goo blog サービス終了のお知らせ 

友々素敵

人はなぜ生きるのか。それは生きているから。生きていることは素敵なことなのです。

天才でなくてよかった

2021年02月05日 17時38分14秒 | Weblog

 三島由紀夫の『仮面の告白』を読んでいると、確かにこの人は凄い人だと思う。仏教の用語だけでなく、西洋の神話や作家のことにも精通している。東大へ進むまでは学習院で過ごしたから、これらの知識はその時代に蓄積されたのだろう。

 『金閣寺』も『仮面の告白』も、とても理屈っぽくてウンザリするのに何故か引き付けられてしまう。天才の気質は何となく死の臭いがする。己を貫徹するために割腹の形を取ったのかも知れない。平々凡々、ちょっと悔しいけど普通の人間でよかったと思う。

 頭脳明晰な人は、己の頭の中の世界が現実についていけないのかも知れない。私のところに電話して来る同年の女性も天才気質なのか、妄想の世界にとりつかれている。私は4月で77歳になるが、「喜寿は喜びではない。役割が終わったということ」と断言してくれる。

 そうであるなら、私としては喜びたい。恥を重ねて生きることからも、煩わしいことからも、これで解放されるなら有り難いことだと思う。私の役割は何だったのかと思うが、そんなことが考えられるのは天才だけだろう。

 コロナ禍はすぐには終息しないだろうが、手洗い・マスクに気を付け、美術館巡りに出かけるつもりだ。何もしなければ何も起こらないだろうが、それでは残り少ない人生なのに味気ない。人には迷惑をかけられないが、自分が感染するならそれも運命だろう。

 先ほど、私と7歳しか離れていない教え子の女の子から小包が届いた。のし紙にお礼とあるが、思い当たらない。電話してみたら、「メールしたんですが」と言う。メールを先に見なくてはいけなかったが、おかげで直接声を交わすことが出来た。凡人であるが故の得である。

コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする