漫画家のジョージ秋山さんが亡くなった。77歳とあったから私とそんなに年齢の差がなかったと知った。教員になりたての頃、「少年マガジン」とか「少年ジャンプ」といった漫画雑誌が盛んだった。全共闘の学生が手にするのは、「AERA」と漫画雑誌と揶揄されたくらいだ。
ジョージ秋山さんの『銭ゲバ』は有名だったが、私の好みはその次の世代の上村一夫さんだった。絵がキレイでストリーに惹かれた。けれど、ジョージ秋山さんの次の作品『浮浪雲』は随分人気だった。1960年代後半から80年代にかけて、表現の世界は転換期を迎えていた。
私は高校のデザイン科の教員だったこともあり、画家に憧れもあったから、雑誌『美術手帳』を購読していた。作家たちがどんな作品を発表しているのか、知らずにいては作品は作れない。『美術手帳』に不思議な作品が紹介されていた。クリストという名の作家が、何でも布で覆ってしまい、これが自分の芸術作品であるというのだ。
有名な建築物や橋や島などを布で覆い、梱包芸術と称していた。なぜ、こんなものが芸術なのかという声は当時もあったが、真っ先に思いついた者の勝ちである。他の作家が思いつかないことを芸術作品らしく見せることが作家の技量だから。
当時、名古屋市立工芸高校に庄司達先生がいた。私が勤めていた学校の先生の大学の後輩になる人で、布や竹材などによる空間をテーマにした作品を発表してみえた。私は「やるなー」と思っていたが、ウチの先生は気に入らないようで、「本校は、芸術家は育てない」と言われた。
工業高校だから即戦力の職人を育てることが目的でよいが、それでも発想を豊かにするための教育は必要だろうし、自由にチャレンジさせることも勉強になるはずだ。先輩の先生とはそこが折り合わなかった。
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