2020年10月7日 福井県議会最終日本会議での佐藤正雄議員の討論です。
■家庭教育支援条例に反対
◯28番(佐藤正雄君) 日本共産党の佐藤正雄です。
発議第14号福井県家庭教育支援条例案について反対をいたします。第一に、手続の問題です。この条例案は手話言語条例などと違い、関係者や関係団体などからの要望に基づくものではないだけに、より慎重に県民の声を聞くべきでありますが、その手続が極めて不十分であります。実際にパブリックコメントを寄せた方は5人にとどまり、県民の中で条例そのものがあまり知られておりません。一方、条例案の内容を知った県民の皆さんからは、新日本婦人の会や弁護士団体から慎重審議や反対の声が議会に届けられております。
かつて国会で障がい者に関する立法の際に、私たち抜きに私たちのことを決めないでとの世論が起こりました。この条例案の中間報告が行われた際に、私は子どもたちを含めた当事者の声を聞くべきと提案いたしましたが、行われておりません。コロナ禍の下での条例制定だけに、拙速に進めず一層かかる配慮が求められると思います。
日本子どもを守る会の増山均会長は5月31日の声明の中で、様々な取組の実施に当たっては、子どもによく説明すると同時に子どもにも相談して子どもの声を聞き、子どもの参加の下で一緒に知恵を出し合って取り組むように求めております。このことの重要性は、コロナ感染症対応のみにとどまらないと私は考えます。
子どもを権利の主体として認めることは国際的標準であります。当事者の声を十分に聞かないままに行政と子どもを含む県民を拘束する法律を制定することは民主社会においてあってはなりません。また、何より県民の多様な意見を踏まえて十分な議論を行うことを定めた福井県議会基本条例の趣旨にも反するではありませんか。
第二に内容の問題です。法律家である自由法曹団福井県支部の声明でも指摘されておりますように、この条例案には幾つかの問題があります。そもそも家庭教育という子どもをどう育てていくかという親の生き方に公権力が介入し、こうあるべきなどと強制していくことは、思想良心の自由への侵害となりかねないこと。個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚する家族制度を規定した憲法24条の精神に反すること。条例案第3条などは、他県の条例と比べても家庭の責任、保護者の責任の強調度合いが強く、憲法19条に保障する思想・良心の自由に抵触しかねないことなどが弁護士団体からは指摘されております。
このほか第8条の祖父母の役割規定は、必ずしも息子、娘の家庭と祖父母の関係性についてはまさに多種多様である現実を踏まえれば、条例で一律に規定することは逆に新たな火種といいますか、問題要因となりかねません。第13条、親になるための学びの強制は、今日のLGBTQなど多様な性の在り方、または結婚する、しないの選択などを否定する風潮を生み出しかねず、生きづらい社会への逆行となりかねません。福井県議会として、このような時代の流れに逆行しかねない条例制定は行うべきではありません。
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次に、請願第16号国の責任による小中学校の「20人学級」を展望した少人数学級の前進を求める請願は採択すべきです。文部科学省が2021年度予算案の概算要求に少人数学級の検討を盛り込みました。義務教育標準法を改正して正規の制度化を目指す意向です。国民の声が、少人数学級に長期に背を向けてきた政府を動かした重要な変化です。同時に、今回の要求は規模も進め方も記されない事項要求です。本当に法改正や予算が認められていくのか全く未定であります。少人数学級は重要な局面を今迎えております。未定となっている要因は、政府の姿勢が定まっていないためです。国の予算を握る財務省は、少人数学級について明確な効果があったとは認められないと敵視し、現在行われている小学校1年生の35人学級を40人学級に戻すべきではないかと要求したことさえあります。
7月3日に福井で開かれた学校統廃合を考える退職教職員の会では、参加された教員経験者から、「40人のクラスでは分からない子がいても気にならなかったが、5人のクラスを担当したときは1人でも分かっていない子がいると気になった」、「採点も10人足らずならパパッと終わって子どもたちと向き合うことができた」、「小規模クラスの子どもの名前と顔は今でも覚えている。そういうことは教師にとっても子どもにとってもプラス」などの声が出されたそうです。
文科省の中央教育審議会臨時委員も務められた山本健慈元和歌山大学学長は、「世界で非常識なのは日本のクラスサイズと高学費です。少ない生徒数や学級数では切磋琢磨できないという意見もあるが、切磋琢磨は小規模でもできます。大きいほうがいいというのは、切磋琢磨ではなく経済効率重視のためだ」と喝破されております。まさに一人一人に丁寧に応じられる少人数学級が子どもの成長に大きな効果があることは自明の理です。行き届いた教育実現の上でも、新型コロナはじめ感染症対策の上でも、子どもたちに少人数学級をプレゼントしようではありませんか。
もう一つ指摘したいのは、今県内各地で学校統廃合計画議論がかまびすしいわけです。しかし少人数学級が制度化されれば、これは子どもの人口が減少する中で地域の学校を守る一つの後ろ盾となると思います。若い御夫婦などが子育てできる教育環境を地域に残すこと、このことが地域が丸ごと限界集落化し消滅していくことから防ぎ、地域再生の可能性につなげていくことにもなるわけですから、福井県議会こそ採択すべきであります。
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請願第15号新型コロナウイルス感染症対策を含めた地方財政の充実・強化を求める意見書提出に関する請願は、政府に十分な財源確保を求めるなど全国知事会なども求めている内容であり、不採択ではなく採択すべきと申し上げ、反対討論を終わります。
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◯28番(佐藤正雄君) 日本共産党の佐藤正雄です。「原子力発電施設等立地地域の振興に関する特別措置法」の期限延長を求める意見書案について討論いたします。
この法律はもともと際限なき原発推進、つまり原発増設と核燃料サイクル推進を狙いとしておりますが、御承知のように福島原発事故は、それまでの政府や電力会社の「日本の原発は安全」、「原発はコストパフォーマンスが高い」などの神話を打ち砕きました。高速増殖炉「もんじゅ」の破綻は核燃料サイクルの破綻にほかなりません。原発推進に国民の支持は得られないのが現状です。
国内にあった58基の原発のうち25基が廃炉となり、規制基準適合となっても世論の反発で再稼働に至っていない原発が7基あります。コストを見ても、2011年から2019年度の電力10社の原子力発電費は約15兆3,700億円、うち原子力での発電をしなかった電力会社の発電費が約10兆4,400億円、平たく言えば、動いていない原発費用の約10兆円が消費者負担とされております。
さて、来年3月には福島原発事故から10年を迎えますが、地元の皆さんの苦しみは何ら解決しておりません。日本原子力学会の報告書では、敷地の再利用が可能になるには最短でも100年から数百年かかるということです。原発との共存共栄を信じてきた住民には残酷な結末であります。
8月末に大地震、原発事故、コロナ禍という3重災害の想定での原子力防災訓練がおおい町を中心に行われましたが、改めて原発事故時に住民避難を責任を持って完遂できないことが浮き彫りになりました。また、福井県では次々と明らかになる関西電力森山マネーの闇に、県民はますます原子力への信頼をなくしております。
福島原発事故10年を前に私たちに求められているのは、原発依存から脱却し原発ゼロの日本を展望すること、そのためには爆発的な再生可能エネルギーの普及を進めること、財政的には国策原子力に協力してきた地域の雇用と地域経済を支える特別措置を政府の責任で行うことこそ求められております。
以上を申し上げて、原発依存に頼り続ける「原子力発電施設等立地地域の振興に関する特別措置法」の期限延長を求める意見書案に反対の討論といたします。
■家庭教育支援条例に反対
◯28番(佐藤正雄君) 日本共産党の佐藤正雄です。
発議第14号福井県家庭教育支援条例案について反対をいたします。第一に、手続の問題です。この条例案は手話言語条例などと違い、関係者や関係団体などからの要望に基づくものではないだけに、より慎重に県民の声を聞くべきでありますが、その手続が極めて不十分であります。実際にパブリックコメントを寄せた方は5人にとどまり、県民の中で条例そのものがあまり知られておりません。一方、条例案の内容を知った県民の皆さんからは、新日本婦人の会や弁護士団体から慎重審議や反対の声が議会に届けられております。
かつて国会で障がい者に関する立法の際に、私たち抜きに私たちのことを決めないでとの世論が起こりました。この条例案の中間報告が行われた際に、私は子どもたちを含めた当事者の声を聞くべきと提案いたしましたが、行われておりません。コロナ禍の下での条例制定だけに、拙速に進めず一層かかる配慮が求められると思います。
日本子どもを守る会の増山均会長は5月31日の声明の中で、様々な取組の実施に当たっては、子どもによく説明すると同時に子どもにも相談して子どもの声を聞き、子どもの参加の下で一緒に知恵を出し合って取り組むように求めております。このことの重要性は、コロナ感染症対応のみにとどまらないと私は考えます。
子どもを権利の主体として認めることは国際的標準であります。当事者の声を十分に聞かないままに行政と子どもを含む県民を拘束する法律を制定することは民主社会においてあってはなりません。また、何より県民の多様な意見を踏まえて十分な議論を行うことを定めた福井県議会基本条例の趣旨にも反するではありませんか。
第二に内容の問題です。法律家である自由法曹団福井県支部の声明でも指摘されておりますように、この条例案には幾つかの問題があります。そもそも家庭教育という子どもをどう育てていくかという親の生き方に公権力が介入し、こうあるべきなどと強制していくことは、思想良心の自由への侵害となりかねないこと。個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚する家族制度を規定した憲法24条の精神に反すること。条例案第3条などは、他県の条例と比べても家庭の責任、保護者の責任の強調度合いが強く、憲法19条に保障する思想・良心の自由に抵触しかねないことなどが弁護士団体からは指摘されております。
このほか第8条の祖父母の役割規定は、必ずしも息子、娘の家庭と祖父母の関係性についてはまさに多種多様である現実を踏まえれば、条例で一律に規定することは逆に新たな火種といいますか、問題要因となりかねません。第13条、親になるための学びの強制は、今日のLGBTQなど多様な性の在り方、または結婚する、しないの選択などを否定する風潮を生み出しかねず、生きづらい社会への逆行となりかねません。福井県議会として、このような時代の流れに逆行しかねない条例制定は行うべきではありません。
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次に、請願第16号国の責任による小中学校の「20人学級」を展望した少人数学級の前進を求める請願は採択すべきです。文部科学省が2021年度予算案の概算要求に少人数学級の検討を盛り込みました。義務教育標準法を改正して正規の制度化を目指す意向です。国民の声が、少人数学級に長期に背を向けてきた政府を動かした重要な変化です。同時に、今回の要求は規模も進め方も記されない事項要求です。本当に法改正や予算が認められていくのか全く未定であります。少人数学級は重要な局面を今迎えております。未定となっている要因は、政府の姿勢が定まっていないためです。国の予算を握る財務省は、少人数学級について明確な効果があったとは認められないと敵視し、現在行われている小学校1年生の35人学級を40人学級に戻すべきではないかと要求したことさえあります。
7月3日に福井で開かれた学校統廃合を考える退職教職員の会では、参加された教員経験者から、「40人のクラスでは分からない子がいても気にならなかったが、5人のクラスを担当したときは1人でも分かっていない子がいると気になった」、「採点も10人足らずならパパッと終わって子どもたちと向き合うことができた」、「小規模クラスの子どもの名前と顔は今でも覚えている。そういうことは教師にとっても子どもにとってもプラス」などの声が出されたそうです。
文科省の中央教育審議会臨時委員も務められた山本健慈元和歌山大学学長は、「世界で非常識なのは日本のクラスサイズと高学費です。少ない生徒数や学級数では切磋琢磨できないという意見もあるが、切磋琢磨は小規模でもできます。大きいほうがいいというのは、切磋琢磨ではなく経済効率重視のためだ」と喝破されております。まさに一人一人に丁寧に応じられる少人数学級が子どもの成長に大きな効果があることは自明の理です。行き届いた教育実現の上でも、新型コロナはじめ感染症対策の上でも、子どもたちに少人数学級をプレゼントしようではありませんか。
もう一つ指摘したいのは、今県内各地で学校統廃合計画議論がかまびすしいわけです。しかし少人数学級が制度化されれば、これは子どもの人口が減少する中で地域の学校を守る一つの後ろ盾となると思います。若い御夫婦などが子育てできる教育環境を地域に残すこと、このことが地域が丸ごと限界集落化し消滅していくことから防ぎ、地域再生の可能性につなげていくことにもなるわけですから、福井県議会こそ採択すべきであります。
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請願第15号新型コロナウイルス感染症対策を含めた地方財政の充実・強化を求める意見書提出に関する請願は、政府に十分な財源確保を求めるなど全国知事会なども求めている内容であり、不採択ではなく採択すべきと申し上げ、反対討論を終わります。
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◯28番(佐藤正雄君) 日本共産党の佐藤正雄です。「原子力発電施設等立地地域の振興に関する特別措置法」の期限延長を求める意見書案について討論いたします。
この法律はもともと際限なき原発推進、つまり原発増設と核燃料サイクル推進を狙いとしておりますが、御承知のように福島原発事故は、それまでの政府や電力会社の「日本の原発は安全」、「原発はコストパフォーマンスが高い」などの神話を打ち砕きました。高速増殖炉「もんじゅ」の破綻は核燃料サイクルの破綻にほかなりません。原発推進に国民の支持は得られないのが現状です。
国内にあった58基の原発のうち25基が廃炉となり、規制基準適合となっても世論の反発で再稼働に至っていない原発が7基あります。コストを見ても、2011年から2019年度の電力10社の原子力発電費は約15兆3,700億円、うち原子力での発電をしなかった電力会社の発電費が約10兆4,400億円、平たく言えば、動いていない原発費用の約10兆円が消費者負担とされております。
さて、来年3月には福島原発事故から10年を迎えますが、地元の皆さんの苦しみは何ら解決しておりません。日本原子力学会の報告書では、敷地の再利用が可能になるには最短でも100年から数百年かかるということです。原発との共存共栄を信じてきた住民には残酷な結末であります。
8月末に大地震、原発事故、コロナ禍という3重災害の想定での原子力防災訓練がおおい町を中心に行われましたが、改めて原発事故時に住民避難を責任を持って完遂できないことが浮き彫りになりました。また、福井県では次々と明らかになる関西電力森山マネーの闇に、県民はますます原子力への信頼をなくしております。
福島原発事故10年を前に私たちに求められているのは、原発依存から脱却し原発ゼロの日本を展望すること、そのためには爆発的な再生可能エネルギーの普及を進めること、財政的には国策原子力に協力してきた地域の雇用と地域経済を支える特別措置を政府の責任で行うことこそ求められております。
以上を申し上げて、原発依存に頼り続ける「原子力発電施設等立地地域の振興に関する特別措置法」の期限延長を求める意見書案に反対の討論といたします。