をしているこの世界は、果たして、本物なのか・・・?
そんな眩惑するようなラビリンスが、更に展開されていく。
舞台は、跳ねたのに・・・???
劇作・演出の前川知大さんの力量が、いかんなく発揮された作品のひとつかと思う。
舞台を構成するダンボールの箱。
会社のデスクになり、家庭のイスになり・・・様々に姿を変えながら、箱の中身は、空っぽ。
外側は、その環境によって、様々に変化するけれど、箱には、何も入っていない・・・それは、社会生活を営む上で、現代人が、どうしても偽装しなければならない社会のルールに縛られて生きる人生を象徴しているかのように思える。
ふと、気が付いて、自分とは、一体誰なのか・・・今、目の前に見えている物は、本当に自分が生きる現実の世界なのか・・・?
この世界しかないのか・・・?この世界からはじき出されれば、自分は、生きていけないと思うのは、本当の事なのか・・・???
永遠にわからない問いかけに、戸惑いながらも、今、自分が生きている現実に真っ向から、立ち向かう入口のようにも思える。
さて、このラビリンスの出口は、あるのか・・・?それとも、ラビリンス自体が、幻想なのか・・・?
新しい祝日は、果たして、晴れの日なのか、土砂降りなのか・・・?