◇『PRIDE池袋ウェストゲートパークX』著者:石田衣良 2010.12文芸春秋社刊
気になっていた作家ではあるが、なかなか読む機会がなかった。この作家は昭和35年(1960)生まれ。
既婚者で小2の子供もいるが、多彩な作家で小説だけでなくエッセイ、作詞なども手掛けている。
オール読物推理小説新人賞受賞作「池袋ウェストゲートパーク」のシリーズ作品を初め、多くの作品が
コミック化、TV化されたりしている人気作家のひとりである。、ご本人もTVや映画に出演するなど八面六臂
の活躍をしている。
『PRIDE』は池袋ウェストゲートパーク(通称『IWGP』というらしい)シリーズの最新版。中にはオール
読物に掲載された『データBOXの蜘蛛』、『北口アイドル・アンダーグラウンド』、『鬼子母神ランダウン』、
『PRIDE』が収録されている短編集。
主人公は八百屋の一人息子で普段は店番をしている真島誠(マコト)。時々店を抜け出して事件解決に
乗り出していく。
タカシというかっこいいスーパーマン(池袋のキング)が友人で、時折そのこわもてグループの助けも借りて
地元池袋の事件に取り組む。
マコトは地元ではトラブルシューター(紛争調停者=もめごと始末屋?)として知られる存在。
ちょっと独特の文体スタイルであるが、若者には受ける軽いテンポで、最近はやりの時代もの、例えば『研
ぎ師人情始末記 兄妹氷雨』(稲葉稔)や『隠れ浪人事件控 悪徳掃除』(喜安幸夫)のような時代小説の現
代版といったところ。
(以上この項終わり)