20170323 社民党街角トーク@村井下町北~社民党松本総支部中川ひろじ代表
3月22日信州大学又坂常人名誉教授のお話を聞く。以下要旨(文責:中川)
1、憲法は権力者を拘束する規範であるが、低下し立憲主義の危機である。大学の自由も集中的に攻撃されている。
2、新安保法制法の問題 ①政府解釈の変更により違憲立法がされるという実質的改憲が行われたことは法的クーデターといえる。②かつて憲法の番人と言われた内閣法制局が変質し、行政部内における立憲的コントロール機能が喪失。③圧倒的与党の数の力で議会によるチェックが機能しない。④日本におっける憲法審査は具体的な事件がないと憲法審査が行われない。
3、刑事法「改革」
(1)特定秘密保護法の制定 ①行政機関による「指定」による行政情報の秘密化(「実質秘」概念の否定)、②指定範囲の広大さ(防衛、外交、テロ関連情報、特定有害活動)、特定有害活動には定義がないので歯止めがない、③重罰化 現行:1年以下の懲役または10万円以下の罰金→最高10年以下の懲役または50万円以下の罰金)、④共謀・教唆・扇動も処罰、取材活動の規制
(2)刑事司法取引の導入
(3)通信傍受法改定 ①通信傍受(盗聴)の範囲の一挙的拡大・集団犯罪から一般的犯罪に拡大 従来:薬物・銃器・組織的犯罪・集団密航→+爆発物取締罰則違反・現住建造物等放火・殺人・傷害・傷害致死・逮捕監禁・逮捕等致死傷・誘拐・人身売買・詐欺・恐喝・児童買春・ポルノ禁止法違反 (捜査令状が必要であるが簡単に出る) ②傍受手続きの簡略化 従来:通信事業者の施設で事業者側の立会人の監視下で実施→通信事業者から警察官署へ自動転送、監視人不要 ③プライバシー侵害の危機、共謀罪とのセットで一億総監視社会へ
(4)共謀罪 ①処罰対象の膨大さ 277の犯罪(刑法等の自然犯だけではなく多くの行政犯も含む) ②行為・結果ではなく、「共謀」という内心の意思について処罰可能、従来の刑法の基本原則を大きく逸脱、治安維持法の復活、「準備行為」概念は歯止めにならない ③団体認定の恣意性 ④適正手続原則、思想信条の自由を侵害する危険性
4、憲法の危機と政治の課題
国家主義的な統制体制を確立をめざし明文改憲への足慣らしが行われている。背景には経済社会の全般的悪化、外圧の高まり、「経済」を中心とする国家統合軸の揺らぎ、「福祉国家」にかわる新しい物語が提示できないため、統制を強化し対外武力進出・戦争へ突き進む。反戦反国家主義勢力の政治的拡大するためには、生活者のリアルな実感に根差した政策提示と運動展開が必要。