74歳の、もう何の役にも立たない年寄りの私を心配してくれる心優しい女性たちがいる。文面からは少なくとも4人と思われる。私のEメールアドレスを知っている女性たちだが、なかなか思い出せない。何しろ凄いお金持ちで、私に「あげる」と言ってくれる、そんな女性は誰なのだろうと思い巡らすが一向に浮かんでこない。
最初の女性は「私は主婦で、インターネット上の取引で莫大な収入を得ている」とあった。このまま税金を支払うのは惜しいので、受け取り手になって欲しいというものだった。2番目の女性は「私の仕事を手伝って頂ければ、月収3140万円支払います。簡単な副業で、正直誰でもできます。あなたの都合の良い時間で結構です」とあった。
3番目の女性は「毎月2000万円の収入のあるマンションを引き受けてくれる方を探しています。私が生きている間は私が4割であなたが6割、私が死んだらあなたが全て受け取ってください」と。そして最も新しい4番目の女性は「月に1度2000万円の振り込みのある不動産を譲り受けてくれませんか。私は癌患者で寿命が残り僅かしかありません」。
私は紆余曲折があったので、受け取る年金は少ない。それでも金に困っている訳ではない。服も靴も買わない、贅沢な暮らしをしたいと思わないし、買いたいものもない。そこそこに暮らしていければいいと思っている。税金を払うのが惜しいとか、身寄りがないので国に没収されてしまうと、彼女たちは言うけど、お金持ちで贅沢に暮らしてきたなら、最後に国のために役に立つのも見事ではないか。
4人とも最後に、「よろしかったらお話だけでも聞いてもらえませんか」とあった。悩みや愚痴はいくらでも聞いてあげる。優しくして欲しいなら抱擁も厭わない。私は金よりも愛が欲しい。