ベトナム旅行の最終地はホーチミン(昔のサイゴン)。ベトナム戦争でアメリカ軍は敗北し撤退したから、ベトナムは「北」に制圧されたことになる。市街の中心にフランス植民地時代に建てられた左右対称の威風堂々とした建物は、現在は人民委員会庁舎となっている。その前の広場には建国の父、ホーチミン像が建物を背景に立っている。ホーチミンは「国父」としてベトナムの人々に親しまれているようだ。
ベトナムは共産党政権の国だけれど、「開放政策」のため資本主義経済である。ガイドさんが「ベトナムには、ホームレスはいないがお金持ちはいる。一番のお金持ちは政治家、二番目は土地成金」と言って笑わせた。結局どこの国も同じだ。ホーチミンやダナンなど、大都市は建設ラッシュで巨大なビルがどんどん建てられている。河川は多いがダム発電は少ないのか、「電気は不足しているので、クーラーは1つの部屋にしかない。暑いので男は家に居なくて、外で友だちと酒を飲んでいる」とガイドさんは言う。
ベトナムの普通の家は間口が狭く奥深い。税金のためらしいが、この建築の方が風が流れるらしい。レンガを積み重ねて、上へと伸ばしていく。そんな風に建てている家を何軒も見た。家族総出で建てると聞いたが、全く簡単な家づくりである。「ベトナムは何百年と地震がない」からの建築法である。1階建てならともかく、3階から4階の家が多いから「本当に大丈夫?」と思ってしまう。
ホーチミンでは2千軒の店が集まっているベンタン市場を見学した。ここで自由時間となり、みんなは「喫茶店に居る」と言うので、私はひとりで市場を探検して回った。どんな店があり、どんな風に運営されているのか興味があった。通路は人がひとりしか歩けないくらい狭い。私が見て回っていると店の女性が「おじさん、なにさがしている?」と声をかけてくる。初めは笑って通り過ぎたが、ベトナム人にしては太っちゃな珍しく不細工な女性が声をかけてきたので、「あなたのような素敵な女性を探している」と答えたら、バカにしているといった顔をした。言葉は通じるようだった。
ホーチミンのホテルのレストランが最後の食事。フレンチ風というだけあった。夜景もきれいだった。ベトナムはタイより活気があるから、もっと経済発展していくのだろう。日本に戻って涼しさを期待したのに、ベトナム以上に暑い日が続き、ベトナムが恋しくなった。