冬の色が濃くなってきた冷たい風の吹く日曜日。
子供の頃からの極度の偏食で、食べられるものがあまりないうえ、食も細いから、私を育てるのに、家人は、大変苦労したと思う。
・・・作っても食べない。
絶対食べない・・・そんな子供だった。
実際、私は、中学に行くまでは、おなかがすく・・・空腹状態というものを自覚しなかった(これは、育った家が裕福だったということではない。たしかに、飢えることはなかったけれども、感覚的に解らなかった)。
・・・いや、おなかは、空いていたのかもしれないが、空腹がどういう状態だか、わからなかった。
何を食べても美味しくないし、おなかも空かないから、食べたくない。
それでも、甘いお菓子などは、少しだけ食べたから、家人は、栄養バランスなどは、一切考慮せず、食べるものだけ与えていたから、偏食は、一向に治らなかった。
『食欲』というものが、わからない馬鹿な子供だったのである。
或いは、脳の一部に欠陥があったのかもしれないのだが・・・。
偏食は、子供の頃から、ずっと私につきまとった。
現在も・・・。
ヒトと一緒に、食事をするのは、苦手なのは、そのせいもある。
食べられないのは悪い事。
食べないから、丈夫になれない。
みんなが、残さず食べる給食も、お昼休みが終わっても、教壇に正座させられて、全部食べるまで、席に戻る事を許されなかった。
家に帰れば、アレを喰え、コレを喰え・・・と、うるさい夕食の卓。
唯一、美味しいと思うものに、カレーライスがあったけれど。
ご飯は、パサパサ。
野菜は、苦い。
牛乳は、不味いし。
よくよく考えてみれば・・・。
食物が嫌いなわけだから、私は、育つことを、潜在的に拒否していたのかもしれない。
生きることを拒否する・・・無意識に・・・。
それなのに、不思議と今まで生きている・・・。