友々素敵

人はなぜ生きるのか。それは生きているから。生きていることは素敵なことなのです。

アゲハチョウが羽化した

2008年03月23日 22時47分04秒 | Weblog
 このところ暖かい日が続いていた。それでも北側の部屋はまだひんやりする。昨日の夕方、部屋に入ると足元で何かが動いたような気がした。昨年の夏、アゲハチョウがこの部屋で幼虫からサナギに変化した。そのうちの1匹が本棚の一番下のところにいたが、羽化したのだ。わずか2センチそこそこのサナギから3倍ほどの成虫が誕生するのだから、自然の仕組みは本当におもしろい。

 アゲハチョウは羽化したけれど、部屋の温度が低いからじっとして動かない。おなかはすかないだろうか、水は飲むんじゃーなかろうか、水よりも蜂蜜を溶かした方が飲むのでは、などと考えて蜂蜜を水に溶かした小さなお皿をそばに置いた。朝まではまず動かないだろう。そう思って今朝、部屋を見に行くとやはり昨夜のままじっとしている。

 夏のアゲハチョウよりも少し小さいような気がするが、それは多分気のせいだろう。アゲハはじっとしていて、微動だにしない。気温が上がればそのうちに動き始めるだろうと気長に待つことにした。午後になって、この北の部屋も少し暖まってきたのか、それとも生き物の習性なのか、アゲハは光の差す方へと動き始めた。そのうちに窓際においてあった和紙のランプシェードに這い上がった。

 ここまでくれば私が捕らえて外に出すより、このまま光に当っていれば、飛び立っていけるのではないだろうか。そう思って、ランプシェードをそっと持ち上げてみた。アゲハはじっとしている。ガラス戸を開け、そのまま外へ持ち出し、陽に当たるようにしてみた。それでもアゲハは動かない。まだ暖かさが足りないのかなと思いながら、写真を撮ろうとして近づいたその時、アゲハは見事に飛び立った。

 初めはゆっくりと旋回し、我が家の花畑であるパンジーには目もくれず、空に向かって高く飛んでいってしまった。およそ半年間もあの小さなサナギの鎧の中にいて、さぞ狭苦しかったであろう。それがいきなり、見たこともない世界に飛び出てきて、アゲハは何を見たのだろう。何を考えたのだろう。

 昆虫なのだから、別に何かを考えるということではなく、体の中の遺伝子の命ずるままに飛び立ったのかもしれないが、それにしても昨日、サナギから出てきて、寒さのために動くこともできず、ひたすらじっと耐えていて、日の光を浴びて体が動くようになったとしても、これからどこへ何しに行くというのだろう。

 これからどうなっていくのか、不安になり、気持ちまでもブルーになってしまう人間に比べ、アゲハは自由に空を舞い、好きな時に好きなだけ、己の本能のままに生きていける。人間よりも幸せなのかもしれないな。ゆったりと空に向かうアゲハを見ていてそう思った。
コメント
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