小学校の運動場で縄跳びが行われていた。運動会も終わり、縄跳びや長距離走の季節がやって来た。縄回しに合わせて、ひとりずつ跳んでいく。そのタイミングを合わせるために、みんなが「1、2」と掛け声をかける。それでもうまく出来なくて、中断してしまうことがある。せっかく順調に跳んでいたのに、自分のせいで途切れてしまうから、失敗した子は肩身が狭い。すると「ドンマイ、ドンマイ」と声をかける子がいる。
エライ子がいるなあと感心した。「ドンマイ」がdon’t mindの和製英語だと知ったのは恥ずかしいが高校の時だ。中学の野球部が練習している時に、時々「ドンマイ」と発していたが、何を言っているのかと思っていた。ナイターなどと同じ和製英語だと友だちに教えてもらった。6歳の孫娘も英単語をいくつか知っているので、今の子どもが英語を使うことに驚かないが、失敗した子を気遣っていることには感心した。
小学校の頃の私にそんな思いやりがあっただろうか。縄跳びが授業であったのか覚えていないが、縄回しに合わせて跳んでいく遊びはあった。大縄回しのように、はじめから縄の輪の中で跳ぶことは出来たのに、縄回しに入って出る、これが出来なかった。どのタイミングで出入りしたらよいのか分からなかった。運動神経はよいはずだったのに、どうして出来なかったのだろう。みんなで行う運動はどうも苦手な気がする。
声を掛け合って跳んでいく子どもたち。この子たちが中年になる2050年には海面が32センチ上昇するという。地球温暖化の影響らしいが、グリーンランドと南極の氷が溶けるようなら何メートルにもなるとも予測されている。私は生きていないが、6歳と1歳の孫娘は女盛りだろう。その頃には各国がキチンと話し合うシステムが出来上がっているといいのだが、こちらの予測は不可能だ。
それでも‥失敗しても「ドンマイ、ドンマイ」と声をかけ、「みんなでやりなおそうぜ」と言い合う子どもたちだ。きっと今よりもいい世界になっているだろう。他人を思いやる社会になっているだろう。そうあって欲しいと思う。