私は会社で働いたことが無い。先輩たちはバブル期に営業担当だったので、嘘か誠か知らないが、「月に百万は使った」と豪語している。営業成績を上げるための接待費で、会社は黙認していたと言うが、売り上げが伸びなければ自分が潰されるから、「必死だった」と振り返る。
私は教員だったし、出世を考えたことも無かった。キャバレーとかスナックの違いも知らないし、そうした所へ1度も行ったことが無いと書いて、いや違う、歯科技工の会社でアルバイトをしていた時、社長に連れて行ってもらったことがある。社長が懇意にしている店に入って、出て来た女性を見てビックリした。
初恋の女性にそっくりだった。意を決してその店にひとりで行き、その女性に「初恋の人にそっくりなので、どうしても来たかった」と告白した。すると彼女は、「男はみんなそう言うのよ。ここはあなたが来るような所ではないわ。すぐにお帰りなさい」と言う。アッサリと振られてしまい、トボトボと帰るしかなかった。
地域新聞を始めた時、ひとりで会社や店を回って広告を集めた。地域を回って世間話をし、新聞のネタを探した。けれど、宴席に誘われることも無ければ招待することも無かった。ひたすら真面目に記事を書き、地域に溶け込む努力の日々だった。地域新聞は行政に入り込んで、ユスリタカリのごろつきが多かったので、ずーっと警戒されていた。
首長が替って、支局の記者とともに私も宴席に呼ばれるようになった。部下の職員も一緒だったが、首長の機嫌取りが第一で、私たち記者は二の次だった。サラリーマンが出世していくためには、そんな努力を強いられるのだと思わずにはいられなかった。
昨夜の『どうする家康』でも、秀吉は家康を臣下にするため、自分の妹を家康のヨメに送り、それでも家康が上洛しないので実母まで人質に差し出している。天下を取ることと出世することは大きく違うかも知れないが、男は地位とか評価に執着する存在だと痛感する。
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