大阪市の橋下徹市長は大阪都構想に市民の賛成が得られず、12月までの市長任期を終えたら引退すると言う。その表情はこれまでに見たことのないくらい爽やかだった。惜しいと言う人もいるが、私は引退は当然と思う。次々に維新議員を当選させ、国会にまで送り込んでいたあの維新ブームの時なら大阪都構想も賛成が上回ったかも知れない。大阪府と大阪市を一体化させる構想だったけれど、構想が損得の問題に矮小化された時点で負けだった。
維新が「2重行政の解消」を訴えたのに対し、反対の側は「都構想ではメリットはない。住民サービスは低下する」と訴えた。両方とも「損か得か」の主張だったから、投票結果は僅差となった。橋下さんは「独裁」を賞賛し、強硬な姿勢こそが政治を変えると言い、その姿勢を評価する人もいるが、だからこそこういう人をトップに置くのは危険だと思う。本人もそのことは分かっているようで、「私のような人間が長くやるべきではない」とも言っていた。
「君が代」を歌っているかを調べたり、労働組合を敵視してイチャモンをつけたり、報道機関を恫喝したり、「ヤクザと一緒で何が悪い」と開き直ったり、ケンカを売ることで自分を見せる手法を駆使する人を、私は全く支持できない。近年では稀な個性の強い政治家と賞賛する人もいることにガッカリする。強力なリーダーシップとは何が何でも自分の主張を押し切ることなのかと呆れてしまう。
「維新の会」の江田憲司代表は、橋下さんをバックアップできなかったので責任を取って代表を辞任すると言う。これで「維新の会」は解党に進むだろう。議員定数の削減や道州制など、「維新の会」が主張してきたものは「形」であり、大阪都構想はそれらの課題の1つに過ぎない。国会議員なら「国のありかた」を論議して欲しい。「どういう国にするのか。憲法、平和の実現、人々の生活の保障」などいっぱいあるのに、政党の中で何をしているのかと思ってしまう。
橋下さんは2度と政治家になってはならない。それくらいの思慮はあると私は思う。
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