カミさんは胸の中央が「時々痛いのよ」と、友だち仲間や娘や孫に相談していた。「11月の健康診断の結果が気になる」とも言う。かかりつけの医者にそのことを相談したが、テキパキとした指示がないので、仲間や娘や孫に愚痴をこぼしていたのだ。
カミさんはずぼらな性格だが、心配事を自分から作るタイプでもある。「病は気から、ストレスが痛みを生んでいるんだよ」、そう私が言うと、「ストレスなんか無い」と反論する。晩酌はするし、歯が丈夫だから私よりも食べるのは早く、汁ものと一緒に流し込んでしまう。
友だちからの情報や診断書からの情報を調べ直し、「予約や紹介状がなくても診察してくれる病院があるから連れて行って」と言うので、今朝、一緒に行って来た。土曜日でも結構人は来ているが、スタッフ同士の話では「今日は少ない」ようだ。
診察から診断まで2時間近くかかるというので、私はひとりで三岸節子記念美術館へ行って来た。画家たちの「肖像画」展は見ておきたかった。画家が自画像をどのように描くか、それは彼が絵画をどのように見ているかであり、自分自身をどう見ているかでもある。
もう1部屋では、起工業高校デザイン科の生徒たちの自画像が展示してあった。2年と3年の生徒の作品と1年の作品が微妙に違うので、係りの人に聞いてみた。作品はみな1年の時に描いたものだが、「先生が替わった」と教えてもらった。先生によってこんな風に違うのかと改めて思った。
絵のうまい子もいればそうでもない子もいるはずだが、掲示された作品を見ると皆技量が高い。彼らはこれで大いに自信を持つはずだ。感慨にふけった後、病院へ迎えに行く。診断を終えて出てきたカミさんは結構晴れ晴れとしている。「やっぱり、病は気から」ではないだろうか。