そこは大阪・西心斎橋のアメ村(アメリカ村)の南のはずれだった。
ビルの地下へ回り階段を下りて行くと、ほの赤い灯りにドラムセットが輝いて見えた。
年老いたオヤジが「いらっしゃいませ お先にここで料金を頂きます」とつぶやくような声で。
チャージ料2500円を支払うと小さなカードを2枚手渡された。
ちょうどそれは名刺を横に4つ折りにしたくらい(2cm×5cm程度)のカードで
『ドリンクチケット 500円分』と書かれていたから1000円分のドリンク券だ。
早速、中央にある一人用の円型のテーブルと少し座席の高い椅子を確保して
開演15分前の奥右側のカウンターへ進んだ。
メニューボードの1/3は500円のドリンクでソフトも含めて20種類ぐらいあっただろうか。
残りはチケットに100円、200円を足せば飲めるドリンクや軽い食事が載っていた。
先ずはチケット1枚で足りるカクテルを1杯。
軽くグラスを傾けた頃、ライブが始まった。
ネット(ブログ)友でありながら初めて面会するシャンソン歌手YU-MEさんは
黒が好きと聞いていたので黒い衣装かと先入観があったけれど
黒を基調に赤系統の大きな花柄にカーディガン姿で歌い始めた。演奏は指使いの素晴らしいまるこさんと、現役女子大生美人ピアニスト
神田麻衣さんで始まって、YU-MEさんの低めで伸びのと張りのある歌声が、
フランス語が開場一杯に広がった。
演奏をしていた「まるこたぬ」はヴァイオリン、ギター、ギター、ベースの4人編成でジャンルを超えた演奏や歌を披露するグルーブなのだが、今回は関西で1週間の
連日ライブで、この日は二人でバイオリンとギター。
ポルトガルの曲からシャンソン、スペインの曲まで多彩さを惜しみなく披露して
聴衆を引き付けた。
一部が終わって休憩が入り、チケットプラス100円のカクテルを追加した。2部に入るに連れてテンションはドンドン上がる。
身体全体を使ってフランス語の歌を表現する。
エディット ピアフのカバーには思い入れとも相まって自ずと力が入る。
まるこたぬサン達のビールも進む。
MCトークはどうしても関東弁のしゃべりとなって、浅草芸能の内海桂子・好江や
春日三球・照代のノリが脳裏をかすめ、コテコテの関西人としては醒めた笑いしか
乗れない部分があったが、それだけに普段に無い新鮮さもあった。
ラストに近づいて、今回の主催者であるスペイン音楽のギタリストgonjiさんも
加わってのセッションに会場も手拍子を交えてエキサイト。
こちらもついでにもう一杯ブランデーを現金払いで。(^^ゞ
時を忘れるとよく言うが、19時半のスタートから3時間も経過したとは思えない。
会場のリミットが23時と言うことでお開きを迎えたが、それが無ければ
帰るのを忘れて大阪泊まりになるところだった。
ライブハウスに埋もれていてはもったいないミュージシャン、エンターティナーだと惜しくもあり
かと言って大きなコンサートホールに立たれると、こんなに身近にファミリー感覚では
聴けなくなってしまう恐れもありで、どちらかと言うとこのままでいて欲しい感じがした。
帰り際に3組のアーティストそれぞれに色紙1枚づつサインをもらって、大満足でシンデレラボーイの夜は閉じた。