さくらの日々是好日

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2022年04月29日 23時26分41秒 | さくらジャーナル
4月29日(金)   雨のち曇

朝から激しい雨。
今年の4月は、天候不順が際立って、まるで梅雨のさなかのようだ。

それで、T. S エリオット(西脇順三郎訳)の難解な詩文を思い出した。
『四月は残酷極まる月だ
リラの花を死んだ土から生み出し
追憶に欲情をかきまぜたり
春の雨で鈍重な草根をふるい起すのだ。
April is the cruellest month, breeding
Lilacs out of the dead land, mixing
Memory and desire, stirring
Dull roots with spring rain.』

知り合ったころの夫から教わった、シュルレアリスム詩人の西脇順三郎は、昭和モダニズムの旗手にして、詩人、英文学者、文学博士でもある。
戦前のモダニズム・ダダイズム・シュルレアリスム運動の中心人物として、近代詩はもちろん、多くの評論でも、詩壇を形成しておられた。

名訳のひそみに倣って、『四月こそは、残酷極まる月だ』と心底思う。

世界の二極を為す「自由と共産(民主主義と覇権主義)」の対立に端を発し、一方的な侵略により多くの人命が失われ、国土が破壊され、世界中の自由世界が案じて支援に乗り出し祈りをささげる中、今もウクライナでは、ひとが殺されている。

今年の四月こそは、まことに残酷極まる季節なのだ!!
 
もうひとつ、よく知られた安西冬衛の一行詩も、亡夫から教わった。
「てふてふが一匹韃靼海峡を渡つて行つた」、この希望に満ちた詩の題名は、『春』。

今年の春は、ほんとうに、残酷極まる季節だけれど、韃靼海峡を一匹で渡る勇気ある蝶こそは、掛け値なしのゼレンスキ―大統領であり、アゾフ特殊作戦分遣隊 (アゾフ大隊)の構成員であり、果敢に戦うウクライナ国民のお一人お一人である。

春は、残酷な季節だけれど、一方で力強く挑戦し、成し遂げる季節でもある。
どうぞ、ウクライナの平和が世界の安寧が、一日も早く成し遂げられる春でありますように!!

さくらは、またまた貧者の一灯を灯すため、「ウクライナ節約貯金」に努めている。
          
冷蔵庫の野菜室に忘れていた林檎のビニール袋。
3個のうち、2個は無残な姿となっており、冷蔵庫の管理人落第のさくらは、リンゴに申し訳なく反省しているけれど、残り1個の元気さには驚嘆した。

同じ林檎に生まれても、あえなく腐る一品もあれば果敢に生き残るものもある。
かくのごとく。
なにとぞ、ウクライナの人々が、生き残る1個のリンゴであって下さるように。

祈るしかない自分が哀れではあるけれど。



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