友々素敵

人はなぜ生きるのか。それは生きているから。生きていることは素敵なことなのです。

映画「架け橋 きこえなかった3・11」を見る

2016年06月04日 17時46分52秒 | Weblog

 開場時間に5分ほど遅れた。受付で多くの人が並んでいる。「椅子が足りないので、今準備しているのでしばらくお待ちください」と言う。椅子が運び込まれたが、「立ち見になってもいいですか?」と聞かれる。「椅子の必要な方から座っていただきます」と係りの人が言って回わる。演壇前にカーペットが敷かれ、「30人くらいは入れます」とも言われる。結局、1時間15分立ったままだった。

 いや、これほど盛況になるとは主催者も私も思わなかった。上野千鶴子さんに来ていただいて講演してもらう時と同じ部屋だ。主催者に入場者数を聞くと、「整理券を数えると300人は入っています」と言う。マックスで150人と言われているのにその倍もいることになる。7月3日、上野さんに来てもらうが250席までなら椅子を並べられるというわけだ。

 300人もの来場者があったのは映画『架け橋 きこえなかった3・11』とその監督の講演会である。映画は東北大震災に遭った耳の聞こえない人たちを追ったドキュメンタリーで、制作した監督自身も聾者の今村彩子さんだ。しかし映画に暗く重苦しさはない。聞こえなかったために亡くなった方もあるだろうが、宮城県聾者協会の会長の小泉さんの性格の明るさからか、前向きで行動的で心温かい。

 聾者が災害に遭った場合、何が大事なのか。実のところ障害のあるなしに関わらず一番大事なことは、ご近所との日頃からのつながりである。耳が聞こえなくても、目が見えなくても、身体が動かせなくても、つながりがあれば助けてくれる。それは健常者でも同じことだ。いざと言う時ほど、人の助けが必要なのだ。

 今村さんが映画を作りたいと思ったのは、お父さんの影響だと言う。家族4人でテレビを見ていても耳の聞こえない彼女は理解できない。落ち込んでいた時、お父さんが洋画を借りて来てくれた。映画を作れば耳の聞こえない人にも伝わる、それが彼女を映画作りに導いた。愛知教育大の卒業だが在学中にアメリカの大学に留学し、そこで映画製作を学んだ。今度、沖縄から北海道宗谷までを自身が自転車で走行し、そこで出会った人々とのドキュメンタリー映画が公開されると言う。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする