前福井県議会議員 さとう正雄 福井県政に喝!

前福井県議会議員・さとう正雄の活動日誌。ご意見・情報は smmasao.sato@gmail.com までお願いします。

一般質問。治安維持法。原子力行政。特急存続。教員過労死

2017年02月24日 | 福井県政

昨日は、県議会一般質問、広報会議、夜は町内会議などでした。
知事らの答弁はとうてい満足できるものではなく、引き続き委員会審議で頑張ります!


■一般質問

 日本共産党の佐藤正雄です。

1、 窒息する社会はゴメン!共謀罪について
 今の国会に政府が提出を予定していますテロ対策を口実にした共謀罪法案はこれまでに3度も廃案になるなど国民理解が得られていないものです。
 そもそも国連が「テロ防止条約」とする14本の条約の中に、政府が締結には共謀罪の創設が必要だとする国際組織犯罪防止条約は含まれておらず、条約締結のために共謀罪創設が必要だという安倍政権の説明は国民を欺くものであり許されません。
 さらに安倍総理を先頭に一般人は関係ない、とことさらに強調し、特別な犯罪集団だけが対象のように説明していますが、これまでの3度の廃案も対象が無限定で一般人も対象とされる危険が指摘され廃案になってきました。
 国会でも安倍総理は関係ないと判断してきた一般人の集団であっても判断が変わる場合がある、と答弁しました。
判断をするのは誰でしょうか。一般国民ではなく、その時々の国家権力であり、捜査機関です。
 まさにかつての治安維持法と同様の窒息する日本社会をつくる危険性があり、現代版治安維持法ともよばれています。かつての治安維持法は制定された後に、最高刑が死刑に拡大され、予防拘禁までが導入されました。取り締まりの対象ではない、とされていた労働運動や宗教、文化活動、教育実践、学生サークルなどにまで恐怖の取り締まりがおこなわれていきました。
 今回の共謀罪制定に関しても、日本ペンクラブ、140人を超す刑法学者、日本弁護士連合会なども反対声明をだしています。
また、安倍政権は安保法制・戦争法でも順法精神を失い、暴走しています。南スーダンでの活動では現地からの報告を隠蔽し、戦闘を衝突などと言い繕うありさまです。
かつて戦争を事変と言った歴史にかさなりかねません。
あまりのひどさに共産党、民進党、社民党など野党各党は稲田防衛大臣と金田法務大臣の辞任を求めています。
 ところで、今回の予算案には幕末明治福井150年博開催準備事業費などが計上されています。
明治は富国強兵、対外戦争へと向かった時代でもありました。
 その後、福井出身の総理・岡田啓介は2.26事件の当事者ともなりましたが、治安維持法の適用を学者、宗教者へと拡大し思想・信条への弾圧をおこなった人物でもあります。彼は回顧録で「無理な戦争でも勝てればいい」と語っています。多くの国民、県民が多大な犠牲を負った戦争とそれを支えた国民弾圧への反省は語られません。
 
① そこであらためて知事の歴史の事実についての認識をおたずねします。
 県庁と県議会はじめ多くの県民は戦争犠牲者、戦没者を慰霊追悼し、あやまちを繰り返さないと誓い続けています。
戦争推進と一体で当時の治安維持法でその反戦思想や信条、労働組合活動、文化活動などを理由に逮捕された国民は数十万人、送検された者は75681人、獄死者は約1700人、実刑は5162人にものぼる大規模なものでした。治安維持法犠牲者に国家賠償を求めている国賠同盟福井県本部などの調査活動によれば、福井の大島英夫、木下利男、上中信夫、武生の黒川泰一、大野の乾補みつる、土本勇、加藤和光をはじめ福井県民の犠牲者も少なくありません。ゆうに100名を超え、数百名ともいわれています。宇野重吉、高見順、高田博厚ら戦後活躍された面々も治安維持法弾圧の犠牲者でした。
治安維持法は戦争遂行の国策と一体であったわけです。この治安維持法の犠牲者に対して、知事は哀悼の意を表明し、二度と過ちは繰り返しません、と誓うべきではありませんか。誠意ある答弁をもとめます。


2、福島原発事故から6年。県の原子力行政は?
●もんじゅ  原子力政策
つぎに原子力行政について質問します。
安倍政権は、もんじゅは廃炉にするが、高速炉開発は継続することを関係閣僚会議で決めました。
高速炉と高速増殖炉は高速中性子を利用する点では同じですが、関係閣僚会議の高速炉開発とは、これまでの高速増殖炉開発からプルトニウム増殖をはずしたものです。

② そこでおたずねします。そもそも高速増殖炉開発は長期計画、原子力政策大綱において将来の原子力の主流と位置付けられてきました。増殖をはずすなら、日本の原子力政策の抜本的見直しをおこなうのが道理ではありませんか。また、今回の関係閣僚会議での決定はこれまでの政府の政策手続きからも逸脱しており、まずは原子力政策大綱の見直しから始めるべきと考えますが、知事の見解をおたずねします。


●老朽化原発再稼働工事と福島の教訓
さて、大飯原発3号機と4号機について、昨日原子力規制委員会は、再稼働の前提になる新しい規制基準の審査に事実上合格したことを示す審査書の案を取りまとめました。しかし、大飯原発の地震や津波の審査を担当した島崎邦彦元委員が、規制委員会の審査合格の算定式を熊本地震の知見にもとづいて過小評価になると批判しています。例外と説明されていた40年超の原発を軒並み合格させる手法と言い、いわばかつて中枢を担っていた専門家からも審査内容の見直しが求められる事態と言い、規制委員会は当初の設立目的の活動から逸脱しています。
 ところで、高浜原発でのクレーン倒壊事故は前代未聞、言語道断です。普通、風速10メートルで作業中止ですが、今回、もし作業員がいたら深刻な労働災害になりかねないものでした。
私は、こういう事故を関西電力が防げなかった要因について、たんに暴風警報の気象庁との契約や作業手順などの課題に矮小化してはならないと考えます。
関西電力はプラントのうち、美浜1,2号機は廃止するが、あとは再稼働したい、との思惑です。
ですから40年超の老朽化原発の高浜1,2号機についても知事の了解を得て、再稼働にむけた準備工事に入っていました。
しかし、関西電力原子力事業本部が多数の原子炉についてその安全管理と再稼働にむけた大規模な工事などそれぞれ課題が違う工程を管理していくことは初めての経験であり、そのすべてを統括する能力があるかどうかの検証は県の原子力安全専門委員会でもなされておりません。規制委員会の審査にもかかりません。個々の原子炉の安全対策や工事内容についての議論はそのつど丁寧におこなわれるかもしれませんが、今後予定されている9基の原子炉の再稼働にむけたそれぞれの複雑な手順と2基の原発の廃止措置という新たな取り組みに十分な体制がとられているのかどうか、疑問です。
この無理な体制のなかで高浜1,2号機の規制審査を担当していた職員の過労自殺もおこりました。

③ そこで知事におたずねします。
11基の原発の再稼働と廃止措置にむけた複雑で難渋な業務に取り組む原子力事業本部と発電所の態勢について、同時並行ですすめても大丈夫だと知事が判断された根拠をおたずねします。

④ 知事がきっぱりと40年超原発の再稼働は認めない、と最初から判断していれば、職員の過労自殺も、クレーン倒壊事故も防げたわけではありませんか。
この際、いまからでも知事として、工事入り容認と再稼働判断は別だ、などと従来のいわば平時の手法を繰り返すのではなく、いまは非常時なのですから、今からでもきっぱりと40年超す原発の再稼働は認めない、工事は中止すべき、との判断を下すべきではありませんか、明確な答弁を求めます。

●さて、来月11日で福島原発事故から6年をむかえます。テレビでも高高線量のデブリの映像なども流れ、今後の福島原発での作業の困難さが想定されます。
原発事故で家と地域を失った方々の苦難もつづいています。いわゆる区域外避難者は約26000人、そのうち70パーセントが4月以降の住宅が未定とお聞きしました。自主避難者への唯一の補償が住宅提供でしたが、3月で打ち切られるからです。
福島に戻らないなら新たな負担を強いられ、福島に戻れば被曝に向き合わなくてはならない。まさに「貧困か、被曝か、選択」がせまられているのです。
これまでの日本の歴史にない最大の事故を起こし安寧な生活を奪いながら国民を見捨てていく国や東京電力の残酷さに身の毛がよだちます。
 
⑤ そこでおたずねします。毎日新聞のアンケート調査報道では、福井県は原発事故自主避難者にたいして、4月以降は住宅の無償提供も、家賃補助も、転居補助もいずれもおこなわない、と回答しています。なんと冷たいことでしょうか。
自らにはなんの過失もない原発事故によってやむにやまれぬ思いで福井県にこられた方々に対して、もっとあたたかい支援ができないものでしょうか。
鳥取県は「避難者は住まいの不安を感じている。支援するから住み続けてもらってもいい」との考えから県営住宅の無償提供、民間賃貸住宅でも家賃全額補助をおこなうようです。
原発のない県ですらこれだけの支援をおこなうのですから福井県は原発事故被災者にたいしてもっと親身になって県営住宅の無償提供、民間賃貸住宅の家賃全額補助など住まいの確保に関する独自の支援をおこなうべきではありませんか、おたずねします。


3、「高くて不便になる」新幹線でいいのか?

つぎに新幹線問題で質問します。新幹線敦賀開業にともなう乗り換え利便性の問題は北陸新幹線認可の際の国土交通省が設置した委員会でも重要な議論となりました。その際に、乗換え利便性を向上させるためにFGT導入が決定されたのです。1.0であったB/CがFGT導入により、1.1となったのです。つまり投下した事業費以上の公共事業効果をだすためには敦賀駅で毎日平均2万人ちかくの利用者がいちいち下車して乗り換えるようでは効果が低下し、公共事業としての妥当性が疑われる恐れがあったからです。今頃になって「FGTはひとつの案だった」というのは計画の遅れの言い逃れでしかありません。
FGT開発の遅れにより、敦賀駅での乗り換え利便性確保のために新たに100億円もかかるという工事が必要になるのではありませんか。しかも仮に敦賀以西も開通すれば無用の工事となるのです。このような手戻りは国民、県民の税金の無駄遣いです。
ほんらいの北陸新幹線認可時の原点に国は立ち返るべきです。
すなわち、FGT開発ができないのなら、現在の利便性を確保するのは現行の特急存続しかありえないことは明白です。
国がFGT開発遅れのつけを、あらたな敦賀駅での巨額の工事をおこない、福井県民と敦賀市民につけを回すのは間違っています。
⑥ そこで知事におたずねします。
このようにFGT開発の遅れのためにそのつけを当初の計画にはなかった巨額の新たな負担として福井県と敦賀市に押し付けるのは問題ではありませんか。見解をおたずねします。

認可時の原点に立ち返り、FGTが見込めないなら、同等の利便性確保の現行特急の存続を国とJRに求めるべきではありませんか。昨日の一般質問への答弁で「県は議論を見極めていく」「整備財源や並行在来線に影響する」などの答弁がありました。
巨額の税金を投じ、現在の特急よりも利用者の利便性を悪くする公共事業など許されませんよ。知事の明確な答弁を求めます。



4、繰り返すな!教員過労死

最後に教員の労働衛生環境改善について質問します。
 代表質問への答弁でこの10年間に自殺された教員が10名との答弁がありました。昨年の私の質問の時は9名でしたのでまた犠牲者がうまれたということです。無念であり、ご冥福をお祈りしたいと思います。

⑦ まず質問します。昨年の私の質問の際にはお答えいただけませんでしたが、10名のうち、過労をふくめ業務の影響での自殺者は何名なのですか。お答えください。また、その関係者の処分内容と理由についてもおたずねします。
ここのところが県議会と県民に隠されたままでは、議会としても事態の全容解明と対策の議論がすすみませんし、結果的に犠牲を繰り返すことにつながりかねません。平均すれば毎年自殺者をだしている福井県教育行政の異常事態をなんとしても改めなければなりません。県議会と課題を共有し、解決に向かうためにも明確な答弁を求めます。




ところで県教委は5月、9月、2月に教員の出退勤記録を報告させているとお聞きしました。県に報告する月だけ毎日記録する、しかも全員の分を平均してしまう、などの実態もあるようです。まことに不正確です。
県教委は自己管理表をわたし、自己責任を強調しています。現場の教員からは「仕事が増える中で、なんのためにやらせているのか意味がわからない」との声もあがっています。

教育長のもとにも現場の声がとどけられているはずです。
紹介しましょう。
「仕事が多く土日も学校。休みは1日だけ。こどもが1歳と3歳で、7時半に帰宅し、また9時半に学校へ仕事にもどることも週に3日ある」
「とにかく忙しくて教材研究の時間もとれない。なんのために教員をやっているのかわからなくなってきています。多忙化解消をしてほしい」
「土日は必ず部活があるため、妻子は毎週末に実家に帰ってしまう」 などなど深刻です。

⑧ 労働時間の把握を自己責任にしていることを改め、校長の責任で把握すべきであり、教育委員会としての把握も3か月だけではなく毎月おこなうべきではありませんか。
さらにそもそも労働安全衛生法にもとづく活動が各教育委員会と学校でやられているのか、も問われます。この点で、県教育委員会安全衛生委員会が昨年の3月22日以降開催されておらず、今年度の開催がないのは実態として法に違反する状態ではありませんか、その未開催理由と見解をおたずねします。
真摯な答弁を求め、質問を終わります。