4月29日(金) 雨のち曇
朝から激しい雨。
今年の4月は、天候不順が際立って、まるで梅雨のさなかのようだ。
それで、T. S エリオット(西脇順三郎訳)の難解な詩文を思い出した。
『四月は残酷極まる月だ
リラの花を死んだ土から生み出し
追憶に欲情をかきまぜたり
春の雨で鈍重な草根をふるい起すのだ。
『四月は残酷極まる月だ
リラの花を死んだ土から生み出し
追憶に欲情をかきまぜたり
春の雨で鈍重な草根をふるい起すのだ。
April is the cruellest month, breeding
Lilacs out of the dead land, mixing
Memory and desire, stirring
Dull roots with spring rain.』
Lilacs out of the dead land, mixing
Memory and desire, stirring
Dull roots with spring rain.』
知り合ったころの夫から教わった、シュルレアリスム詩人の西脇順三郎は、昭和モダニズムの旗手にして、詩人、英文学者、文学博士でもある。
戦前のモダニズム・ダダイズム・シュルレアリスム運動の中心人物として、近代詩はもちろん、多くの評論でも、詩壇を形成しておられた。
名訳のひそみに倣って、『四月こそは、残酷極まる月だ』と心底思う。
世界の二極を為す「自由と共産(民主主義と覇権主義)」の対立に端を発し、一方的な侵略により多くの人命が失われ、国土が破壊され、世界中の自由世界が案じて支援に乗り出し祈りをささげる中、今もウクライナでは、ひとが殺されている。
今年の四月こそは、まことに残酷極まる季節なのだ!!
もうひとつ、よく知られた安西冬衛の一行詩も、亡夫から教わった。
「てふてふが一匹韃靼海峡を渡つて行つた」、この希望に満ちた詩の題名は、『春』。
今年の春は、ほんとうに、残酷極まる季節だけれど、韃靼海峡を一匹で渡る勇気ある蝶こそは、掛け値なしのゼレンスキ―大統領であり、アゾフ特殊作戦分遣隊 (アゾフ大隊)の構成員であり、果敢に戦うウクライナ国民のお一人お一人である。
春は、残酷な季節だけれど、一方で力強く挑戦し、成し遂げる季節でもある。
どうぞ、ウクライナの平和が世界の安寧が、一日も早く成し遂げられる春でありますように!!
さくらは、またまた貧者の一灯を灯すため、「ウクライナ節約貯金」に努めている。
冷蔵庫の野菜室に忘れていた林檎のビニール袋。
3個のうち、2個は無残な姿となっており、冷蔵庫の管理人落第のさくらは、リンゴに申し訳なく反省しているけれど、残り1個の元気さには驚嘆した。
同じ林檎に生まれても、あえなく腐る一品もあれば果敢に生き残るものもある。
かくのごとく。
なにとぞ、ウクライナの人々が、生き残る1個のリンゴであって下さるように。
祈るしかない自分が哀れではあるけれど。
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