草津温泉に行って、ちょっと変わったなあーと思った。湯畑やその周りの様子は昔のままだったが、来ている人々が全く違っていた。温泉地と言えば、中年の男たちや老齢の夫婦が多かったのに、若い学生や幼児を連れた夫婦が目立った。
私がそんな風に見ていたのかも知れないが、大学生と思われる男女が、カップルであるいはグループで来ていた。ホテルでも高校生かと思うような男女が目に付いた。草津温泉はスキー場も近く、ホテルでスキーやボード、靴や防寒着のレンタルもやっていたから、手軽にスキーが楽しめる場所なのかも知れない。
ホテルの露天風呂で、男2人が女のことで話していた。男のひとりが付き合っている女子大生は高校の後輩で、スマホのメールに気が付かないと「すぐ、怒る」と言う。何から何まで仕切りたがる彼女に、少々うんざりしているようだ。
「お前から彼女に告白したんだろう」と片方が言うと、「あんなウルサイ女だとは知らなかった」と答える。「4月からは専門科目が増えるから、自由な時間は減ってしまう。それを理解してくれるのか心配だ」と嘆いていた。
1分でも一緒にいたい彼女と、自分の自由な時間が欲しい男の葛藤かと、私は湯船に浸かりながら聞いていた。まだ、恋愛の初期段階だ。これからもっと喰い違いが生まれるだろう。それでも互いが好きなら、乗り越えていくだろう。
愚痴っていた男は、ウルサイ女の友だちの女子大生に心惹かれているようだったから、さっさと別れて新しい恋に進めばいいと、勝手に妄想していた。今の若い人は、恋愛はめんどくさいと言っているようなことを聞いていたが、やっぱり異性に関心が無い訳ではないようだ。
湯畑で見かけた沢山のカップルや、ホテルにいたカップルは、結婚に至るのだろうか。いや、ホテルにいたカップルは既に成就しているということか。バスツアーにひとりで参加していた男女が結構いたが、どういう思いで参加していたのだろう。