前福井県議会議員 さとう正雄 福井県政に喝!

前福井県議会議員・さとう正雄の活動日誌。ご意見・情報は smmasao.sato@gmail.com までお願いします。

高浜原発再稼動決議案に反対しました!自民、公明などの賛成多数で可決

2015年12月17日 | 福井県政
  本日17日、福井県議会の最終日でした。
自民党、公明党、小浜市の西本議員、福井市の井ノ部議員が提案した「福井県議会としては関西電力高浜発電所3,4号機を再稼働する必要があると判断する」と明確に再稼働推進の決議。 
 私と細川議員が反対討論。自民党は提案理由説明と賛成討論をおこない、公明党、小浜市の西本議員、福井市の井ノ部議員も賛成討論をおこないました。民主党も反対しましたが、賛成多数で可決されてしまいました。

 傍聴席からも抗議の声があがりました。

 民主党は独自に決議案を提出しましたが、私は、規制基準に適合した原発の再稼動を促進するものだ、として反対。賛成は民主党だけで否決されました。

 また、私は討論の冒頭、西川知事が昨日の全員協議会に欠席したことには全会派から批判があり、「県議会軽視は県民軽視だ」と改めて批判しました。


 議会後に、傍聴にきていただいた金元書記長、谷口常任とパチリ。





 以下、私の反対討論です。



  民主党会派からだされました発議第8号「関西電力高浜発電所の再稼働に関する決議案」はその提起された項目については賛同できますが、前提が「原子力規制委員会が新規制基準に適合すると認めた原子力発電所の再稼働については尊重すべき」とあり、工学的安全性確認が不十分との見解から賛同できません。
 また、この考え方では安倍政権がすすめようとしている規制委員会が不十分な規制基準にもとづく審査で適合とした原発が相次いで再稼働していくことを容認することになります。

   昨日の全員協議会でも指摘致しましたが、先の県議会への説明会で、原子力規制庁の山形統括官は炉心溶融にともなって原子炉容器下のプールの水と溶け落ちた金属が爆発的に反応する水蒸気爆発の危険について、「俗に水蒸気爆発が心配されるということがある」とよそ事のように答弁しただけでした。
また、「炉心の中が全部溶け落ちた場合でも、放射性物質は格納容器の外にでないので、脆性遷移温度についての基準はでてこない」などと開き直りました。ではなんのために、試験片を入れて脆性遷移温度チェックをしているというのでしょうか。私は本当に驚きました。このようないい加減な規制委員会の審査で高浜原発は合格だ、と言われても信用できません。
 昨日の安全環境部長の答弁では高経年化の対策を述べられましたが、原発のほかの部分は部長が答弁されたように、対策を講じて蒸気発生器などの取り換えがおこなわれています。しかし、原子炉容器そのものは取り換えできず、老朽化がすすむ一方であり、これを食い止める手立てがないのです。

  うがった見方をすれば、一番重要な原子炉容器の老朽化について規制基準をつくっても対策は不可能なので、規制委員会は最初から投げ出している、としか思えません。
 このような重大問題であり、知事の諮問機関である安全専門委員会にたいして、再度、工学的安全性についての審査をもとめるべきです。

したがって、工学的安全性確認がまだまだ不十分な高浜原発3、4号機再稼働容認はできませんし、本決議案の趣旨にも賛同できません。

 以上、申し上げて反対討論といたします。





 自民党会派を中心にただいま上程されました発議第9号「関西電力高浜発電所3,4号機の再稼働に関する決議案」は、「福井県議会としては関西電力高浜発電所3,4号機を再稼働する必要があると判断する」と明確に再稼働推進の決議であり、これは、国民県民理解がえられていない現状、また、工学的安全性確認が不十分であること、苛酷事故時の実効的な避難体制整備と訓練がこれからであること、などを考えれば、賛成できません。

 工学的安全性についての規制基準と確認が不十分な点はさきほど述べました。

  知事は私の一般質問にこたえ、国民理解についておもに消費地の住民理解のことであり、福井県民は理解がすすんでいる、との見解を述べられました。
しかし、現実はそうではないのです。3月の20万5000名余の再稼働反対署名提出につづき、14日に再度の署名提出がおこなわれ、県内外30万名もの住民が知事に再稼働に反対することをもとめました。
 また、マスコミが10月におこなった調査では、仮に裁判所が再稼動を認めない仮処分を取り消した場合に再稼動に賛成するか、とのかなり前提をつけた質問に対しても、大阪市では反対の意見が57,1パーセント。福井県の敦賀市、美浜町と嶺北地域の調査では反対は52%でした。知事が胸を張るほど福井県民の再稼動への理解はすすんでいません。消費地である大阪市とさほど大きな違いはないのです。

 知事が答弁したような消費地の理解はすすんでいないが県民理解はすすんでいるという認識は間違っています。間違った認識で再稼働へすすむことはだめです。提案されたような決議は多くの県民ののぞまないところであります。

さらに重大な問題は昨日の全員協議会での杉本副知事の答弁であります。私が30万人もの再稼動反対署名にたくされた県内外の住民の声をうけとめるべきだ、と主張したのに対し、「福井県民の署名はごく一部だ」と暴言をはきました。県民軽視の姿勢の最たるものであり、断じて許されません。
 そもそも福井県知事あてに寄せられた30万人という署名自体が空前のものではありませんか。30万人の声を無視する行政でいいのですか。謙虚さがありません。

「国民理解を」と口では言うが、福井県の原子力行政を国民に理解していただこう、そのためにもこういう署名を重く受け止めなくては・・・という気持ちが知事や副知事からはまったく感じられません。国が、国が、という以前に県自身が考え方と対応を改善すべきであります。

 約6万人の福井県民の署名にしても高浜町の人口の約6倍です。その県民たちを「ごく一部」と切り捨てる態度は言語道断です。
こんな態度だから、県民理解もすすまず、再稼働反対の世論調査の数字が大阪市とさほど変わらない調査結果がでるのです。

  西川知事が会うべきは官房長官や経済産業大臣ではありません。原発再稼働を心配する県民と向き合い、知事自身から再稼働の必要性を語る県民説明会を県内各地で開催すべきです。

  国が、国が、ではなく、県がすすめる原子力行政への県民への説明責任は第一義的に県が負うべきです。事故が起こっても、国が、関電が、と言って責任逃れするようでは県民がやりきれません。県民にたいして説明責任を果たそうともしない、まったく誠意が感じられないいまの現状での再稼働容認の決議はおこなうべきではありません。

以上、申し上げて反対討論といたします。

再稼働議論の議会に知事が前代未聞の欠席。副知事は再稼動反対の署名を「ごく一部」と切り捨てる暴言

2015年12月17日 | 福井県政
 昨日の高浜原発再稼動論議の福井県議会全員協議会。なんと西川知事は官房長官との面会が入ったと欠席。前代未聞ではないか。石塚副知事も出張。杉本副知事が知事にかわって答弁・・・・
 私は、官房長官との面会日程などはいった段階で、全員協議会の日程変更などをおこなうべきだった、と突然議会を欠席した知事の対応を批判しました。

  全員協議会では、再稼動反対は、私と細川県議。自民党は、再稼動必要、と。民主は、判断できる環境にない。公明は、知事の判断を尊重する。
杉本副知事は私が30万人もの再稼動反対署名にたくされた県内外の住民の声をうけとめるべきだ、と主張したのに対し、「福井県民の署名はごく一部だ」と暴言をはきました。
 「国民理解を」と口では言うが、国民に理解していただこう、こういう署名を重く受け止めなくては・・・という気持ちがまったくありません。
  約6万人の福井県の署名にしても高浜町の人口の約6倍であり、その県民たちを「ごく一部」と切り捨てる態度は言語道断です。
こんな態度だから、県民理解もすすまないのです。

 今日午後2時からの本会議には、自民党が再稼動容認決議案をだす計画です。
最後まで再稼動反対の声を届けましょう!



■私の発言要旨

 私は先月福島県をたずねました。県議会で視察調査したことがある富岡町の役場はいまだ町への帰還はならず、郡山市にプレハブの2階建ての大きな庁舎としてありました。いわき市では、楢葉町や大熊町などの自治体単位でたくさんの避難住民の住宅がならんでおりました。
 人間にとって本当の幸せとはなにか、先祖伝来の田畑と故郷を奪われ、事故の補償金をもらうことではないはずです。福島原発事故の大きな被害がつづいているなかで、福井県の原発再稼動には反対を表明いたします。

 おたずねします。
 知事は私の一般質問にこたえ、国民理解についておもに消費地の住民理解のことであり、福井県民は理解がすすんでいる、との見解を述べられました。
はたしてそうでしょうか。3月の20万5000名余の再稼働反対署名提出につづき、14日に再度の署名提出がおこなわれ、県内外30万名もの住民があなたに再稼働反対をもとめました。
 また、マスコミが10月におこなった調査では、仮に裁判所が再稼動を認めない仮処分を取り消した場合に再稼動に賛成するかとの質問に対し、大阪市では反対の意見が57,1パーセント。福井県の高浜町とおおい、小浜、若狭の高浜周辺地域以外、つまり、敦賀市、美浜町、嶺北地域では、反対は52%でした。
 知事が胸を張るほど福井県民の再稼動への理解はすすんでいません。大阪市とさほど大きな違いはないのです。

 知事がおっしゃるような県民のなかでの理解はまだまだ不十分ではありませんか。このような状況での再稼動は許されないと思いますが、30万を超える署名やマスコミ世論調査にしめされた国民や県民の声をどう受け止めているのか、おたずねします。


 もう1点は、県の原子力安全専門委員会は工学的安全性が確認されたとして報告書のまとめに入っていますが、重大な議論がぬけています。
 それは、7日にひらかれた原子力規制庁などを招致しての全員協議会でも指摘いたしましたが、原子炉容器自体の脆性遷移温度についての健全性が確認されていないことです。ご承知のように、この温度が高くなれば、非常時の冷却水注入によって原子炉容器そのものが損傷することとなり、電源車とかポンプ配備とか以前の大問題です。ところが、新しい規制基準はこの問題についてスルーをし、県の安全専門委員会もスルーしています。原子炉容器内の燃料棒などが高温で溶け落ちた際に、下のプール内の水とはげしく反応する水蒸気爆発、これは火山の爆発でもみられる現象ですが、この危険性についても検討されていません。
 ところが、説明者の原子力規制庁の山形統括官は、「俗に水蒸気爆発が心配されるということがある」とよそ事のように答弁しただけでした。
また、「炉心の中が全部溶け落ちた場合でも、放射性物質は格納容器の外にでないので、脆性遷移温度についての基準はでてこない」などと開き直りました。ではなんのために、試験片を入れて温度チェックをしているというのでしょうか。
  私は本当に驚きました。このようないい加減な規制庁の考え方で高浜原発は合格だ、と言われても信用できません。
知事の諮問機関である安全専門委員会にたいして、本当に原子炉容器内の燃料棒や構造物がすべて溶け落ちても県民の安全に影響はないのか、再度、工学的安全性についての審査をもとめるべきと考えますが、見解をおたずねします。




  以下、報道・・・・


■NHK・・・・再稼働問題で各会派から意見

  関西電力が運転再開を目指している高浜原発3・4号機について、県議会は、16日、全員協議会を開き、各会派が再稼働について賛成、反対の立場から最終的な意見を出しました。
協議会は、西川知事欠席のもとで行われ、冒頭、仲倉典克議長が、「議会は、我が国の原子力行政にとって重要なもの。西川知事は、会期中にもかかわらず、再三の出席要求に応じなかった、この異常な事態を極めて遺憾に思う」と述べました。

  このあと、高浜原発3・4号機の再稼働について、各会派が意見を出し合い、議会の過半数を占める最大会派の自由民主党県政会の山岸猛夫会長は賛成の立場で「原発の安全性に関する県民の懸念を払拭していくためには、安心安全の取り組みを丁寧に説明していくことが求められており、県の立場でできる広報を実施してもらいたい」と述べました。
これに対し、杉本副知事は「必要な広報は十分にしていくべきだと考えている。電力の消費地をはじめとする原発の国民理解の促進を前提に議会での議論、結論を十分承った上で責任ある判断をしていきたい」と答えました。
また、民主・みらいの野田富久会長は「使用済み核燃料を保管する中間貯蔵施設について、知事は一貫して県外立地を訴えているが、具体的な立地選定に至っていない」などと課題を挙げたうえで「再稼働への同意について、現段階ではとても判断できる状況にない」と述べました。
さらに、共産党の佐藤正雄議員は、「知事が胸を張るほど、県民の原発再稼働への理解は進んでいない」などと述べ、再稼働に反対しました。
このあと、仲倉議長は報道陣の取材に応じ「議会としての意思は出そろった。17日の議会最終日
に総括的な見解を出すことになる」と述べました。
県議会では、17日開かれる本会議で、再稼働を求める決議案の採択が行なわれ、県議会として再稼働に同意する見通しです。

■毎日・・・・福井県議会、再稼働同意決議へ 17日採決

福井県議会(定数37、欠員1)が17日、関西電力高浜原発3、4号機(同県高浜町)の再稼働に同意する内容の決議案を可決する方向になった。議会関係者らによると、17日午前の議会運営委員会で提案内容を決め、午後に開かれる本会議で採決する。最大会派の自民党県政会(26人)は賛成する方針のため、成立する見込みだ。

 高浜町の議会や野瀬豊町長は既に同意を表明しており、県議会が態度を決めれば、地元同意の手続きは西川一誠知事の判断を残すだけになる。

 同県議会は16日、全議員が出席して高浜3、4号機を議題にした全員協議会を開き、各会派の代表者らが総括的な意見を述べた。自民の2人は「資源の乏しい日本にとって、化石燃料に頼らない自前のエネルギーは重要」などと原発の必要性を主張。第2会派の民主・みらい(5人)は「現段階で判断できない」と保留し、公明(1人)は「知事の判断を尊重する」と述べた。共産(1人)は「原発への県民理解が得られていない」と反対した。

 高浜3、4号機の運転差し止めを命じた福井地裁の仮処分決定に対し関電が申し立てた異議は、24日に同地裁で決定が出る予定。決定が覆れば再稼働が可能になる。【村山豪】


■NHK・・・知事“原子力重要性発信を”

  関西電力・高浜原発3・4号機の再稼働をめぐり、西川知事の判断が注目されるなか、西川知事は、菅官房長官と会談し、再稼働の条件として掲げる原子力の重要性や必要性について、政府として強いメッセージを発信するよう求めました。
西川知事は、16日午後、東京を訪れて総理大臣官邸で、菅官房長官と会談しました。
会談は非公開で行われ、会談のあと記者団の取材に応じた西川知事は「政府が原子力エネルギーの重要性や必要性をどう考えて行くのかを国民のみなさまにお示しすることが大事だ」と述べました。
その上で「政府のしっかりとした方針を示してもらうことが国民の安心や信頼にこたえていくことにつながる」と述べ、政府が原発の再稼働や廃炉、核燃料サイクルなど、原子力全体についての考え方を国民に向けて強いメッセージとして発信するよう対応を求めたことを明らかにしました。
これに対して、菅官房長官は「趣旨はよくわかったので色々考えてみたい」と答えたということです。
西川知事は再稼働の条件として掲げている5つの項目のうち、今回の会談で要請した「原子力の国民理解の促進」を最も重視していて、これを踏まえた政府の対応を見極める方針です。