買い物がてら 妻と連れ立ってお散歩と洒落込む。気温も程よく下がりそよ風が肌
に心地よい。「今日は猫ちゃんいるかな?」と妻。「さっき イメージしたからい
るかも。いるといいな。」と少し自信なげに呟く私。
いつもの公園に到着する。ぱっと見たところ姿はない。ふたりとも諦めかけて公園
の出口に向かう。すると 出口近くの茂みの一角に彼は待っていてくれたのだ。い
つもなら遠くにぽつねんと寝そべっているのだが 今日は至近の距離で顔を見合わ
せる形となった。
イメージが届いたのだろうか。逃げる気配もなくふたりを交互に見ては目を細めて
いる。「トラちゃんかわいいね。」と妻。「元気だね。またね。」と私。トラはい
わゆる公園猫である。地域のボランティアの援助で野良猫にしては まだ恵まれた
環境にあるようだ。近未来には創造原初の波動に包まれた社会になることを強くイ
メージしてトラにしばしの別れを告げた。
トラから離れようとした次の瞬間 二匹の色が違うアゲハ蝶が対で舞いながら現れ
た。それはまことに惚れ惚れするほど輝いて見事な舞いであった。ふたりとも見と
れて声も出ない程であった。何という幸せ(仕合わせ)自然クライン環の齎す命あ
る存在同士の最高度の時空間共鳴である。このような奇跡を呼び寄せ共有出来る妻
に心で手を合わせ公園を後にした。